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社労士が教える「残業代15分単位は違法」を回避するポイント

「残業代を15分単位で支払っているけど、これって大丈夫?」多くの中小企業社長が抱える疑問。しかし、その方法、実は違法のリスクが…。この記事では、「残業15分単位違法」の問題をしっかりと解説。さらに、無駄な残業を効果的に削減するヒントも紹介します。

15分単位の残業代計算、本当に問題なの?

社会保険労務士として、多くの中小企業の社長や経営者から「残業代を15分単位で計算するのは違法なの?」という言葉に関する相談を受けています。この問題は、近年特に注目を集めており、正確な知識を持って対応することが必要です。まずは、この問題がどのような背景で浮上してきたのか、そして具体的な計算方法とその問題点について解説します。

なぜ「残業代 15分単位」の問題が浮上したのか

「残業代15分単位は違法」という言葉を聞くと、多くの社長は驚きます。というのも、多くの会社が15分単位での残業代計算を行っているからです。この方法の背景には、「労働基準法」や「労働時間」の管理の難しさが関係しています。従業員の「残業時間」や「勤怠」の管理は、中小企業にとって非常に大変な作業の一つです。特に、終業時間直後の「15分」や「30分」に満たない短い時間の残業が発生した場合、どのように計算すれば良いのか悩む会社は多いでしょう。

また、近年の「労働基準監督署」の指導や「労働問題」のニュースを見ても、残業代の未払いや計算ミスが問題となっているケースが増えています。これらの事例が浮上する中、15分単位での残業代計算の是非が問われるようになったのです。

15分単位の計算方法とその問題点

原則として、残業代は「1分単位」で計算するのが基本です。しかし、多くの会社では「15分単位」という計算方法を採用しています。例えば、1日の残業が1時間15分の場合、1時間分の残業代と、次の15分間分の残業代を計算します。しかし、この方法にはいくつかの問題点があります。

まず、「端数」の処理が問題となります。たとえば、1日の残業が1時間7分の場合、この「7分」はどのように計算すれば良いのでしょうか。従業員から見れば、この7分もしっかりと働いた時間です。しかし、会社側からすると、この7分を計算に入れることで賃金の計算が難しくなってしまいます。

さらに、終業時間が18時なのに、タイムカードが18時18分になっている場合、タイムカードを押すまでの数分間は、一息ついたりする時間もあると考えられます。そのため、タイムカードの時間と実際の業務の終了時間が一致しないケースがあります。

このような問題点を考慮すると、15分単位での残業代の計算方法は、実は適切ではないのかもしれません。会社側も従業員側も、正確な計算方法を知っておく必要があります。

「残業代 15分単位 違法」って、どんな時?

社会保険労務士として、中小企業の社長や経営者からよく聞かれるのが、「残業15分単位 違法」というテーマ。これは単なる噂話ではなく、実際に企業が注意しなければならないポイントです。それでは、どのような場合に「違法」とされるのか、具体的なケースを見ていきましょう。

端数切り捨ての落とし穴

原則として、残業代は「1分単位」で計算するのが基本です。この理由は、労働基準法第24条に「賃金全額払いの原則」として明記されているからです。つまり、たとえ1分であっても労働したのであれば、その分の給与を支払わなければならないとされています。

しかし、現場での勤怠管理の都合や、給与計算の簡便さを求める中で、多くの会社が「15分単位」や「30分単位」での計算を採用しています。この方法の最大の落とし穴は、「端数切り捨て」です。

例えば、1日の残業が23分だった場合、15分単位で計算すると、8分の残業代が支払われないことになります。これは、従業員から見れば明らかな「未払い」となり、企業としても「労働基準監督署」の指導や罰金の対象となる可能性があります。

中小企業が陥りやすい誤った勤怠管理

中小企業における勤怠管理は、大企業に比べて手作業や簡易的なシステムが多いのが現状です。特に、「タイムカード」の管理において、実際の業務終了時間と打刻時間が異なるケースが見受けられます。

終業時間が18時なのに、タイムカードが18時18分になっている場合、タイムカードを押すまでの数分間は、一息ついたりする時間もあると考えられます。このような微妙な時間の取り扱いが、給与計算における「違法」の原因となることがあります。

また、日々の業務の中で、「早退」「遅刻」や「深夜」の業務が発生した場合の時間の取り扱いも、注意が必要です。特に、これらの時間が「15分単位」や「30分単位」で端数処理されると、従業員の権利が侵害される可能性があります。

正しく残業代を支払わない、そのリスクを知っていますか?

残業代を払うのはもったいない、と思う社長さんも多いでしょう。でも、正直言って、今の時代には残業代を正しく支払わないことはデメリットでしかありません。私も社会保険労務士として、社長から「残業代を払うのはもったいない」と嘆かれることがあります。もちろん、その気持ちもよくわかります。でも、そう言われた時、私は「実は、払わない方がもっともったいないんです」と答えています。

2020年4月1日以後、残業代の時効が変わりました

まず、2020年4月1日からは、残業代請求の時効が3年に変わりました。これまでの2年から延長されたわけです。つまり、従業員が「3年前の残業代が未払いだ」と請求してくる可能性があるんです。今後はさらに5年に延長される話も出ています。この変更が意味することは、企業としてのリスクが増加しているということ。残業代の計算と支払いを正確に行うことが求められます。

会社の評判が落ちて、本業にも影響する?

