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中小企業社長必見!パート・アルバイトの有給休暇給料計算のポイント

パートタイマー・アルバイトの有給休暇の場合、給与計算が必要になってきます。本記事では、パート・アルバイト従業員が有給休暇を取得した時の給料の計算について、単に計算の仕方だけでなく、どのように計算するのが自社にとってベストな方法なのかを詳しく解説します。

■有給休暇とは何か、その重要性を理解する

社会保険労務士として一言、有給休暇の存在とその重要性を理解することは、経営者にとって非常に大切です。なぜなら、有給休暇は従業員の働きやすさや働く環境に大きな影響を与えると共に、正しく運用することで、従業員の会社への信用、信頼につながり、結果として企業の成長に寄与することになるからです。それでは、一つずつ見ていきましょう。

有給休暇の基本的な概念

有給休暇とは何でしょうか。有給休暇は、従業員が自らの意志で取得でき、その間の給料が保障される休暇のことです。労働基準法により、従業員の健康と生活を守るために定められています。6か月年以上勤務した社員に対しては、少なくとも10日間の有給休暇を付与しなければなりませんこれは、従業員が長時間労働による過労やストレスから解放され、リフレッシュする時間を持つことができるようにするための制度です。

パート・アルバイトに対する有給休暇の対応

さて、ここでパートやアルバイトの方々にも有給休暇はあるのでしょうか。答えは「はい」です。彼らもまた、一定の条件を満たすと有給休暇の対象となります。これは、社員と同様に、パートやアルバイトの方々の働きやすさや健康を守るための重要な制度です。これにより、社内の公平性が保たれ、全ての従業員が安心して働ける環境が作られます。

有給休暇の重要性とその影響

有給休暇の重要性は計り知れません。有給休暇を適切に管理し、従業員が適切に休暇を取得できるようにすることで、従業員の健康と生活の質を保つことができます。さらに、有給休暇を取得することで従業員がリフレッシュし、その結果として労働生産性が向上するという研究結果もあります。有給休暇の給料計算が正確に行われ、従業員が安心して休暇を取得できるようにすることは、経営者にとって非常に重要な課題となります。

有給休暇とその給料計算は、従業員の満足度や生産性に大きく関わるため、経営者にとって重要な課題となります。次に、有給休暇時の給料の計算方法について見ていきましょう。

■有給休暇時の給料の計算方法について理解する

有給休暇時の給料計算は、経営者としての知識の一部であり、その適切な理解と適用は従業員の満足度を高め、法令遵守にも繋がります。では、具体的にどのように計算すればよいのでしょうか。実は、3つの計算方法が存在します。それぞれの方法と、その特徴を見ていきましょう。

通常の賃金から算出する方法

まず最初に考えられるのは、通常の賃金から有給休暇時の給料を算出する方法です。具体的には、従業員が通常の労働時間で働いたときに受け取る賃金(通常賃金)を基準に計算します。例えば、一日8時間働いて1日の賃金を得る場合、有給休暇を取った日も同様の額が支払われます。パート・アルバイトの場合、次のように曜日によって労働時間が異なることも多いでしょう。例えば、月曜日5時間、火曜日8時間、水曜日3時間…というふうに、曜日によって労働時間が異なることも多いでしょう。その場合も通常の賃金ということなので、月曜日は5時間、火曜日は8時間という計算方法になります。

例)曜日によって異なる労働時間
・月曜日 5時間 → 5時間で計算
・火曜日 8時間 → 8時間で計算
・水曜日 3時間 → 3時間で計算


なお、わかりやすく曜日で労働時間が変わる場合を例にあげましたが、出勤する曜日だけが決まっていて、具体的な勤務時間はシフトによって決めている場合も同じです。
8月12日の勤務が5時間となっていて、その日を有給休暇にあてた場合、5時間で計算することになります。



この方法のメリット・デメリットは次の通りです。

□メリット … 計算がしやすい
□デメリット … 通常の賃金(勤務時間)が不明な場合はこの方法を採れない
       労働時間の長い日に取得すると現場の負担が重い

        
この方法は、計算しやすいのが最大のメリット。ですが、曜日で労働時間が決まっていない場合、勤務シフトを組む前に先に有給休暇を入れてしまった場合は、通常の賃金(勤務時間)がそもそも不明なので、この方法は採れません。

