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中小企業社長必見!残業代に含まれる手当、含まれない手当

「残業代に含まれる手当」の適切な処理、理解していますか?多くの中小企業では、社長や家族が給与計算を担当するケースが多いですね。主に20名以下の企業をサポートする社労士が、日常の給与計算での誤りや注意点を基に、正確な残業代の計算方法をお伝えします。

「残業代に含まれる手当」って、実は社長が知らない間に大問題に!?

給与計算、難しいですよね。社労士としてたくさんの中小企業の社長と話をしてきましたが、残業代の中の「手当」の話になると、ちょっと困った顔をされることが多いんです。そして、残業代の計算でつまづくと、それが労働者の権利問題にも繋がってきます。さらに、ネット情報の洪水の中、何が正しくて何が間違っているのか、わからなくなっている社長も少なくないのが現状です。

残業代、本当に正しく計算できてますか?

残業代の計算、基本は「基礎賃金 × 割増率」ですよね。でも、この「基礎賃金」って一体何? という基本的な疑問から、具体的な手当の取り扱いまで、実はちょっとしたワナがいっぱい。特に「基礎賃金」の部分、これを間違えると給与計算が全て狂ってしまうことも。

社員から「給与計算、間違ってる?」って言われたら…

正直、給与計算が間違っていたと指摘されると、それは社長、そして会社としての信用問題にもつながります。社員との信頼関係を保つためにも、正確な「残業代に含まれる手当」の知識は欠かせません。そして、透明な給与計算のプロセスと、しっかりした社員とのコミュニケーションが必要です。

実は、残業代に含まれない手当は7種類だけです

給与計算、難しいですよね。特に残業代の計算。でも、ちょっと待ってください。残業代の計算に関して、皆さんが思っている以上に「盲点」となる部分があるんです。それが「残業代に含まれない手当」。今回は、そんな残業代計算の中で忘れがちな、でもとっても大切な「含まれない手当」について、わかりやすくお伝えします。

残業代に含まれない7種類の手当とは?

話を進める前に、まず基本をおさらい。残業代の計算って、基本的に「基礎賃金 × 割増率」で行われます。この「基礎賃金」の中には基本給だけでなく、いくつかの手当が含まれます。しかし、全ての手当が含まれるわけではありません。そこで、残業代には含まれない手当、具体的には何があるのかをみていきましょう。

残業代に含まれない7種類の手当
(1)家族手当
家族の人数によって、支給される金額が変わるもの。扶養している家族の数に合わせて、手当が支給されます。

(2)通勤手当
出勤のための交通費や距離に基づいて、支給される手当。毎日の移動費をサポートするものです。

(3)別居手当
単身での転勤やその他の理由で家族と別居する際、生活費をサポートするための手当。

(4)子女教育手当
お子様の教育のための経済的サポート。学費や教材費など、教育にかかる費用の一部を補助する目的で支給されます。

(5)臨時に支払われた賃金
結婚や病気など、特定のイベントや状況に応じて、一時的に支給される手当。

(6)1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
年に数回、特定の時期に支払われる賞与やボーナスなど。

(7)住宅手当
住宅の家賃やローンの月額に基づき、生活をサポートするために支給される手当


これらの手当は、基本的に残業代の計算からは除外されます。例えば、通勤手当は、従業員が会社への通勤にかかる費用を補填するためのもの。残業とは直接関係ないですよね。だから、この手当は残業代の計算からは外れるんです。
そして、これらは例示ではなく、限定的に列挙されています。これらに該当しない手当は、全て残業代に含まれます。
なお、手当の名称は上記と異なっても、実態として趣旨に合っていれば残業代から除外できます。
扶養手当という名称を使っている会社も多いと思います。

ちょっと待った!残業代に含まれるかどうか、微妙な手当って?

給与計算、一筋縄ではいかないですよね。中でも「残業代に含まれる手当」には、しっかりとした理解が必要です。特に、手当の名称だけでは判断できない点が中心課題。実態が大切です。

家族手当、名前だけではダメ?

まずは「家族手当」です。でこれが残業代に含まれるかどうか、実はその名前だけでは判断できないんです。
家族手当の趣旨は、扶養家族がいる従業員に対して、扶養している家族の数に合わせて支給されるもの。

家族手当という名称であっても、例えば、家族がいないのに支給されていたり、扶養家族の人数に関係なく1万円などと一律で支給しているようなケースでは、実際には家族手当としての役割を果たしていない可能性が。家族の数によって支給額を変えるような取り組みが求められます。

通勤手当、実態をしっかりチェック!

通勤手当もまた、実態が大切。従業員の通勤の実際の距離や費用に関係なく、1日1,000円などと支給されている場合は、実は残業代に含まれるケースが。正確な給与計算のためには、通勤の実情に合わせた取り組みが必要です。

住宅手当の落とし穴

住宅手当も、家族手当や通勤手当と同じく、実態に基づいて取り扱われる必要があります。家賃やローンの月額に基づいて支給される場合は、残業代から除外することができます。しかし、例えば賃貸物件居住者には1万円、持ち家居住者には2万円などと一律で支給額が決まるようなケースでは、除外は難しいです。

残業代に含まれるのに、実は間違って抜いてしまっている手当

給与計算、特に残業代の計算は複雑ですよね。どの手当が残業代に含まれるのか、という部分で誤解が生じやすいです。今回は、実は残業代の計算に含めるべきなのに、間違って除外してしまうことが多い手当について詳しく解説します。

役職手当、資格手当の正しい取り扱い

役職についている方や、特定の資格を持っている方への報酬として役職手当や資格手当が支給されることが一般的ですね。しかし、これらの手当は、残業代の計算に必ず含めるべきなのです。先ほどお話した「残業に含まれない7種類の手当」にはこれらの手当は含まれません。つまり、これを忘れてしまうと、正しい残業代の計算ができないのです。

