NEWS お知らせ

有給取得率の計算方法:100%を超えるってどんな時?社労士が解説

有給休暇取得率が高いことはポジティブな印象を与えますが、その背後には様々な問題が潜んでいるかもしれません。この記事では、有給取得率の計算方法をはじめ、数字が隠している真実について掘り下げています。さらに、有給取得率を適切に高めることで、従業員の満足度を向上させ、企業としての優良な地位を築くための具体的な方法を提案します。

1.有給取得率の計算方法

あなたの会社の有給取得率、ちゃんと把握していますか?
中小企業の社長さんにとって、有給取得率は従業員の働きやすさを示す重要なバロメーターです。でも、実はこの有給取得率、計算するのはとっても簡単なんです。

今日は、社会保険労務士の目線から、有給取得率の計算方法と、その意味するところをわかりやすく解説します。有給取得率を正しく理解し、適切に管理することで、従業員が心身ともに健康で、かつ効率的に働ける環境を作る手助けになるんです。

そして、それはあなたの会社が持続的に成長するための秘訣の一つでもあります。

ちなみに、有給休暇を取得することを、消化すると表現することもあります。
なので、有給取得率、消化率どちらも違いはありません。

有給取得率って何?知っておきたい基本

「有給取得率」とは、単純に言えば、従業員が実際に取得した有給休暇の割合のことです。これは企業にとって非常に重要な指標となります。

なぜかというと、有給取得率が高いということは従業員が休暇をしっかり取っている、つまり、働きやすい労働環境が整っているというサインになります。

労働基準法では、年間所定労働日数の8割以上出勤した従業員に対して、10日以上の有給休暇を付与することが義務付けられています。つまり、有給取得率は、従業員の権利を守るためにも大切なのです。

特に最近、働き方のトレンドとして、ワークライフバランスを重視する傾向が強まっています。休日や残業時間と並んで、有給取得率もワークライフバランスの重要な指標の一つです。

私は人材採用のサポートも行っており、求人内容に「有給取得率100%」と記載することで、求職者を魅了する一つの大きな武器になることを実感しています。

これは、企業が従業員の健康と幸福を真剣に考えていることの証であり、働きやすい職場環境を求める求職者にとって非常に魅力的です。

有給取得率の計算、実は簡単です

さて、有給取得率の計算は実はとてもシンプルです。計算方法は以下の通りです。

まず、年間付与された有給休暇の日数を計算します。たとえば、従業員が年間に付与された有給日数が10日で、そのうち5日を使用した場合、有給取得率は50%になります。

具体的には、

有給取得率 = (取得した有給休暇の日数 ÷ 付与された有給休暇の日数) × 100

となります。

ここで注意したいのは、有給休暇の日数は入社年数や勤務状況によって変わること。例えば、勤続年数が長い従業員はより多くの有給休暇が付与されるため、計算には個々の状況を考慮する必要があります。

2.有給取得率が100%を超えるってどういうこと?

自社の有給取得率が100%を超えていることに気づいたことはありますか?
これ、一見すると不思議に思えるかもしれませんが、実はそこには重要な意味が隠されているんです。

有給取得率が100%を超えるというのは、従業員が付与された有給休暇よりも多くの休暇を取得している状態を指します。これは一体どういうことなのか、そしてそれが企業にどんな影響を与えるのかを解説していきましょう。

100%を超える有給取得率、どうなってるの?

「100%を超える有給取得率」とは具体的にどのような状況を指すのでしょうか。
例を挙げてみましょう。

2年目の社員が入社1年6ヶ月経過した状態で、有給休暇の付与日数が11日です。
前年度に5日の有給休暇を繰り越しており、今年度にその5日を含め全部で16日の有給休暇を消化しました。

この場合の有給取得率は

16日(有給消化)÷ 11日(当年有給付与)× 100 = 145%

となります。これは100%を大きく超えていますが、どのような意味があるのでしょうか。

ポジティブな面としては、従業員が繰越した有給休暇も活用しているという点です。これは、休暇を積極的に使い、働きやすい環境が提供されている証拠とも言えます。また、有給休暇の消化が促進されることは、従業員のメンタルヘルスやワークライフバランスの向上にも寄与します。