企業の評判は、今やSNSや口コミサイトで瞬時に広がります。「この会社、残業代をちゃんと払っていない」という情報が流れれば、その影響は計り知れません。顧客からの信頼の低下はもちろん、取引先との関係にも悪影響が出ることが考えられます。さらに、購買意欲の減少や業績の低下といった、直接的な経済的な損失も招く可能性があります。

人材を採用するのが、こんなに難しいなんて!

良い人材を採用するのは、どの企業も望むこと。しかし、残業代の未払いという情報が流れれば、優秀な人材があなたの会社を避けるかもしれません。新卒採用、中途採用、どちらにしても、人材獲得が難しくなるリスクがあります。特に若手の人材は、働く環境や待遇を重視する傾向が強いため、残業代の問題は大きなデメリットとなり得ます。

15分単位切り捨て、その背後にはこんな事情が!

残業代の計算で「15分単位の切り捨て」。多くの会社で採用されているこの方式、でも実はその背後にはいくつかの理由や事情が隠れています。今回は、この「15分単位切り捨て」がなぜ生まれたのか、その背景を掘り下げてみたいと思います。

それ、どう計算するの?残業代の複雑な計算

残業代の計算、一見シンプルに思えるかもしれませんが、実はかなりの複雑さが隠れています。まず、従業員の時給や月給、労働時間、休憩時間、深夜手当や休日労働の手当など、考慮すべき要素が多数存在します。

このような複数の要因を考慮した給与計算は、特に中小企業にとっては大きな負担となり得ます。そこで、計算の簡便さを求めて「15分単位の切り捨て」や「30分単位の切り捨て」といった方法が採用されるようになったのです。しかし、この方式が選ばれると、従業員から見れば端数の残業代が未払いとなるケースも出てきます。

タイムカードと現場の実態、その微妙なズレ

「タイムカード」は、現代の多くの会社で欠かせない存在となっています。けれど、タイムカードの打刻時間と、実際の業務の終わりの時間との間には、意外とズレが生じていることがよくあります。

たとえば、18時に終業とされているのに、実際の業務は18時10分まで続いている場面。それなのに、タイムカードは18時に打たれてしまっている。このような状態は、昔からの慣習や、何らかの指示によるものでしょう。社長自らが指示することは考えにくいですが、管理職などが指示していることもあるようです。そういった古い慣習や不適切な指示は、今こそ見直すべきです。

そして、タイムカードを押した後の数分間。終業時刻が18時なのに、タイムカードは18時18分となっているケース。その間の一息ついている時間は、労働時間としてカウントされるべきではないかもしれません。しかし、それを会社側が一概に切り捨てるのは問題。その時間には、次の日の業務準備など、実際に労働としてカウントすべき作業をしていることもあるからです。

「残業代 15分単位 違法」を回避する実践的な方法

社長の皆様、残業代の取り扱いについて、頭を悩ませていることはないでしょうか。特に「15分単位」の問題は、多くの企業で話題となっています。しかし、この問題をうまく回避する方法が存在します。今回は、それらの方法を具体的にご紹介いたします。

15分単位での切り上げ、そのメリット

まず最初に考慮すべき方法は「15分単位での切り上げ」です。従業員が8時間10分働いた場合、残業時間を8時間15分としてカウントするという方法です。

これにより、従業員の労働を適切に評価し、適正な賃金を支給することができます。また、この方法は、労働者にとっても分かりやすく、企業の評判を向上させる要因ともなります。

月間の残業時間のトータルで見る処理のススメ

次に、月間の残業時間をトータルで見る処理方法です。1か月間の残業時間の端数が30分未満なら切り捨て、30分以上なら1時間として切り上げてカウントする方法です。この方法の一番の魅力は、日々の微細な残業時間の端数を気にせず、月末に全体を見ることで公平な評価ができる点にあります。

具体例:
従業員Aさんの場合、毎日の残業が15~20分と短い時間であったとしましょう。それが1か月続いた場合、累計で5時間以上の残業が発生しています。しかし、日々の端数が切り捨てられると、その時間は全くカウントされなくなります。毎日の数分の切り捨ても大きくなることを考慮すると、例えば、毎日3分の切り捨てでも1か月では1時間になるのです。

この方法を採用すれば、1か月間の残業時間が、例えば30分未満なら切り捨て、30分以上なら1時間としてカウントします。Aさんの場合、5時間以上の残業が正確にカウントされ、適正な残業代が支払われることとなります。

