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計画的付与(計画年休):有給足りない社員へのとっておきの方法

計画的付与日に有給が残っていない社員への対処法は?欠勤控除やパートさんに給料を支払わないのは法的問題があります。特別休暇にして給料を支払う、休業手当を支払うなどの対策も、会社にとって余分な出費であり、従業員間での不公平感を生じさせる可能性があります。この問題の解決策として、社労士がとっておきの方法をご紹介します。

1.有給休暇の計画的付与(計画年休)って何?基本からわかりやすく解説!

有給休暇の「計画的付与」、あるいは「計画年休」という言葉を聞くと、少し難しそうに感じるかもしれませんね。ですが、この制度は実はとてもシンプルで、非常に大切なものなのです。

要は、企業が従業員に対して、有給休暇をあらかじめ決められた日に取得させること。これが計画的付与、または計画年休の基本となるわけです。

この制度の狙いは、社員が有給をスムーズに、そして有効に活用できるようにすること。特に、有給をなかなか取れない環境にある社員にとっては、計画的付与は大きなメリットをもたらします。実は、計画的付与を行う企業では、有給休暇の取得率が高くなる傾向にあります。これは、有給休暇を計画的に取得することで、仕事とプライベートのバランスをとりやすくなるからです。

しかし、計画的付与を実施するには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。例えば、従業員との事前のコミュニケーション、労使協定の締結、そして就業規則の整備などです。これらをしっかり行うことで、計画的付与はスムーズに進み、職場全体の働きやすさを向上させることができます。

次の段では、計画的付与の具体的な定義や目的について、もう少し詳しく見ていきましょう。

計画的付与の定義と目的

計画的付与とは、企業が従業員に対して、年次有給休暇(通称:有給)をあらかじめ決められた日に取得させる制度です。これにより、有給を「計画的に」使ってもらうことができます。この制度の大きな目的は、従業員が有給を有効に活用しやすくすることにあります。

実際、計画的付与制度を導入している企業では、導入していない企業と比較して、有給休暇の平均取得率が8.6%も高いというデータがあります(厚生労働省平成20年調査)。

特に、有給が取りにくい職場環境にある方々にとっては、計画的付与は大きな助けとなるわけです。

中小企業における計画的付与の適用

中小企業では、従業員が少ないために、一人一人の休暇が業務に大きな影響を与えることがあります。計画的付与を導入することで、休暇を管理しやすくなり、業務の円滑な進行を支援できます。中小企業で計画的付与をうまく活用するためには、従業員とのコミュニケーションや事前の調整が重要になってきます。

有給休暇計画的付与の法的側面

有給休暇の計画的付与は、労働基準法第39条に基づいています。この法律は、労働者が年次有給休暇を取得する権利を保障しており、計画的付与もこの枠組みの中で運用されます。

しかし、計画的付与を行うためには、労使協定の締結が必要です。これは、労働者と使用者が互いに合意の上で休暇の日程を決めるということ。ただし、協定を結ぶ際には、労働者の意見を十分に反映させることが大切です。

2.計画的付与(計画年休)日だというのに有給休暇が無い!どうする?

明日は前から決めていた有給休暇の計画的付与日(計画年休日)。社員全員で一斉に休んでリフレッシュする予定でした。しかし、突然「有給がない」という声が上がりました。これは、経営者として頭を悩ます事態ですよね。では、こんなとき、どう対処すれば良いのでしょうか?

もし有給が残っていない場合、社員(月給制)は欠勤控除されることになり、パート(時給制)はその日の時給分が支給されない可能性があります。これが一見、合理的な対応に思えるかもしれません。しかし、ここで一つ注意が必要です。このような対応は、実は法的に問題があるのです。

そこで、重要なのは「なぜ有給がない」という状況に至ったのかを理解すること、そして適切に対応する方法を知ることです。以下で、この問題にどう対処すれば良いのかを詳しく解説していきます。

計画的付与に有給足りない?原因を探ってみよう

有給休暇が足りなくなる状況、それはどうして起こるのでしょう?原因は多様です。

例えば、従業員が有給を積極的に使っている場合、計画的付与日の前に有給を使い切ってしまうことがあります。これは少し問題ですね。

また、新入社員がまだ入社して6か月経過しておらず、有給休暇が付与されていないケースもあります。

さらに、計画的付与を適用する際には、自由に使える有給休暇5日を残しておく必要があるため、出勤日数が少ないパートさんは計画的付与の対象外となることがあります。

これらの要因を理解することで、適切な対策を講じることが可能です。

どう対応する?一般的な方法とその落とし穴

一般的な対応方法にはいくつかありますが、それぞれに問題点が存在します。

・有給休暇が無い人だけ出勤する
この方法は労使協定に基づいて行うことが可能ですが、入社間もない新入社員や有給を使い切った人には疎外感を与えかねません。また、退職を検討するきっかけにもなり得ます。

