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運送業における人手不足問題とその対策:求人募集戦略で応募者数を12倍に

運送業界では人手不足が深刻な課題となっています。しかし、適切な求人募集戦略を活用することで、応募者数を12倍に増やす成功事例も存在します。本記事では、社労士、採用定着士として、運送業界の人手不足問題を解決する専門家が、その対策に焦点を当て、効果的な求人募集戦略の重要性を探っていきます。

■運送業における人手不足の現状

運送業界の人手不足、その現実について深掘りしてみましょう。私もよく利用するのですが、電子商取引の急成長により、配送業界全体で大量の荷物が動いています。そこでトラックドライバーが果たす役割は、これまで以上に大きくなっています。

上のグラフは、平成13年以降の有効求人倍率(ハローワーク パートを含む常用)です。
令和4年では全業種平均で1.16倍なのに対し、運送業界だけで見るとその倍率は2.3倍と大きく上回ります。
ちなみに、有効求人倍率とは求職者1人に対して何社(件数)の求人があるかということ。
12年前の平成23年は1.07倍なので、求職者1人に対して1.07社。会社目線でいうと、10社の求人に対し、9.35人の求職者がいるという状態です。
ところが令和4年は2.3倍なので求職者1人に対して2.3社。会社目線だと10社の求人に対し、求職者が4.3人しかいないという状態です。
「ちょっと前までは求人を出したら応募があったのになあ」というのもこれを見ると分かります。

運送業界における人手不足の主な原因

それでは、運送業界が直面する人手不足の根本的な原因について見ていきましょう。運送業界で働くことを選ぶ人が減っている背後には、いくつかの大きな要素が絡み合っています。

まず一つ目は、過酷な労働環境というイメージです。トラックドライバーは早朝から深夜までの長時間労働、休日出勤、そして厳しい納期管理といった状況に立ち向かう必要があります。これらの厳しさが若い世代から見れば、なかなか手を出しにくい業界という印象を与えてしまっているのかもしれません。

二つ目の要素としては、業界全体の高齢化です。中高年層が多くを占める現状では、新鮮な活力や若者特有の視点をもたらす新人が少ないため、活気に欠けるという印象がついてしまいます。

二つ目に、業界全体のイメージ問題が挙げられます。数十年前はテレビドラマや映画などで描かれるトラックドライバーのイメージが、若者にはカッコイイと映ったものですが、最近では見られなくなりました。一方で、ニュース番組などで長時間労働など厳しい条件ばかりがクローズアップされるようになっています。
運送業界で人手不足が進む要因はこのようなところにあるのではと考えています。

ドライバーの人手不足:2040年はどうなる?

では、今後の運送業の人手不足はどのようになるのでしょうか?
リクルートワークス研究所の「WorksReport2023 未来予測2040」によると、まだ現時点でのドライバーの労働需給はやや供給不足という状態。人手不足が本格的に進むのは今後2030年から2040年にかけてになります。

・2030年
 需要 409万人
 供給 371万人
 不足率 9%

・2040年
 需要 413万人
 供給 313万人
 不足率 24%

これを見て思うのは、今、運送業企業各社に求められるのは採用力、言い換えると人材を集める力を身につけないと、今後事業の継続自体が危うくなるということです。

■運送業界の人手不足問題:採用難の要因

これまで述べましたように、運送業界の人手不足問題は、とても深刻な問題です。
でも、考えてみて欲しいのです。運送業の仕事って、運転が好きな人にとっては大きな魅力があると思いませんか?1日のほとんどを自分のペースで運転を楽しむことができるのですから。うまく求職者に伝えることができたら、必ず解決の道は開けるはずです。その解決策についてこれから深く掘り下げていきます。

これまでの求人募集手法の限界

少しお聞きします。トラックドライバー人材を集めるために、あなたはこれまでどんな工夫をされましたか?

