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労災保険と雇用保険:社長の息子や家族従業員、役員の親族は加入できるか?

社長の息子や家族を従業員として働いてもらう、役員の親族を雇用する、そんな時の労災保険や雇用保険の扱いは?家族であっても社長と別居である場合や、社長以外の役員の家族は労災保険、雇用保険のどちらも加入対象となります。また、社長と同居の家族であっても一定の条件を満たすことで、労災保険と雇用保険のどちらも加入できます。

社長の息子や家族、役員の親族の保険加入

家族従業員の存在は、中小企業においてよく見られる特徴の一つです。特に、社長の息子や役員の親族が事業に参加し、重要な役割を果たしている場合は少なくありません。これら家族従業員も、一般の従業員と同様に、労災保険や雇用保険の保護の対象となり得ますが、その際の手続きや契約内容には注意が必要です。

社長の息子・家族従業員の定義

社長の息子や家族従業員は、一般に企業のオーナーや経営者と血縁関係にある従業員を指します。これらの家族従業員も、労災保険や雇用保険の適用を受けるためには、正確な労働条件の明示と適切な手続きが求められます。特に、労働契約を結ぶ際には、他の従業員と同様の平等な条件での取り決めが重要となります。

役員の親族の加入資格

役員の親族も、労働者としての権利を享受できます。これには、労災保険や雇用保険への加入も含まれます。適切な手続きと明示された労働条件の下で、これらの保険への加入は可能となります。

加入の手続きと契約のポイント

労災保険や雇用保険への加入は、それぞれの保険の性質や要件を理解し、必要な手続きを遵守することが基本となります。正確な労働契約の締結と労働条件の明示は、トラブルを防ぐためにも、また、法令遵守のためにも不可欠です。

社長の息子や役員の親族も、一般の従業員と同様に、これらの手続きを通じて労災保険や雇用保険の適用を受けることができることがあります。企業としての責任として、これらの適切な手続きを怠らず、すべての従業員が適切な保護を受けられるよう努めましょう。

労災保険:社長の息子や家族、役員の親族は?

労災保険は、労働者が業務上の事由でけがをした際や職業病に罹患した際の医療費や補償を支給する制度です。特に、社長の息子や役員の親族のような家族従業員についても、適用の範囲や条件を理解し、適切な対応を取る必要があります。

労災保険の加入条件

労災保険の加入は、従業員が1人以上いる事業主に対して義務付けられています。これには、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイト等、雇用形態を問わず対象となります。また、家族従業員についても労災保険の対象となり得ます。

社長の息子や家族従業員、役員の親族は労災保険に加入できるか?

社長の息子や家族の労災保険適用について、社長と同居しているか別居かによって異なります。別居している家族従業員は、労働者として仕事をしている場合は労災保険の対象となります。

一方、社長(事業主)と同居している親族は、原則として労災保険法上の「労働者」には該当せず労災保険に加入することができません。ですが、以下の条件を満たせば労災保険法上の「労働者」となり、労災保険に加入することができます。

社長(事業主)と同居の家族が労災保険の対象となる条件

(1)同居の親族だけでなく、他に従業員を雇用している
(2)他の従業員と同じように仕事をし、賃金もこれに応じて支払われている
(3)事業主の指揮命令に従って仕事をしているこ

なお、社長(事業主)以外の役員の親族、労働者として仕事をしている場合は労災保険の対象となります。

労災保険に入れない社長の家族はどうすればいいのか?

社長(事業主)と同居している家族従業員が労災保険に入る条件を満たさない場合として、その代わりとして2つの方法が考えられます。

1つは、労災保険の特別加入です。労働者でなくても、業務の実態や、災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人には、労災保険の特別加入制度があります。中小企業や個人事業主もその対象で、家族従業員も一括して入ることができます。

労災保険の特別加入は労働保険事務組合を通しての手続きとなります。
すでに労働保険関係成立届を出している場合、再度手続きが必要になる場合があったり、費用(手数料・年会費)もかかります。

そこで2つめとして、民間の傷害保険の活用を検討されるのもいいかと思います。

雇用保険:社長の息子や家族、役員の親族は?

雇用保険は、失業した際の生活補償や再就職支援を目的とする保険制度です。この制度は、通常の従業員だけでなく、適切な条件を満たす社長の息子や役員の親族にも適用され得ます。

雇用保険の加入条件

雇用保険に加入するためには、雇用契約が締結されている労働者の内、以下の2つを充たした方となります。
(1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれること。
・期間の定めがなく雇用される場合
・雇用期間が31日以上である場合
・雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
(2)1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。

社長(事業主)の息子や家族従業員、役員の親族も以上の要件を充たす場合は雇用保険の加入対象となり得ます。

社長の息子や家族、役員の親族は雇用保険に加入できるか?

社長の家族授業員の雇用保険については、個人事業の事業主(実質的に代表者の個人事業と同様と認められる法人を含む)と同居している親族は、原則として雇用保険に加入できないとされています。

労災保険と同様、別居している家族従業員や、社長(事業主)でない役員の親族は、雇用契約を結んだ上で仕事をしている場合、雇用保険の対象となります。

同居の場合は、同じ法人でも扱いが異なるようです。
雇用保険は、失業した時のセーフティネットというのが主な目的です。社長の同居の家族であっても、オーナー社長の家族であれば失業して生活に困るという概念が無いということでしょう。

事業主と同居する親族であっても、以下の条件を全て満たせば雇用保険に加入ができます。


 社長(事業主)と同居の家族が雇用保険の対象となる条件

(1)事業主の指揮命令に従って仕事をしていること
(2)その会社の他の労働者と同じように仕事をし、賃金も同じように支払われていること。 特に、次の2点は就業規則に基づいて行われているかがポイントになります。
  ➀始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等
  ②賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期等
(3)取締役等についていないこと。

他の社員と同じように出社し仕事をしているのであれば対象となり得ますが、名前と籍はあるのにもかかわらず、たまにしか出勤しないということであれば対象とならない可能性があると言うことです。

雇用保険は、労災保険の特別加入のような代わりの方法が見当たりません。ですが、そもそも保険給付を受ける機会があまり想定できないので必要がないと言えるのではないでしょうか。

まとめ

社長の息子や家族従業員や役員の親族であっても、条件を満たせば労災保険や雇用保険に加入することが可能です。いざという時のために、正しく手続きをしていただければと思います。


当社労士事務所は大阪、堺市、を中心に様々な企業の問題に取り組んでおります。


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