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中小企業社長必読!社労士が教える年間休日の最適な設定方法とは?

人を雇用する際に決めなければならないのが雇用条件。特に、初めての雇用の際は、所定労働時間を何時間にするのか?週や月の休日、年間休日を何日にするのか?中小企業社長としては悩みどころではないでしょうか?
休日を何日にするかは法的基準と、人材確保という両面から考える必要があります。今回は休日の最適な設定方法を解説します。

■法的観点からの年間休日の設定

休日の設定は、週休2日、隔週2日(4週8日)、4週8日など、様々なパターンがありますが、中小企業の場合は主に社長自身のそれまでの経験や業界の慣例をもとに設定しているケースが多いようです。しかしながら、まずは法的な観点を押さえなければなりません。

労働基準法に基づく休日の基本ルール

まずは労働基準法で定められている法定の休日について見てみましょう。
労働基準法では、毎週少なくとも1日の休日か4週間に4日以上の休日を確保することを義務付けています。
休日を毎週日曜日と定めた場合、年間にすると52日(年によって53日)になります。

意外に思われるかもしれませんが、法律で定められた休日はたったそれだけです。
ただし、そこには法定労働時間が関係してきます。
法定労働時間とは、1日8時間かつ1週40時間を超えてはならないというものです。
1日の労働時間を8時間とした場合、5日で40時間になるため、1週の休日が1日では法定労働時間をオーバーしてしまいます。

逆の言い方をすれば、1日の所定労働時間を短く設定すれば週1日の休日でも可能になります。例えば、所定労働時間を1日6時間とした場合、週6日出勤としても労働時間は週36時間。休日を週1日としても法的な問題はクリアしています。

では、所定労働時間を1日5時間とした場合はどうなるのでしょうか?
週7日出勤しても35時間。40時間以内に収まるのですが、最低でも1週間で1日の休日は必要です。

法定労働時間に基づく休日

法定労働時間とは、1日8時間かつ1週40時間を超えてはならないというものです。
多くの中小企業では所定労働時間を1日8時間、1週40時間としています。1日8時間だと週5日で40時間になるので、週休2日にする必要があります。

1日8時間、1週40時間を所定労働時間とする場合の年間休日は、104日(または105日)になります。ですが、あくまで毎週2日間の休日を年間合計した結果なので、あまり年間休日が何日かを気にする必要がありません。

少しだけ複雑なのは、休日を固定している場合(毎週土曜、日曜など)とは違って休日の曜日が週によって変動する場合です。
その場合は、1週の起算日を基準に考えてください。
起算日が日曜日だとすると、各週の日曜から土曜の間に2日の休日を設定することになります。年がまたがる場合も、各週日曜から土曜に2日の休日があれば問題はありません。

ただ、変形労働時間制を採用している会社の場合は考え方が異なります。

■変形労働時間制の場合、年間休日は「何日」必要なのか?

法定労働時間には、1日8時間、1週40時間という1日と1週で労働時間の上限枠を設定する方法の他に、月単位で上限枠を定める1か月単位の変形労働時間制、年間で上限枠を定める1年単位の労働時間制などがあります。
それぞれの場合、休日の考え方も変わってきます。

1か月単位の変形労働時間制における休日の考え方

小売店や飲食店、美容室、介護福祉施設等、店舗や施設の営業時間に合わせてシフト制の勤務体制を敷く必要があります。スタッフが手薄な日は、1日8時間労働では足りないこともあります。
あるいは、土曜、日曜を休日に設定している場合でも、1日休日をすると1週の労働時間が48時間になってしまいます。1週単位で労働時間を見るため、翌週に振替休日を取っても法定労働時間を8時間オーバーしている事実は変わりません。

その場合、1日8時間、1週40時間という上限枠を取り払い、1か月の枠で1週の平均労働時間が40時間以内に収まるようにすることができます。
これが1か月単位の変形労働時間制です。

1か月単位の変形労働時間制を採用する場合、1か月間の労働時間の上限に収まるように休日の設定をします。1か月間の労働時間の上限の以下となります。

・暦日数が28日の月:160時間(28日÷7日×40時間)
・暦日数が29日の月:165.7時間(29日÷7日×40時間)
・暦日数が30日の月:171.4時間(30日÷7日×40時間)
・暦日数が31日の月:177.1時間(31日÷7日×40時間)

1日の所定労働時間を8時間とした場合、1か月間の休日の日数は以下となります。

・暦日数が28日の月:8日間
・暦日数が29日の月:9日間
・暦日数が30日の月:9日間
・暦日数が31日の月:9日間


つまり、1日の所定労働時間を8時間とし、1か月単位の変形労働時間制を採用する場合は、1か月間の休日を9日間(2月のみ8日間)設定しなければなりません。年間では最低107日間になります。閏年の場合は2月も9日間の休日になるので、年間休日は108日です。

1年単位の変形労働時間制における休日の考え方

季節による繁閑の差が大きい事業の場合は、1週や1か月という枠を取り払い、1年間で枠の中で1週の平均労働時間が40時間以内に収まるようにすることもできます。

これが1年単位の変形労働時間制です。1年単位の変形労働時間制を採用する場合、年間の労働時間の上限は2085.71時間(365日÷7日×40時間)となります。

1日の所定労働時間を8時間とした場合、105日間の年間休日が必要です。

連続労働日数が原則として6日までとなっていますので、あまり極端なことはできませんが、繁忙月の休日をできるだけ抑えて、閑散月には目いっぱい休日を取る、ということも理論上は可能です。

■企業の魅力を上げる休日の設定

ここまで、労働基準法に反しない最低基準の休日日数について解説しました。少数精鋭で、社長自身の考えや価値観が浸透しやすい会社の創業期は、この最低基準でやっていくのも良いと思います。

一方で、良い人材を集めるという観点で休日を設定するのも重要です。特にここ数年は、働き方改革の考え方が労働者に浸透し、転職活動の際、残業時間や休日の日数を重視する求職者が増えています。

私自身が社長のアドバイスしているのは、創業当初は労働基準法ギリギリのライン。無理をしない方がいいですから。でも、企業力が向上し、雇用人数も増加させていく中で、求職者から見て魅力的と思えるような休日の設定に徐々に切り替えていきましょう、と言うことです。

求職者が期待する「魅力的な休日」とは?

休日の日数をどの程度に設定すると、求職者が期待する「魅力的な休日」となるのでしょうか?

・週休2日の所定休日で、年間104日。
・年間の祝日16日を加えると、年間120日になります。
 (所定休日と重複するとその日数分減ります)
・さらに、年末年始や夏期休暇を加えると、年間125日以上になります。

求職者から見て、
一般的には、年間休日が120日以上になると魅力的に映り、
125日以上になるとかなり魅力的に映ります。

逆に、110日を下回ると、休日が少ないと感じてしまう傾向があります。

求人募集をした場合、応募人数などの反応が大きく変わってくることもあるので、これらの数字を参考にしていただけたらと思います。

■まとめ: 休日設定で企業の未来をデザイン

企業が持続的な成長を続けるためには、法的な基準をクリアすることに加え、良い人材を集め、従業員の満足度やモチベーションを向上させていくことが欠かせません。休日の設定は、その一環として非常に重要な要素です。今回の記事を参考にしていただければ幸いです。

当社労士事務所は大阪、堺市、を中心に様々な企業の問題に取り組んでおります。


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