私がこれまでお聞きした声を集約すると、
・良い求人媒体を探す
・スカウトメールを活用する
・求人サイトで表示順位を上位にする
という3つになります。

大手の求人媒体を活用したり、運送業界専門の求人媒体を使ってみたり、最近ではindeedを使う方も増えています。それで応募が増えればいいのですが、全く成果が出ない。

そうすると、求人媒体の担当者からこのように言われます。
「スカウトメールを使って直接求職者にアプローチしてみませんか!」
このように言われることもあるでしょう。
「表示順位を上げてみませんか!」

これらはとても魅力的に思えます。でも、私がこれまで相談を受けた中では、それで成果が出たという方は残念ながらいません。

求職者へのアプローチよりも大切なこと

実はこのような求人募集の仕方、
・良い求人媒体を探す
・スカウトメールを活用する
・求人サイトで表示順位を上位にする
求人を出しても応募が無いという現象を引き起こす原因だと考えています。

確かにこれらが大切なのは間違いありません。
でも、10数年前とは採用市場が大きく変化しているのです。

例としては相応しくないかもしれませんが、合コンで例えてみましょう。

男性目線で、
男性が10名、女性が10名(あるいは1人欠席で9名)。
これが10数年前です。
お相手が見つかりやすい状態です。その会では見つからなくても、何度か参加しているうちに見つかる可能性が高いです。

ところが、今は男性が10名、女性が5名(あるいは1人欠席で4名)。
どの合コンに参加しても、このような厳しい状態になっています。

ライバルが多い中、選んでもらうには並大抵のことではありません。
場合によっては、話をする機会すらないかもしれません。
話をする機会に恵まれたとしても、「この人面白い!」と思ってもらえなければ、次に会うチャンスはありません。

・良い求人媒体を探す=合コンに参加する
・スカウトメールを活用する=積極的に話しかける
・求人サイトで表示順位を上位にする=周囲よりも目立って話をする機会を作る

ということですので、これらに力を入れても肝心の話の内容、求人募集で言うと、求職者の感情を応募へと揺さぶる何かが無ければ応募につながらないのです。

■人手不足解消の対策:実はトラックドライバーは応募が集まる職種です!

私は、運送ドライバーだけでなく様々な職種の採用をサポートしています。
介護福祉、医療、製造、営業など、一般的には応募が集まらない、人手不足が進むといわれる職種ばかりです。

このような人手不足が進む職種の採用支援をしていて感じるのは、運送ドライバー、トラック運転手とは、すごく成果が出やすい職種であるということです。その理由について2つお話します。

求職者と求人(企業)の数的バランスが良い

求人募集をして、どれだけ応募が集まるかの目安は有効求人倍率があります。
これが高ければ高いほど難易度は上がり、低いと応募が集まりやすくなります。

例えば、一般事務の令和4年の有効求人倍率は0.39倍。私は一般事務の採用支援をしたことは無いのですが、同じ採用定着士として採用支援をしている知人の話によると、1日に数十人が集まり、逆に社長が困ってしまったということがあったそうです。

でも、有効求人倍率以上に重要なのが求職者数と求人(企業)数。ターゲットと競合のバランスです。
近年の募集はWebが基本。ある程度の求職者がweb上の求人サイトに存在しなければ難しいです。求人サイトが釣り堀だとすると、釣りたい魚がいない釣り堀で、いくら良い餌で釣り糸を垂らしてもかかりません。

一方で、求職者が多くいたとしても、求人(企業)=競合が多くなると、自社の求人が埋もれやすくなり、難易度が上がります。

このバランスが運送ドライバーはすごく良いのです。求人(企業)数は、例えば介護職と比べると5~10分の1。求職者に御社の求人を見てもらう機会に恵まれやすいということです。先ほどの合コンで言うと、話をするチャンスに恵まれるということです。

競合の求人内容の内容が薄い

求職者に御社の求人内容を見てもらったとしたら、あとはどれだけ応募してもらえるかということ。「面白い。応募してみよう」思わせることができるかです。

これも競合との比較になります。競合の求人内容が充実していると、自社に応募してもらう確率が低くなるのですが、運送業の求人内容を見ていて思うのは、充実しているとは言えないとくことです。

単純に文字量が多ければ良いと言うものではありませんが、言葉足らずだと伝わりません。多くの運送ドライバー求人の文字量は、1,000~1200字、少ないものでは800~1,000字です。
この文字量では、基本的な募集要項以外に書くことができません。結果、給料はいくらという条件面だけでの比較になるので、余程良い条件でなければ応募が来ないのです。
私が採用支援している求人情報は、少なくとも4000文字以上はあります。求職者にしっかりと自社の特徴を伝えるためには、これくらいの文字量は必要になります。

逆に言うと、求職者にとって御社に入社するメリットを上手に伝えることができれば、応募者が簡単に集まります。

■運送業界における私たちの採用支援:実績と効果

それでは、運送業界における弊所の採用支援についてご紹介します。具体的な実績とその効果をご覧いただき、どのように業界の人手不足問題に取り組んでいるのかを理解いただければと思います。