しかし、注意すべき点もあります。例えば、従業員が前年度に有給休暇を使い切れなかったことが、業務の過多や環境の問題を示唆している可能性があります。また、病気などで有給休暇を一度に多く使う必要がある場合、これは従業員の健康管理に関する課題を表しているかもしれません。

このように、100%を超える有給取得率は、一見するとポジティブな側面を持ちますが、その背景には様々な要因が潜んでいることを理解し、適切に対処することが重要です。

有給休暇取得率100%超えが企業にもたらす影響

有給取得率が100%を超える現象が企業に与える影響は、一概には言えませんが、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。

まず、ポジティブな側面として、有給取得率が100%を超えることは、従業員が休暇を取りやすい環境が整っていることを示しています。

これは、企業文化が従業員の健康と福祉を重視している証拠であり、新しい人材を惹きつける大きな要因となり得ます。また、従業員が自身の時間を大切にし、リフレッシュすることで、生産性やクリエイティビティの向上にも寄与します。

一方で、この100%超えが示すかもしれない警告信号にも注意を払う必要があります。
特に、病気や急用で休暇を取るケースが多い場合、それは従業員のストレスや健康問題を示唆しているかもしれません。

また、有給休暇の取得が集中してしまうと、一時的に業務に支障をきたす可能性があります。これは、業務の適切な配分や人員計画の見直しが必要であることを意味しているかもしれません。

最終的に、有給取得率が100%を超える現象は、企業が従業員の健康と福祉に配慮していることの証拠でありながら、同時に、業務管理や人材計画に関する潜在的な課題に気づかせる機会でもあります。これをバランス良く捉え、適切に対応することが、企業の持続的な成長と従業員の幸福のために重要です。

有給取得率、ホワイト企業への第一歩!

働きやすい環境を提供する「ホワイト企業」。
その目安として重要なのが、有給取得率です。有給取得率は、従業員がどれだけ自由に休暇を取れるかを示す指標であり、これが高いほど、働きやすい企業であると見なされます。

では、この有給取得率をどのように理解し、活用すれば、企業はホワイト企業としての地位を築くことができるのでしょうか?

3.ホワイト企業の目安としての有給取得率

「ホワイト企業」と聞くと、どのようなイメージが思い浮かびますか?従業員の福祉や働きやすさを重視する企業ですよね。こうした企業では、従業員の健康と満足度が大切にされています。この企業文化の一つのバロメーターとして、有給取得率が非常に重要です。有給取得率が高い企業は、従業員がストレスなく休暇を取得でき、仕事とプライベートのバランスが取りやすい環境が整っていると言えます。

令和5年の就労条件総合調査(厚生労働省)によると、平均の有給取得率は62.1%です。

これは10年前の平成25年の47.1%から大きく上昇しています。

従業員規模別でみると、大企業(1,000人以上)の取得率が65.6%で、中小企業(30~99人)は57.1%となっています。一般的には大企業の方が取得しやすいというイメージがありますが、中小企業もかなり努力をしていることが伺えます。

【令和5年の就労条件総合調査(厚生労働省)】


ホワイト企業を目指すには、まず60%以上の有給取得率を達成することが第一歩です。
そして、真にホワイト企業としての評価を得るためには、80%以上の有給取得率を目指すべきでしょう。

有給休暇の取得を促進することは、従業員のメンタルヘルスの向上、疲労の回復、そして長期的な生産性の向上に大きく寄与します。企業として、有給休暇の積極的な取得を奨励し、それを実現するための環境を整えることが、ホワイト企業としての地位を築くための重要なステップです。

優良企業としてのイメージ向上への道

有給取得率を高めることは、企業の外部イメージにも大きな影響を与えます。
特に、新しい人材を惹きつけたい企業にとって、高い有給取得率は大きなアピールポイントになるでしょう。

現代の労働者は、給与の良さだけでなく、ワークライフバランスや働きやすさを重視する傾向にあります。そのため、有給取得率が高い企業は、求職者にとって非常に魅力的な選択肢となり得るのです。

また、企業としての社会的評価を高めるためにも、有給取得率は重要な役割を果たします。従業員が自分の時間を有効に活用し、リフレッシュすることで、生産性や創造性が向上します。これは、企業の持続的な成長に直結する要素です。

