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社長必見!同月得喪(入社した月に退職)時の社会保険料とその還付のポイント

社会保険の中でも、同月得喪(入社した月に退職)は混乱しやすい部分。月の途中で退職した場合、その月の社会保険料はかからないのですが、同月得喪の場合は例外で給料からの徴収も必要です。さらに複雑になるのが保険料の還付と従業員への返金。この記事では、入社した月に退職するケースの社会保険料の計算と還付についてくわしく解説します。

社会保険の同月得喪とは?その特徴を知る

社会保険制度には多くの細かいルールや取り決めが存在します。その中でも「同月得喪」という言葉を耳にすることがありますが、具体的にはどういったものなのでしょうか。このセクションでは、同月得喪の基本的な意味から、その特徴まで詳しく探ることとします。

なぜ同月得喪は特別なのか?

同月得喪は、文字通り同一の月に入社し、その後同じ月中に退職する場合を指します。一般的に、月の途中で退職した場合、その月の社会保険料は原則として発生しないとされています。しかし、同月得喪の場合はこのルールが適用されません。会社は給与計算時に、その月の社会保険料を徴収する必要があります。

この特例は、入退職の行為が短期間で行われる場合の社会保険制度の適用を明確にするために設けられました。短期間の労働でも、従業員としての権利と義務が発生することを理解することが、同月得喪の特徴を理解する上で重要です。

同月得喪の場合の社会保険料の取り扱い

同月得喪の際には、特に厚生年金保険料の取り扱いが重要となります。

厚生年金保険料: 従業員が退職後に新たな保険への加入手続きを行うと、年金事務所より対象となる企業に対して厚生年金保険料の還付通知が届きます。この通知には、還付を現金で受け取るか、または今後の保険料として相殺するかの選択が求められます。忘れずに回答するようにしてください。

健康保険料: 健康保険料は還付の対象とならず、一度支払われた健康保険料は返却の対象外となります。

企業側としては、年金事務所からの通知に適切に対応することで、不要な手間やミスを避けることができます。

厚生年金保険料の還付の詳細

厚生年金制度は、我が国の社会保険制度の中心となるもので、多くの労働者がこの制度に加入しています。しかし、一定の条件下での退職や再就職などの際に、還付の対象となるケースも存在します。ここでは、厚生年金保険料の還付について、その手続きや対象条件を詳しく解説します。

厚生年金保険に加入した場合の還付手続き

新たに厚生年金保険に加入した場合、前職での社会保険料の一部が還付されるケースがあります。その際の手続きは以下のとおりです。

年金事務所からの通知: 新たな保険加入を行った後、関連する企業に年金事務所から還付通知が届きます。
選択の手続き: この通知には、還付を現金として受け取るか、今後の保険料として相殺するかの選択が求められます。
受取方法: 現金として受け取る場合、指定の方法で還付金が振り込まれます

還付の対象となる場面とその条件

厚生年金保険料の還付対象となる場面は主に2つ存在します。それぞれの場面と、その条件を詳しく解説します。

別の企業への再就職と社会保険の取得: 一つの企業を退職した後、同じ月内に別の企業に就職し、再び社会保険の資格を取得した場合がこのケースに当たります。

条件: 退職後、同月中に新たな企業に入社し、そこで社会保険の資格を正式に取得することが必要です。
国民年金の資格取得: 企業を退職し、その後同月内に国民年金の資格を取得する場面も、還付の対象となり得ます。

条件: 退職後、同月中に国民年金の資格を正式に取得することが必要です。この場合、厚生年金とは異なる国民年金の手続きが求められる点に注意が必要です。

厚生年金保険料還付に関する注意点

厚生年金保険料の還付には、数々の注意点が存在します。ここでは、社長や人事担当者が特に把握しておくべき3つの注意点を取り上げます。

注意点1:還付された時は本人に返金すること

厚生年金保険料が還付された際、従業員本人にその金額を返金する義務が会社には生じます。そのため、還付の事実をもとに適切な手続きを進めるとともに、従業員とのコミュニケーションを密に取ることが必要です。

