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残業代1時間いくら?社長が押さえておきたい給与計算、基本中の基本

「残業代1時間いくら?」というシンプルな疑問、実は中小企業社長の間でよくある計算ミスの元。社労士が直接目にしたその頻発ミスとは?給与計算の基本中の基本を分かりやすく解説し、正確な給与計算で従業員との信頼関係を強化しましょう。

「残業代」の正確な計算、社長が知っておくべきこと

「残業代」、この言葉にピンとくる社長さんも多いのではないでしょうか。従業員が残業をした際の報酬として支払う必要があるこの代金。しかし、正確に「残業代1時間いくら」で計算されているのでしょうか?社労士として中小企業社長と話をしていて、最もよく目の当たりにする間違いの1つが、この「残業代」の計算の誤りです。ここで、私が残業代の計算の基本原則と、その正しい計算方法について解説します。

残業代の基本原則:何を知っておくべき?

まず、残業代の計算には、基本的なルールが存在します。これを知らないと、適切な残業代の計算は難しくなります。要点は以下のとおりです。

基礎賃金:
残業代計算の対象となる賃金のことです。
基本的以外の諸手当も基礎賃金に入ります。

割増賃金:
残業時間によって、基本の賃金に上乗せされる金額のことです。
・通常の時間外労働:25%割増
・60時間を超える時間外労働:50%割増
・深夜労働:50%割増

など、労働基準法で定められています。
ちなみに、1日の所定労働時間が7時間など法定労働時間よりも短い場合、法定労働時間に届くまでの残業は割増がつきません。

【基礎賃金(残業代に含まれる手当)についてはこちらをご覧ください】

「残業代1時間いくら」とは?正しい計算方法を学ぼう

残業代の計算は、一見シンプルに思えますが、実は多くの要素が関わってきます。特に月給制の場合は「月平均所定労働時間」を基に計算するため、少し複雑になります。具体的な計算方法は次のとおり。

1時間当たりの賃金:
月給の場合、月平均所定労働時間で割り、1時間あたりの賃金を算出します。
この時、年間の所定労働日数を12で割ったものが月平均所定労働日数となります。

割増賃金の計算:
割増率(例:25%、50%など)を基に、上記で算出した基礎賃金に乗算し、1時間あたりの残業代を計算します。

このように、残業代の計算はいくつかのステップを踏む必要があります。社労士として、社長さんたちには正確な計算をして従業員に適切な賃金を支払うよう心がけていただきたいと思います。

給与計算の基本、社長が押さえておきたいポイント

給与計算、この言葉を聞いて「難しそう」「専門家に任せている」と感じる社長さんも多いのではないでしょうか。しかし、社労士としての私のアドバイスは、基本的な給与計算の知識は持っておくべきですよ、ということ。特に、「基本給」「手当」「ボーナス」の違いや、残業代の中の「手当」についての知識は必須です。

基本給、手当、ボーナス…それぞれの違いとは?

給与計算の際に登場するこれらの言葉。一体どう違うのでしょうか?

基本給:
社員が毎月固定で受け取る賃金のこと。年齢や経験年数、能力など個人の特性に応じて決まります。

手当:
役職や保有する資格、通勤手当や住宅手当、家族手当など、特定の条件や業務に関連して支給される賃金のこと。固定のものと変動するものがあります。

ボーナス:
年に数回、業績などの条件に応じて支給される賃金。夏や冬の賞与とも言います。

これらの違いを知ることで、給与計算の際の混乱を避けることができます。

残業代の中の「手当」の真実

「残業代」の計算に関して、社労士として中小企業社長と話をしていて、よく目の当たりにする間違いの1つが「手当」の取り扱いです。

残業代は、基本給だけでなく、ある種の手当も考慮に入れて計算されることがあります。例えば、固定の職務手当や役職手当など、月ごとに一定の金額が支給される手当は残業代の計算の対象となる場合があります。しかし、交通費や出張手当などの変動する手当は、通常、残業代の計算には含まれません。

このような違いを理解することで、正確な給与計算が可能となります。また、従業員からの質問や不明点にも的確に答えることができるようになります。

【残業に含まれる手当については、こちらで詳しく解説しています。】

「残業代1時間いくら」の具体的な計算方法

残業代の計算、簡単そうに思えるけれど、実際は少し複雑ですよね。特に、月給の場合は「月平均所定労働日数」を基にするため、一手間加える必要があります。今回は、その具体的な計算方法を社労士の目線で詳しく解説します。

基礎賃金の取り扱い:時給と月給の違い

給与の形態によって、基礎賃金の取り扱いが異なります。大まかに分けると次のようになります。

時給 :
従業員が1時間働いたときの報酬。
このまま残業代の計算に使用することができます。

月給 :
1ヶ月の間に支払われる固定の報酬。
月給から「月平均所定労働時間」で割ることで、1時間あたりの賃金を算出する。


※月額制の給与には、「月給」と「日給月給」があります。
「月給」とは遅刻・早退・欠勤があっても給与額が固定されている支給方法で、「日給月給」は遅刻・早退・欠勤があると控除する支給方法をといいます。
一般的に月給と言われているほとんどが「日給月給」になりますが、ここでは一般的に浸透している「月給」としています。