さらに、具体的な例を挙げると、

1か月の残業時間が5時間25分の場合:
25分は30分未満なので切り捨て、結果として5時間としてカウント。

1か月の残業時間が5時間35分の場合:
35分は30分以上なので切り上げ、結果として6時間としてカウント。


このように、月間のトータルの残業時間を基準にして、公平に給与計算を行うことができます。

残業を申告制にすることで無駄な残業代を減らす

経営者とのコンサルティングの中で、「タイムカードの時間と仕事をしている時間とは違う!」という声をよく耳にします。しかし、タイムカードの時間と実際の業務の時間のギャップをどう埋めるか。その方法として、残業を申告制にすることが注目されています。
簡単に言うと、残業をする場合は申請しないと残業代が出ないですよ。というやり方です。

小見出し:残業申告制の方法

1.事前申告制の導入
業務の性質上、どれだけの残業が必要になるかを事前に予測し、それに基づいて残業の申請を行う。事前申告が難しい場合、業務終了後の事後申請でも良い。これにより、予期しない長時間の残業を避けることができます。

2.実業務終了時間の記録
従業員が業務を終えた実際の時刻を「時間外勤務票」やタイムカードに正確に記録してもらう。これにより、実際の労働時間とタイムカードの時間の間に生じるギャップを最小限にすることができます。

残業申告制の上手な活用法

例えば、定時が18時で、タイムカードには18時18分と打刻されている場合。従業員が残業を申告していなければ、実際の労働時間は18時とみなされます。逆に、18時18分まで残業していたと申告した場合、その18分間の残業代をしっかりと支払う必要があります。しかしその際、
「今日はちょっとおしゃべりしてたよね。もう少し効率的に作業できると良いよね?」
というようなコミュニケーションを取ることで、無駄な残業を減少させる方向へと導くことができます。

残業申請制の注意点

残業申告制度を導入すると、従業員からの申請がない限り、基本的に残業代は発生しません。これ自体は誤ったやり方ではないですが、適切に運用しないと、問題が発生することも。以下、特に注意が必要な点を挙げてみました。

1.申請がないのに残業を確認できるケース
もしも従業員が残業をしているのを目撃・確認しているのに、その従業員からの残業申請が一切ない場合。これは、会社が残業代を支払わない方針を持っていると誤解されている可能性があるので、注意が必要です。

そのような場合、従業員に対して確認を行い、実際に残業をしている場合は、必ず申請をするよう指導しましょう。

2.タイムカードと申請時間の大きなギャップ
たとえば、終業時刻が18時のはずなのに、タイムカードの打刻は18時10分で、しかも残業の申請がない場合。これは申請漏れの可能性が高いです。そういった場合は、従業員に申請を促し、適切な残業代を支払うようにします。

また、仮にその時間が仕事以外のもの、例えば資格の勉強だったとしても、そのギャップの理由を明確にし、タイムカードなどに記入してもらうようにしましょう。

まとめ:「残業代 15分単位 違法」問題、それをクリアする道のり

「残業代 15分単位」の問題。これまでの内容を踏まえ、会社としてどのように対応すべきなのか、最後にまとめておきましょう。

日々の勤怠管理、その見直しのコツ

・タイムカードの活用
タイムカードは勤怠の大切な記録。しかし、実際の業務時間とのギャップが生じやすいので、その点を注意深くチェックするようにしましょう。

・残業の申告制の導入
従業員からの残業時間の申告を基に、給与計算を行う方法。実際の業務の量や内容をより正確に把握することが可能です。

・月間の残業時間のトータルでの評価
日々の少しの時間も、月間としては大きくなります。毎日15~20分の残業でも、1か月では数時間の差となります。

・従業員の教育とコミュニケーション
残業のルールや申告の方法など、従業員にしっかりと教育を行うことで、適切な勤怠管理が可能となります。また、従業員とのコミュニケーションを大切にし、疑問や不安を解消するよう努力しましょう。

社労士と手を取り合って、トラブルを未然に防ごう

・社労士との連携の重要性
労働問題は複雑で、日常の業務だけでは対応が難しいことも多いです。そこで、社労士との連携が非常に重要。法的なトラブルを未然に防ぐためのアドバイスやサポートを受けることができます。

・社労士の役割
社労士は、労働法の専門家。勤怠管理の方法や、法的なトラブルを避けるためのアドバイスなど、幅広いサポートを提供してくれます。定期的なミーティングを設け、現状の勤怠管理の問題点や改善点を共有し、より良い方法を模索することが大切です。

・トラブルの早期発見と対応
もしもトラブルが発生した場合、社労士と連携して早期に対応することで、大きな問題へと発展するのを防ぐことができます。また、トラブルの原因を分析し、再発防止策を考えることも忘れずに。

以上のように、日々の勤怠管理と、社労士との連携を強化することで、「残業代 15分単位 違法」の問題を回避し、会社としても従業員としても安心して業務を進めることができるのです。



当社労士事務所は主に20名以下の小規模企業様の採用、定着、人事労務の問題解決に取り組んでおります。





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