注意点2:源泉徴収票を再発行すること

厚生年金保険料の還付が行われた場合、源泉徴収票の再発行が必要になります。正確な金額を反映させるためにも、税務上の手続きを適切に行うことが求められます。

注意点3:還付がされないケースがあること

還付が期待される一方で、還付が行われないケースも存在します20歳未満や60歳以上で新たな職に就かない、あるいは新たな職に就いてもパート勤務等で、社会保険の被保険者とならない場合、還付は受けられません。その主な理由は、20歳未満や60歳以上は国民年金の被保険者とならないためです。

還付の手続きや対応に関しては、社会保険労務士や専門家のアドバイスを受けることで、よりスムーズかつ適切な対応が可能となります。

健康保険料とその取り扱い

健康保険は私たちの日常生活において欠かすことのできない社会保険の一部です。ここでは、健康保険料の特性や取り扱いについて詳しく解説します。

なぜ健康保険料は還付されないのか?

健康保険料は、従業員の健康を守るためのものとして、厚生労働省の下で運営されています。では、なぜ同月得喪の場合、厚生年金保険料は還付されるのに対し、健康保険料は還付されないのでしょうか。

厚生年金保険料に還付の制度が存在するのは特有の理由があります。同一の月内で何度も社会保険に加入し、その都度保険料を支払っても、年金の計算においては最後の加入時に支払った保険料のみが認識されるためです。具体的には、同月得喪の状況で2ヶ月分の厚生年金保険料を支払っても、実際の年金の算定には1ヶ月分のみが反映されるという事態が起こり得るのです。

一方、健康保険料の場合、徴収の基本は月ごととなっており、このような厚生年金特有の還付の制度や例外は存在しません。このため、健康保険料は還付の対象外となるのです。

以上の理由から、健康保険料は同月得喪の場合でも還付の対象とはならないのです。

社長として知っておくべき対応策

社会保険料やその他の労務に関する問題は、ビジネスを運営する上で避けられない課題の一つです。特に従業員からの質問や疑問に対する適切な対応は、企業の信用や従業員のモラルを維持する上で非常に重要です。この章では、社長として知っておくべき対応策について詳しく解説します。

従業員からの質問への回答方法

従業員からの質問や疑問に対する適切な対応は、信頼関係を築く上で不可欠です。以下は、質問への効果的な回答方法です。

十分な理解: 従業員からの質問内容をしっかりと理解することから始めます。質問の背景や理由を探ることで、的確な答えを提供することができます。

正確な情報提供: 誤った情報や半分しか知らない情報を提供することは、後でトラブルの原因となります。確認が必要な場合は、その旨を伝え、後日回答することも選択肢として良いでしょう。

オープンな態度: 質問に対して逃げることなく、オープンに対応することが重要です。また、自らが知らないことは認め、必要ならば専門家に相談することも大切です。

定期的な情報提供: 従業員が持つ疑問や不安を事前に解消するために、定期的な情報提供や勉強会を行うことで、多くの問題を未然に防ぐことができます。

社会保険労務士や担当者との連携の重要性

社会保険や労務に関する複雑な問題を適切に対応するためには、専門家との連携が不可欠です。以下はその重要性について詳しく解説します。

最新の情報を入手: 法律や制度は常に変わるものです。社会保険労務士や担当者と連携することで、最新の情報やトレンドを常に把握することができます。

問題の早期発見: 専門家との定期的なコミュニケーションにより、問題や課題を早期に発見し、対処することが可能となります。

信頼関係の構築: 長期的に見て、社会保険労務士や担当者との信頼関係を築くことは、労務問題をスムーズに解決する上で大変有益です。

以上、社長として知っておくべき対応策について詳しく解説しました。社会保険や労務に関する問題は難解な面が多いですが、適切な対応と専門家との連携により、効果的に取り組むことができます。

まとめ

社会保険同月得喪の保険料の取り扱いは、中小企業社長にとって深く理解しておくべきテーマの一つです。同月得喪による社会保険料の特別な取り扱いや厚生年金保険料の還付、健康保険料の非還付性、さらに適切な返金対応など、多くの要点が含まれています。これらの情報は、従業員の疑問や懸念に対して迅速かつ正確に回答するための基盤となります。また、企業の信用性やブランディングにも大きく影響します。経営者として、これらの情報を正しく把握し、適切な対応策を講じることが求められます。今回の記事を通じて、その重要性を再確認できたのではないでしょうか。


当社労士事務所は大阪、堺市、を中心に様々な企業の問題に取り組んでおります。


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