・休業手当を支払う
会社の都合で休ませる場合、無給は許されず、最低限平均賃金の60%にあたる休業手当の支払いが必要です。これは、月給制の社員にとっては給与計算が複雑になりますし、時給制のパートには余計な出費となり、不公平感が生じる可能性があります。

・特別休暇にする
この対応は、有給を使い切った人に対して追加の休暇が与えられることになり、不公平感を生じさせる可能性があります。特に時給制のパートには給与が発生するため、問題が複雑化します。

・有給の前借
前借りは一定の条件下で可能ですが、基準日に前借り分を差し引くことは違法になります。例えば、今年入社した新入社員が計画的付与日に有給を使い切った場合、その前借り分を翌年の有給から差し引くことはできません。

しかし、法定を上回る日数を付与している場合、例えば11日の有給休暇があるところを12日付与する場合は、前借り1日分をマイナスすることは許されます。ただし、中小企業で法定を上回る有給休暇を設定している会社は少ないのが現実です。

さらに、基準日(有給付与日)を前倒しする方法もあります。例えば、10月1日に発生する11日間の有給休暇を6月1日に前倒しして付与することも可能です。ただし、これは実質的に有給を増やしていることになり、不公平感を生じさせる可能性があります。

公平に解決するためのとっておきのアイデア

では、どうすれば公平に解決できるのでしょうか。

通達(昭24・3・22基収4077号)によると、「労働協約、就業規則または労働契約により休日と認められている日には、休業手当を支給する義務は生じない」とされています。

つまり、有給休暇がない社員には「休日」として対応する方法があります。

休日は、労働義務が無いという日であるため、パート(時給制)の給料は必要ありません。この方法なら、会社としても無駄な出費を抑えつつ、従業員間のバランスを保つことができるでしょう。

3.うまくいく有給管理!実践例とアドバイス

有給休暇の管理は経営者にとって頭の痛い問題の一つですよね。どうやって従業員に積極的に休んでもらい、かつ業務に支障をきたさないようにするか、それが大きな課題です。しかし、実は有給管理の「コツ」があるんです。今日は、有給管理をうまく行うための実践的なアドバイスをお届けします。

成功事例から学ぶことがとても大切です。有給休暇をうまく活用している会社では、社員のワークライフバランスが改善され、結果的に生産性も向上しています。この成功の鍵は、社員が有給を気軽に取れる社風と、適切な管理システムにあります。

具体的には、就業規則の見直しや社内コミュニケーションの強化が効果的です。有給休暇の取得を促すルールを明確にし、社員が休暇取得に関して相談しやすい環境を整えましょう。

このセクションでは、有給管理を成功させるための具体的なアプローチを紹介します

成功事例に学ぶ:有給管理のコツ

有給管理がうまくいっている会社には共通点があります。まず、有給の取得を積極的に推奨している社風が根付いています。

例えば、有給を取得しやすい環境を整え、社員が休みを取ることに罪悪感を感じないような文化を作り上げることが重要です。また、有給休暇の取得状況を定期的にチェックし、取得率が低い従業員には積極的に声をかけるなど、管理者の関与も欠かせません。

就業規則の工夫で問題を解決

有給管理の鍵となるのが、就業規則の工夫です。例えば、計画的付与の日を年間で数日設けることにより、社員全員が同時に休暇を取ることが可能になります。これにより、個々の社員が有給を取りやすくなるだけでなく、業務のスケジューリングもしやすくなります。

社内コミュニケーションの重要性

有給管理においては、社内コミュニケーションが非常に重要です。従業員同士、また従業員と管理職の間で、有給休暇の取得についてオープンに話し合うことが大切です。これにより、有給休暇に対する誤解を解消し、互いの理解を深めることができます。さらに、休暇中の業務の引き継ぎや代理の体制を整えることも、円滑な休暇取得に寄与します。

まとめ

有給休暇がすでに使い切られている社員への計画的付与は、特に中小企業において難しい課題です。この問題に対処するためには、まず、有給休暇の使いすぎを防ぐための社内ポリシーの明確化が必要です。

次に、法的な枠組み内で、休業手当の支給や特別休暇の導入など、適切な対応策を検討することが重要です。

また、就業規則の工夫や、社内コミュニケーションを通じて従業員の理解を促進することも効果的です。これらのアプローチにより、有給休暇がない社員に対しても公平かつ合理的に対応し、職場全体の調和を保つことが求められます。



当社労士事務所は主に20名以下の小規模企業様の採用、定着、人事労務の問題解決に取り組んでおります。





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