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社労士は見た!9割の企業で人事評価制度が機能しない2つの理由!

50人以下の中小企業にこそ必要な人事評価制度。うまく機能させるために絶対に欠かしてはならないポイントがあります。これまでに多くの中小企業で人事評価制度を見た現役社労士が、そのポイントについて解説します。

■社労士が解説、人事評価制度導入の3ステップ

人事評価制度とは

人事評価制度とは、人(社員)を動かす仕組み(土台)で、大きく等級制度、評価制度、賃金制度の3つの制度から成ります。
それぞれをごく簡単に説明しますと、以下となります。

●等級制度
 人事評価制度の骨格になるもので、社員を能力、役割、職務ごとに序列化したもの
●評価制度
 社員の貢献度を決める基準を定めたもの
●賃金制度
 等級と評価の結果に応じて昇給額や賞与を決定する仕組み

上記のそれぞれの制度においても留意点はあるのですが、今回はもっと大きな括りで人事評価制度を見ていきたいと思います。

私はこれまで、多くの企業で人事評価制度を見てきました。
書籍やインターネットで情報を集めて作成した制度もあれば、コンサルタントや社労士のサポートを受けながら作成した制度もあります。
力を入れて構築された跡がわかる、そんな制度も数々見てきました。

ところが、私が見た限りでは9割の企業で制度は導入したものの機能していません。
残念と言わざるを得ません。

なぜ、このような結果になるのでしょうか?

人事評価制度導入 3つのステップ

人事評価制度導入に重要な3つのステップがあります。

1 ミッション、ビジョン、バリューを定める
2 人事評価制度を構築する
3 制度を運用できるよう訓練する


多くの例では、先ほど述べました人事評価制度の3つの制度(等級制度、評価制度、賃金制度)をどうしようかと一生懸命考え構築する。
それはいいのですが、構築するだけでいきなり実行しようとしています。

「ミッション、ビジョン、バリュー」と「運用の訓練」が抜けているのです。

自社が何を目指し、その為にどんな人材を求めているのかを明確にしなければ、評価基準を定めてもブレてしまいます。

制度をしっかりと使いこなせるまで訓練しなければ、形骸化するのは当然です。

人にフォーカスせず制度にフォーカスした結果だと私は見ています。

■人事評価制度が機能しない理由1 ミッション、ビジョン、バリューがない

ここからは、人事評価制度を導入している多くの企業で抜けている2つについてお話します。

ミッション、ビジョン、バリューとは

ミッション
文字通り企業としての使命です。
企業ががどのような対象に向かってどのような価値を提供していくのか、
会社として何を実現したいか
を表現したものです。

ビジョン
企業の目標、方向性
ミッションが実現した時の姿を具体化したもの
がビジョンになります。

バリュー
ミッションを実現していく為に価値観
社員が業務を行う上での思考や言動の指標となるもの

抽象的でわかりづらいので、私共西野社労士事務所とグループ企業である株式会社チーム力アップのミッション、ビジョン、バリューを紹介します。

西野社労士事務所グループのミッション、ビジョン、バリュー

ミッション
『中小企業にウキウキとワクワクを創る』
私は学生時代、何もせずプラプラしていたこともあり、就職したのは知名度は無く当時新卒では誰も見向きもしない会社でした。ところが隠れた優良企業だったのです。
社員数は少ないものの、収益面や労働条件、福利厚生等、上場企業にも負けない
子供のころから自己肯定感が低く自分でしたが、会社に所属しているだけで誇りが持て、将来の姿を考えるだけでも楽しくなる、そんな経験をしました。

私共が人事労務分野で関係先企業の課題を解決することにより業績が良くなる。
社員の方々もそこで働いていることが誇りであり毎日ウキウキの状態、未来のことを考えるとワクワクする。そのような状態を実現したいと考えています。

ビジョン
『地域一「ありがとう」が溢れる企業であること』
関係先企業に、ウキウキとワクワクを創造するのはそう簡単ではありません。
出口が見えなくなることもあるでしょう。
どんな時もスタッフが独り善がりにならず、助け合い「ありがとう」を言える関係性であると、きっとどんなことも乗り越えることができる。
また結果として、関係先の社長にも「ありがとう」と言ってもらうことができたら、きっとそれまでの苦労が吹っ飛び「よし、また頑張ろう」とエネルギーが湧いてくると思うんです。
地域一「ありがとう」が溢れる企業となった時のことを考えるとワクワクします。

バリュー
『「わからん」を「おもろい」 に変える』
私共は経営者の悩みを解決するのが仕事。
「そんことこれまでやったことがない」「どうやったらいいかわからん」そんなことばかりです。
「わからん」ので「できません」ではなく、何とか解決できる方法を探してみる。
「わからん」ことに挑戦することで、できるようになる楽しさ、その結果経営者に喜んで頂く喜び。そんな「わからん」を「おもろい」に変えていける姿勢を持っていたいです。

このように、ミッション、ビジョン、バリューが定まっていて初めてどんな社員を評価するのかが決まります。

■人事評価制度が機能しない理由2 運用トレーニングをしていない

人事評価制度がうまく機能しない理由の2点目として、制度の運用トレーニングをしていないことです。制度の構築ができ、いざスタートすると様々な問題が出てきます。

人事評価制度 運用上の問題点

・幹部社員から反対意見が出る
・評価者によって評価基準がバラバラ
・過去の言動による先入観によって評価する
・評価されるのを拒む社員がでる
・社員が給与を下げられると思ってモチベーションが低下する
・想定していなかった細かな疑問点等が出てくる
・スケジュール通りに進まない
・新しい人が入社した時に説明が不十分
このようなことが起こると、制度を導入することで社員からかえって不満が出たり、いつの間にかフェードアウトすることになります。
その為、少なくとも半年程度は仮運用期間を設定し、しっかりとトレーニングすることが必要です。

仮運用期間でのトレーニング

・(制度構築段階から)幹部社員を巻き込む
・制度の運用マニュアル、Q&Aを作成する
 (できれば説明用の動画を残しておく)
・社員向け発表会をする
・評価者訓練をする
・疑問点や意見は都度対応し浸透させる
(チャットワーク等を使うと便利)
・評価委員会を設置する(評価の最終決定)
このように制度構築前にミッション、ビジョン、バリューを定め、構築後は仮運用期間も設定しトレーニングを踏むことによって、スムーズな導入につなげることができます。

■まとめ

今回は人事評価制度を正しく運用する為に欠かせない2つのポイントについてお話しました。
特に運用トレーニングについてはかなりのエネルギーが必要です。
「仕事が忙くてそれどころではない」そんな声に流されてしまうことも多々あります。
費用はかかりますが、コンサルタントや社労士に運用トレーニングまで一貫して依頼される方が確実にスタートさせることができます。

当社労士事務所は大阪府堺市を中心に企業の人材に関する問題に取り組んでいます。
引き続き有益な情報を発信していきます。
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