意外と知られていないのですが、多くの企業が基本給だけを残業代の計算対象としています。これは、大きな誤り。役職手当や資格手当もしっかりと残業代の計算に取り入れることで、正確な給与計算が実現され、社員とのトラブルを防ぐことができます。

もちろん役職手当や資格手当以外の諸手当、調整手当やその他手当、その他支給というような手当であっても残業代に含まれることを間違わないでください。

皆勤手当の重要性

皆勤手当は、毎月欠勤がなかった社員に対して支給される手当ですが、この手当の取り扱いには注意が必要です。まず、最低賃金の計算にはこの手当を含めないため、勘違いを起こしやすいのです。しかし、ご注意ください。「残業に含まれない7種類の手当」に皆勤手当は含まれていないため、残業代の計算には確実に含める必要があります。

さらに、欠勤が発生した月は皆勤手当が支給されないため、その月の残業代の計算ベースが変わります。これにより、給与計算が複雑になることも少なくありません。

また、皆勤手当の取り扱いでよくある誤解として、有給休暇を取得した際に皆勤手当を支給しないというケースがありますが、これは適切な取り扱いとは言えません。なぜなら、労働基準法附則第136条により、有給休暇を取得したことで賃金の減額やその他の不利益な取扱いをしないようにしなければならないと規定されているからです。

歩合給の計算方法

歩合給、言い換えると出来高払制も残業代として見落としがちな手当です。「残業に含まれない7種類の手当」に歩合給は含まれていないため、残業代の計算には確実に含める必要があります。

さらに、歩合給の残業代は、他の手当とは異なる特別な計算方法により求められます。
具体的には、歩合給の時間単価は、所定労働時間でなく残業時間も含めた総労働時間で算出することです。通常の残業代は、所定労働時間だけで算出しますが、歩合給としてあげた成果は、所定労働時間も残業時間も含めた総労働時間であげた成果と解釈されるからです。

さらに、歩合給を支給することで、所定労働時間、残業時間ともに1.0の部分は支給されていますので、残業時間に対する0.25のみ残業代がかかることになります。

例をあげて考えてみましょう。
◇前提条件
・月の所定労働時間:170時間
・残業:10時間
・基礎賃金:170,000円
・歩合給:18,000円

◇基礎賃金部分の残業代は、12,500円になります。
170,000円÷170時間×割増率1.25×10時間=12,500円

◇歩合給の残業代は、250円
18,000円÷(170時間+残業10時間)×割増率0.25×10時間=250円

◇当月の残業代は、12,750円になります(12,500円+250円)


歩合給の残業代計算は複雑ではありますが、残業代自体は低いことをおわかりいただけると思います。
このような部分まできっちりと計算することで、従業員の会社への信用度が大きく上がるのではないでしょうか?

固定残業代、結局残業代に入るの?

固定残業代。聞きなれた言葉かもしれませんが、実は給与計算の中で非常にデリケートな位置づけを持つもの。固定残業代はその名の通り、毎月固定で支給される残業代のこと。これを残業代の計算にそのまま入れてしまうと、二重に支払うことになってしまいます。
ここでは、固定残業代の正しい取り扱い方法について詳しく解説していきます。

固定残業代、正しく取り扱ってますか?

固定残業代と言えば、「定額残業代」や「営業手当」などとして支給されていることもあるかと思います。しかし、これらは名前の違いだけで、実質的には残業代として支給しているものです。だから、残業代の計算時にはこの部分を含める必要はありません。
とはいえ、驚くかもしれませんが、固定残業代として認められる要件を満たさずに支給している会社は意外と多いのです。この要件を満たさないと、支給している固定残業代をすべて残業代に含めて計算しなくてはならなくなります。

固定残業代の正しい取り扱い方法

固定残業代を正しく取り扱うためのポイントを3つ紹介します。まず、就業規則や雇用契約書に次の3点が明示されているか確認しましょう。

1 「固定残業代」の具体的な金額
2 その固定残業代の金額でカバーする残業時間数
3 明示された時間数を超える残業が発生した場合、追加の残業代が支払われること
この3点をしっかりと明示していれば、固定残業代のトラブルを避けることができます。

まとめ:残業代に関する手当の取り扱いをマスターしよう

中小企業の社長や経営者として、給与計算や労働条件の取り決めは常に頭の片隅にありますよね。特に、「残業代に含まれる手当」の取り扱いは、労働者の権利を守りつつ、企業の経営を健全に保つための重要な課題となっています。ここまで、さまざまな手当の取り扱いや計算方法について詳しく見てきましたが、最後に、これらの知識を生かして今後どのように対応していくべきか、そして社労士との連携の重要性についてまとめていきます。

今後の手当の取り扱いの方針

残業代の計算は一見複雑に感じるかもしれませんが、基本的な原則を理解し、適切な取り扱いを行うことで、社員からの信頼を得ることができます。具体的には、手当の名称だけでなく、実態をしっかりと把握し、それに基づいて手当の支給を行うことが大切です。
また、定期的に手当の取り扱いや計算方法を見直し、必要に応じて更新することで、常に適切な給与計算を継続することができます。

社労士との連携の重要性

今回は残業代について解説しましたが、社労士がサポートしていることは給与計算だけれはありません。社労士は、労働問題全般に関する専門家として、企業の経営や労働条件の改善にも大きく貢献しています。
社労士との連携を深めることで、企業は労働者の権利を守るとともに、経営の安定性を向上させることができます。定期的なミーティングや相談を通じて、企業の課題や悩みを共有し、最適な対策を見つけ出すことが重要です。



当社労士事務所は大阪、堺市、を中心に様々な企業の問題に取り組んでおります。



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