さらに、高い有給取得率は、企業が従業員の福祉を重視しているという印象を与え、CSR(企業の社会的責任)活動の一環としても評価されます。

優良企業としてのイメージを築くためには、単に有給休暇を付与するだけでなく、従業員が実際に休暇を取ることを奨励し、そのための環境を整えることが不可欠です。

例えば、有給休暇取得のための社内制度の見直しや、従業員のワークロード管理、休暇取得の文化を育む取り組みなどが考えられます。これにより、従業員は働きやすい環境を実感し、企業は高い有給取得率を維持しやすくなります。

このように、有給取得率を高めることは、企業の外部イメージの向上に大きく寄与するだけでなく、従業員の満足度や生産性の向上にも繋がります。優良企業としての評価を得るために、有給取得率の向上に向けた具体的な取り組みを進めることが、企業にとって大切なステップとなるでしょう。

4.有給取得率100%超え、企業ができること

有給取得率を100%超えに導くことは、企業にとって大きな挑戦です。しかし、これを実現することは、従業員の満足度を高め、結果として企業の生産性を向上させることにつながります。では、どのような経営戦略を取れば、有給取得率の向上を目指せるのでしょうか?

従業員のモチベーション向上と有給取得率

従業員のモチベーションを高めることは、有給取得率の向上に直結します。
従業員が充実感を感じ、自身の仕事に価値を見出している場合、自然と仕事への貢献度も高まります。これは、休暇を取得することでリフレッシュし、よりエネルギッシュに仕事に取り組むことにつながります。

企業は従業員のモチベーション向上のために、定期的なフィードバック、キャリアパスの明確化、適切な報酬制度の提供などを行うことが重要です。

また、従業員が仕事とプライベートのバランスを取りやすい環境を提供することも、モチベーションの向上に貢献します。

有給休暇の取得を促進する実践的アプローチ

有給休暇の取得を促進するためには、企業が積極的なアプローチを取る必要があります。
たとえば、有給休暇の取得を推奨する社内ポリシーの確立や、休暇を取りやすい社内文化の醸成が挙げられます。

具体的には、休暇取得を奨励するコミュニケーション、休暇取得の際の手続きの簡素化、長期休暇の取得を支援する制度などが考えられます。

また、有給休暇の取得を促進するためには、業務の適切な計画と分担が重要です。
従業員が休暇を取る際に業務が滞らないように、事前の計画とチーム内での業務分担を行うことが必要です。

これにより、従業員は休暇を取得しやすくなり、企業全体の有給取得率の向上に寄与します。

このように、有給取得率を100%超えに導くためには、従業員のモチベーション向上と実践的なアプローチが鍵となります。

企業が従業員に対して積極的に休暇取得を奨励し、そのための環境を整えることで、有給取得率の向上と共に、従業員の満足度と企業の生産性の向上を実現することができるでしょう。

まとめ:有給休暇取得率の計算から始まる、企業成長への第一歩

ための重要なステップです。この率を計算し、企業全体の平均や前年との比較を行うことで、従業員の働きやすさやワークライフバランスの現状が明らかになります。そして、それを目標設定の基準として活用することで、企業は従業員の福祉を重視し、働きやすい職場環境を実現することができます。

有給休暇取得率を高めることは、従業員の満足度を高め、生産性を向上させると同時に、企業の外部イメージを向上させる効果もあります。有給休暇の計算は、従業員の健康と福祉を守り、優良企業としての評価を高めるための重要な指標であると言えるでしょう。



当社労士事務所は主に20名以下の小規模企業様の採用、定着、人事労務の問題解決に取り組んでおります。



【関連記事はこちら】

中途入社社員に有給はいつから?中小企業の経営者向けガイド

有給5日の取得義務、期間はいつからいつまで?中小企業社長の疑問に社労士が回答

社労士が解説する有給休暇の正しい手続き:会社が知っておくべき基本

お知らせ一覧に戻る

CONTACT
お問い合わせ

採用・定着・人事労務など
お気軽にご相談ください

※個人の方からのお問い合わせは
 受付しておりません。ご了承下さい。