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役員の社会保険加入は必須か?加入しない選択はできるのか?社労士が詳細に解説

会社の役員の社会保険(健康保険、厚生年金保険)加入について、必要性や条件、例外事項を詳しく解説していきます。中小企業の場合、親族を役員にするケースもあるかと思います。その際、原則的には社会保険に加入する義務が生じます。一方で、無報酬の役員と非常勤役員という2つのケースという例外があります。 

役員の社会保険加入は必須か?その条件と例外事項を詳細に解説

役員とは、会社の経営に関与する重要なポジションのことを指します。一方、社員(従業員)は役員ではなく、会社の業務に従事する一般的な従業員です。
(社員を会社法上の解釈ではなく、一般的に使われている会社の従業員のこととします)

両者には、経営者と労働者という大きな違いがあります。
労働保険(労働者災害補償保険・雇用保険)では、労働者を対象としているため、役員は原則として対象となりません。

ところが社会保険の場合は、役員も法人に使用されるという位置づけになり、社員(従業員)と同じように社会保険の加入義務があります。

とはいえ、社員(従業員)の社会保険加入に要件があるように、役員にも社会保険加入要件があります。

社会保険の加入要件について

まずはパートタイマーを含め、社員(従業員)の方が社会保険加入の対象となる要件について整理しましょう。

社会保険の対象となる方
(1)2か月を超える雇用の見込みがある
(2)フルタイム及び週所定労働時間及び月所定労働日数がフルタイムの4分の3以上
(3)週所定労働時間20時間以上で月額賃金8.8万円以上(学生は除く)

この内、すべての企業や事業所に共通するのは(1)2か月を超える雇用の見込みがある、ことと(3)フルタイム及び週所定労働時間及び月所定労働日数がフルタイムの4分の3以上であることです。
(3)の週所定労働時間20時間以上で月額賃金8.8万円以上は、厚生年金の被保険者数により、以下の基準となっています。

□令和6年9月30日まで:101名以上の企業
□令和6年10月1日以降: 51名以上の企業

簡単にまとめると、収入や働く時間が基準を下回る方は、社会保険の対象外です。

では、役員の場合はどうでしょうか?

役員の社会保険、加入しない選択はできる?:加入義務が無い2つのケース

会社の役員も、会社に使用されるという立場である以上、社会保険加入義務が有ります。
ですが、加入義務がないケースが2つあります。それぞれについて考えていきましょう。

役員報酬が無い場合は社会保険加入義務が無い

まず1つ目は、役員報酬が無い役員の方には、社会保険加入義務が有りません。というよりも、報酬に対しての保険料を納付するというのが社会保険の考え方ですので、無報酬ですと要件を満たしません。社会保険に入ることができません。

これは、代表取締役であっても同じです。

代替として、国民健康保険、国民年金に加入することになりますが、給付面で健康保険、厚生年金保険と大きく異なる部分があります。

創業間もない頃は、なかなか役員報酬を受けることのできる状態ではないかもしれません。
ですが、ほんの少しでも役員報酬を受けることで、社会保険に加入することができ、しかも保険料も低くなることもあります。

特に、それまでは会社員をしていた方など、前年の収入がそれなりのある方ともなれば、国民健康保険だけで驚くほど高額な保険料になることもあります。

社会保険入ると保険料が高い!という直感的な判断ではなく、国民健康保険、国民年金に加入した時の保険料や保険給付なども考えた上で検討いただければと思います。

非常勤役員は加入義務が無い

無報酬の役員の方は、社会保険の要件を充たさないため社会保険に入ることができません。
一方で、役員報酬のある方であっても、非常勤役員には加入義務がありません。
社会保険の要件を充たさないと言うことでなく、非常勤役員は社会保険に入らないという選択もできるということになります。

常勤役員と非常勤役員の違いは、労働者でいう労働時間に近い考え方にはなりますが、そもそも役員の場合、会社に出勤して業務を行うというものではなく、勤務時間という概念もありません。したがって、常勤と非常勤の線引きも具体的に示すことができません。

日本年金機構によると、以下のような判断基準が示されています。
(疑義照会受付番号No2010-77)
(1)当該法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか。
(2)当該法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか。
(3)当該法人の役員会等に出席しているかどうか。
(4)当該法人の役員への連絡調整または職員に対する指揮監督に従事しているかどうか。
(5)当該法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっていないかどうか。
(6)当該法人等より支払を受ける報酬が社会通念上労務の内容に相応したものであって実務弁償程度の水準にとどまっていないかどうか。

これらの基準をもとに、総合的に社会保険の加入義務があるかどうかを判断することになります。

ちなみに、代表取締役の場合は非常勤とはなり得ません。
また、役員報酬の高低は社会保険義務とは関係がありません。著名人が高額の役員報酬で社外取締役に就任するケースが見かけます。報酬ではなくこれらの実態で判断されます。

まとめ

今回は会社の役員の社会保険について、加入義務がある場合、加入できない場合、入らないという選択ができる場合について解説しました。
中小企業の場合、親族を役員にすることもあるかと思います。1つの参考にしていただけたら幸いです。



当社労士事務所は大阪、堺市、を中心に様々な企業の問題に取り組んでおります。



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