私が関わらせていただいたある運送会社では、求人募集の仕方を変えることで応募者数が驚くことに12倍に増えました。
それまでは3大求人媒体の1つを使っていて、求人を出せばそれなりに応募もあったようですが、年々反応が鈍くなっていたそうです。

相談を受けた時は、約2か月間募集をして、応募者はたった1名。それも連絡がとれずに求人広告費がかかっただけで効果ゼロ、泣くに泣けない状態でした。
結論から申し上げますと、私が支援することで、同じ2か月間で応募12名。12倍の成果です。
では、どうやってそれだけの成果ににつながったのかとお話します。

運送業の人手不足対策:応募者を12倍にする求人内容の書き方

求人募集を成功させる上で最も重要なのが求人内容です。

・良い求人媒体を探す
・スカウトメールを活用する
・求人サイトで表示順位を上位にする

これらにいくら力を入れても、求人内容の中身が薄いと求職者の感情を動かすことができず、応募にはつながりません。
逆に、求人内容を充実させた上で、これらに力を入れると、応募者をいくらでも増やすことができます。

私が求人内容を書く際、いくつか意識していることがあるのですが、最も大切にしているのは、欲しい人材は何を考えているのかです。

転職活動をする人には必ず、悩みや不安、願望があります。
その悩みや不安、願望にフォーカスし、自社に入社することで解決しますよ、というメッセージ伝えることで、求職者の感情を動かすことができます。
実際に勤務しているドライバーの方に、前職で抱えていた悩みや不満、ここで働くことでどのように解決したかを書くことで、反応が上がりました。

今でしたら2024年問題で給料が減るのではという不安を抱えているドライバーが多いようです。もしその対策をしているのであれば、きっと応募が殺到するのではないでしょうか。

【2024年問題の対策についてはこちらを参照ください】

運送業の人手不足対策:応募者を12倍にする求人の見せ方

求人内容は最も重要であるのですが、誰にも見てもらえない状態では全く効果がありません。そこで、どの求人サイトで、どのように求人を見せるのかが重要になります。

私が一番活用しているのはindeedです。自社の採用ホームページを作成して、その求人情報がindeedに掲載されるというやり方です。
求人を公開したら、スマホを持って求職者目線で求人を探してみます。
例えば、「大阪市北区+トラック運転手」のキーワードで検索すると、多くの求人情報が一覧されます。求職者がその中から選んで、求人情報の詳細を見るのですが、「この求人を見てみよう」と思えるような見せ方に工夫します。
特に意識しているのが写真です。写真という小さなスペースを使って、ちょっと気になる求人に見せるという工夫です。

運送業の人手不足対策:反応を見て求人内容を修正する

充実した求人内容にし、求人サイトの中で競合とはちょっと違った見せ方をする。
でもこの段階ではあくまで仮説に過ぎません。本当に募集が来るかどうか決めるのは求職者。だからこそ、反応が無ければ求人の内容を修正する必要があります。

マネジメントサイクルでいうと、CA(評価、改善)に当たります。
・PLAN(計画)=求人内容を作成する
・DO(実行)=見せ方を工夫して募集する
・CA(評価、改善)=反応を見て修正

ほとんどの企業は、求人を公開したら後は結果を待つのみ。CA(評価、改善)は手つかずの状態ではないでしょうか?
非常にもったいないことです。ぜひ、反応を見て修正するということもしてほしいと思います。

ちなみに反応とは、応募だけではなく、どれだけの求職者が自社の求人を保存(お気に入り登録)してくれているかも含みます。Indeedの場合ですと、3人以上の方が保存すると人気マーク、10人以上になると超人気マークがつきます。
運送ドライバーの場合ですと、公開後5日程度で人気マーク、10日程度で超人気マークがつくと、その後応募者が続く傾向があります。

■まとめ:人手不足を乗り越え、運送業の採用成功へ

運送業界の人手不足は極めて深刻な問題ですが、適切に対策をすれば間違いなく結果につながります。かなり手のかかることかもしれませんが、一度応募が集まるパターンを作り上げることで、人手不足から解放され、本来の経営に力を入れることができます。
ご参考にしていただけたら幸いです。

当社労士事務所は大阪、堺市、を中心に様々な企業の問題に取り組んでおります。

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