また、日によって労働時間が異なる場合、損得が生じるので、先ほどの例では、パートにとって最も得な火曜日(8時間)ばかり有給休暇を取る恐れもあります。

欠員による現場の負担が重くなる、有給休暇の給料が高くなるというデメリットになります。

ですが、私の顧問先ではパート従業員の方それぞれ、バランスよく取っていますので、それほど心配することが無いようにも思います。理由は聞いていませんが、会社と従業員が良い信頼関係を築くことができているのだと、私は考えています。

逆に、この方法を採って、最も得な火曜日(8時間)に有給休暇が集中する場合は、会社と従業員の信頼関係に問題があるか、そもそも損得勘定で判断する人材を採用してしまっている可能性が高いので、テコ入れが必要な箇所がわかると捉えるといいかもしれません。

平均賃金から算出する方法

次に、平均賃金から有給休暇時の給料を算出する方法があります。平均賃金は次の計算式で求めることができます。1の原則計算式と2の最低保証計算式で算出した高い方の金額となります。

1 原則計算式
直近3ケ月の給与総額 ÷ 3か月間暦日数

2 最低保障計算式
  直近3ケ月の給与総額 ÷ 3か月間の労働日数 × 60% 

 
 ※給与総額は、次の3つの賃金以外の全て
 (通勤手当、皆勤手当、時間外手当等)が対象となります。
  ①臨時に支払われた賃金
  ②3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(夏季・年末の賞与等)
  ③通貨以外のもので支払われた賃金で,法令又は労働協約の定めに基づかないもの
   
例)8月1日に有給休暇を取った場合(給与は月末締)
直近3か月の給与【労働日数30日間、給与30万円、暦日数92日】

・7月分(暦日数31日) … 労働日数10日間、給与10万円
・6月分(暦日数30日) … 労働日数10日間、給与10万円
・5月分(暦日数31日) … 労働日数10日間、給与10万円

1の計算式の場合
  30万円÷92日=3,261円
2の計算式
  30万円÷30日×60%=6,000円

わかりやすいように数字を全て揃えていますが、この場合だと2の計算式で算出されて6,000円が平均賃金になります。

この方法のメリット・デメリットは次の通りです。

□メリット … すべてのケースで計算が可能
       労働時間が短い日に取得すると現場の負担が軽い
□デメリット … 計算が面倒(毎月変動)
       有給休暇の給料が実際よりも低くなる


この方法の最大のメリットは、すべての従業員で計算が可能ということです。
また、本来の労働時間が長短に関わらず、給料は同額なので、パート従業員の心理的に労働時間が短い日に有給休暇を取った方が得、となります。

8時間の日よりも3時間の日の方が、現場の負担感が軽くなります。

一方、デメリットとしては、計算が毎月変動するのが面倒です。
また、パート従業員にとって、金額が低くなります。

先ほどの例では、3か月の労働日数が30日、給料が30万円ですから、1日当たり10,000円になるのですが、最低賃金の方法だと6,000円になります。法的には問題無くとも、パートさんの感情面を考えると疑問は残ります。

標準報酬日額から算出する方法

最後に、社会保険の標準報酬日額を基に有給休暇時の給料を算出する方法があります。
標準報酬日額は、次の計算式で求められます。

 標準報酬日額 = 標準報酬月額 ÷ 30

この方法は、毎月変動しない標準報酬月額をもとに算出するので、計算が簡単です。
が、そもそも社会保険に加入しない限り標準報酬月額は出ません。現実的にこの方法を採るのは難しいと思います。

どの計算方法にするかは就業規則への規定が必要

有給休暇の給料計算方法は3つあることをご紹介しましたが、どの方法で計算するかは、就業規則への規定が必要となります。
なお、標準報酬日額から算出する方法を採る場合、さらに労使協定の締結が必要です。

■まとめ - パート・アルバイトの有給休暇の給料計算、正確に理解しよう

本記事を通じて、「有給休暇」の給料の計算方法とその手続きについて解説しました。経営者として、パートやアルバイトの従業員に対して正確な給料を支払うためには、これらの知識が必要不可欠です。

また、3つの方法の内、どれを選択するのが良いのかは、自社の事情を踏まえ検討していただけたらと思いますが、通常の賃金から算出する方法が一般的かと考えています。

当社労士事務所は大阪、堺市、を中心に様々な企業の問題に取り組んでおります。

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