具体例をもとにした残業代の計算

実際の数字を使って、残業代の計算方法を確認してみましょう。

例)この場合、残業1時間いくら?
・休日:毎週土日と祝日
・1日の所定労働時間:8時間
・月の基礎賃金:20万円


この場合の残業代1時間あたりの金額を次の手順で計算します。

1.年間の労働日数の計算
※2023年1~12月の場合
・年間休日:118日
(土曜52日、日曜53日、祝日13日)
※祝日16日中、土曜3日が重複
・年間労働日数:247日(365日-118日)

2.月平均所定労働日数の算出:20.58日(247日 ÷ 12ヶ月)

3.月平均所定労働時間:164.64時間(20.58日×8時間)

4.1時間あたりの基礎賃金の算出
20万円 ÷ 164.64時間= 1,215円

5.残業代1時間あたりの金額の計算
1,215円 × 1.25 = 1,519円

このようにして、残業1時間当たりの金額は1,519円(25%割増)
となります。

※端数処理について
今回は➀月所定労働日数を算出する際に切り捨て、②1時間あたりの基礎賃金を算出する際に切り上げ、③残業1時間当たりの金額を計算する際に切り上げと、それぞれで端数処理をしました。残業代1時間あたりまで一気に計算して、最終的に切り上げをする形でも問題ありません。

社労士が教える!残業代計算の落とし穴

残業代の計算、一見シンプルなようでいて、実は数々の落とし穴が潜んでいます。特に中小企業の社長さんや経営者の方々は、多岐にわたる業務の中で給与計算に十分な注意を払いきれないことも少なくありません。社労士として、私が過去に実際に目にした残業代計算のミスや、正確な給与計算のためのポイントをシェアします。

過去の事例から学ぶ、残業代計算のミス

給与計算の中で、特に残業代の計算は難しさがあります。以下は、実際に私が経験した事例をもとにした残業代計算のミスです。

手当の取り扱いミス:
通勤手当や住宅手当など、変動する手当を基礎賃金に含めて計算してしまうケース。

月平均所定労働日数の誤算:
年間の所定労働日数を正確に把握せず、大まかな数字で割り算してしまうケース。

割増賃金の計算ミス:
深夜の残業や休日出勤の際の割増率を間違えて適用してしまうケース。
これらのミスは、給与の不足や過払いを引き起こす原因となります。

正確な給与計算のためのチェックポイント

給与計算のミスを防ぐためのチェックポイントをいくつか紹介します。

基礎賃金の確認: 月給の場合は、月平均所定労働時間で正確に割り算する。
手当の確認: どの手当を基礎賃金に含めるのか、リストアップして確認する。
割増賃金の適用: 残業の種類や時間帯に応じて、正しい割増率を適用する。

労働基準監督署の資料を参照: 最新の労働基準法やガイドラインを確認する。
これらのポイントを押さえて、正確な給与計算を心掛けましょう。

まとめ:社長が押さえておくべき「残業代1時間いくら」のポイント

「残業代1時間いくら?」この一見シンプルな質問に、実はたくさんの要素が絡んでいます。社労士として、中小企業の社長さんに向けて、このテーマに関する要点をまとめてみました。残業代の計算は、正確に行わないと、労働者への支払い過不足や、将来的なトラブルの原因となります。それでは、この記事で触れたポイントを簡潔にまとめてみましょう。

残業代の基本原則:
残業代は、基礎賃金と割増率、そして残業時間を元に計算されます。この基本をしっかりと理解することが、正確な給与計算の第一歩です。

給与計算の基本:
基本給、手当、ボーナスなど、給与の各要素の違いを押さえることで、正しい残業代の算出が可能になります。

具体的な残業代の計算方法:
月給や時給に応じて、基礎賃金の取り扱い方が異なります。また、月平均所定労働日数の算出も重要なステップとなります。

残業代計算の落とし穴:
過去の事例から学び、ミスを繰り返さないように注意が必要です。また、正確な給与計算のためのチェックポイントを日常的に確認することが大切です。

これらのポイントをしっかりと押さえて、給与計算のミスを未然に防ぐことができるでしょう。社長として、従業員に正確な給与を支払うことは、信頼関係の構築やモチベーションの維持にも繋がります。この「残業代1時間いくら」というテーマを、今後の給与計算の際の参考にしていただければと思います。

追伸:給与ソフトを利用するのも効果的です。とはいえ、毎月ランニングコストのかかる給与ソフトは中小企業にとって使いづらいかもしれません。
購入費用、年間保守料ともに1万円程度の給与ソフトでも導入することで、格段に給与の計算ミスが減少します。

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当社労士事務所は主に20名以下の小規模企業様の採用、定着、人事労務の問題解決に取り組んでおります。




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