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タイムカードは手書きでも問題ない!社長が知るべき勤怠管理のポイント

小規模企業を経営している社長の中には、タイムカードに手書きで記録している企業もあるかもしれません。手書きのタイムカードは違法ではない?結論から言うと、違法ではありません。ですが、手書きならではの注意点があります。この記事では、高価な機械を導入することなく手書きで正しく勤怠管理を行う方法を解説します。

1.タイムカードがない会社でも大丈夫!手書きで勤怠管理を行うメリット

タイムカードがない中小企業では、手書きによる勤怠管理は大きなメリットを提供します。この方法は、初期投資や複雑な設備が不要で、シンプルかつ柔軟な勤怠管理を可能にします。特に従業員数が少ない会社において、手書き方式は労働時間の適正な把握と管理を実現するための効果的な手段となりえます。このセクションでは、そのような勤怠管理のアプローチが中小企業にどのような利点をもたらすかを概観します。

手書きによるタイムカード(勤怠管理)の基本とその合法性

結論として、手書きによるタイムカード管理は違法ではなく、実際に多くの中小企業で効果的に活用されています。特に従業員数が少ない場合、手書き勤怠管理はその柔軟性とシンプルさから、最適な選択肢となり得ます。

従業員自らが出勤及び退勤時間を記録し、その後管理者がこれを確認する流れは、小規模なチームにおいてもスムーズに実施可能です。この方法の最大のメリットは、高額な初期投資や複雑なシステム導入の必要がない点にあります。労働時間管理の正確性を確保しつつ、コスト効率良く運用を行うことができるのです。

労働時間の適正な把握の重要性とその実現方法

労働時間の適正な把握は、従業員の健康管理と生産性の向上に欠かせません。正確な勤怠記録は、過重労働の防止、必要な休息の保証、そして公正な賃金計算の基礎を提供します。また、これは法的な労働基準を守る上での重要な証拠となり、未来の労働問題を防ぐための基盤ともなります。

労働時間の正確な記録と管理には、客観性と信頼性が不可欠であり、これを実現するためには明確なガイドラインと適切な記録管理システムの導入が推奨されます。次に、中小企業が労働時間を適正に把握し、管理するための実践的なアプローチをご紹介します。

2.労働時間管理のための厚生労働省ガイドラインの解説

労働時間管理のための厚生労働省ガイドラインでは、企業が従業員の労働時間を適正に把握し、記録する方法についての指針を提供しています。このガイドラインは、労働者の健康と安全を保護し、適切な労働条件を確保するために設計されています。

手書きのタイムカードによる記録も、適切に運用されれば、労働時間の正確な把握に役立つと認められています。このセクションでは、ガイドラインの要点と、手書きタイムカードの運用方法に焦点を当て、労働時間記録のための実践的なアドバイスを提供します。

労働時間管理ガイドラインの要点

厚生労働省が提供する労働時間の適正な把握と管理を促進するガイドラインは、労働者の健康と安全を守り、適切な労働環境を確保するために重要です。このガイドラインは、労働時間の正確な記録を通じて、過労防止に寄与します。

ガイドラインによると、労働時間の管理には以下の点が挙げられます:

1.労働者の始業・終業時刻を適正に把握・記録する責任が使用者にある。
2.始業・終業時刻の確認と記録には、原則的な方法として直接確認や客観的な記録に基づく方法がある。
(1)使用者が、自ら現認する方法
(2)タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間等の記録をもとに行う方法
3.やむを得ず自己申告制を採用する場合、適正な申告を促し、実態に合致するよう適切に管理する措置が必要。

これらのポイントは、手書きのタイムカードによる勤怠記録も、適切に管理されれば、労働時間の正確な把握に有効であることを示しています。自己申告制の運用には注意が必要であり、その詳細については次のセクションで解説します。

労働時間記録のための手書きタイムカードの運用方法

一般的に、タイムカード機による打刻は客観的な記録方法として広く採用されていますが、タイムカード機がない場合、厚生労働省のガイドラインによると、社長や上司が労働者の始業・終業時刻を直接確認することが原則です。

しかし、この直接確認は日常的に行うには非現実的であり、勤怠管理の負担が大きくなる恐れがあります。

そこで、厚生労働省のガイドラインの自己申告制に当たる労働者本人の手書きによるタイムカードが代替手段として推奨されます。この自己申告制は、注意深く運用する必要があり、そのための具体的な措置と注意点については後のセクションで詳しく説明します。

3.自己申告制(タイムカードに手書き)勤怠管理の3つの注意点

自己申告制(タイムカードに手書き)勤怠管理における3つの注意点として、まず従業員が正確な労働時間を申告できる環境の整備が挙げられます。次に、申告内容と実態の一致を定期的に確認することが重要です。最後に、休憩時間や研修、教育訓練、学習等の時間管理も注意が必要です。これらの点に注意することで、自己申告制の勤怠管理を効果的に行うことができます。

(1)正確な労働時間を申告できる環境を整備する

自己申告制による勤怠管理は、柔軟性が高い一方で、客観性と信頼性の確保が必要です。1つ目の注意点として、従業員が正確な労働時間を申告できる環境を整備することが重要です。働き方改革推進のため、目標としての残業時間数の設定は良いのですが、上司が部下に対して自己申告できる残業時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めないなど、本人が正確な労働時間を申告できない状態にするのは避けてください。

(2)自己内容が実態と合致しているか定期的に確認

2つ目として、労働時間の自己申告と実態にズレがある場合、その確認が必要です。過大申告や過小申告の場合には、具体例を挙げて確認し、必要に応じて指導を行います。

実際には定時には退勤しているのにも関わらず残業を申告する行為や、反対に残業をしているにも関わらず、定時退社を申告する行為には注意が必要です。

本人や周囲に確認することで、残業申告が難しい職場の雰囲気や、仕事以外の活動による時間外在社が判明することもあり、適切な対応と意識改革が求められます。

(3)休憩や研修、教育訓練、学習等の扱い

3つ目として、休憩時間の適正な取得は、労働者の健康維持に不可欠です。繁忙期でも休憩時間を保証するための工夫、例えば休憩時間の分割や時間のずらし等が求められます。

【関連記事はこちらから】
休憩時間が取れなかった場合どうする?正社員、パートへの対応を社労士が解説

また、自主的な研修や教育訓練、学習などであっても、上司の指示により行っている場合などは、労働時間として扱う必要があります。

4.労働時間管理を革新するツールの導入

手書きの勤怠記録から始めても良いですが、最終的にはデジタルツールの導入による労働時間管理の革新を目指すのが理想的です。初期段階では手書きでの管理でも正確な記録を保つことが可能ですが、時間が経つにつれて、デジタルツールを利用することで効率性が高まり、誤差が減少します。このような移行は、中小企業が直面する勤怠管理の課題を解決し、生産性の向上と従業員の満足度向上に繋がります。

手書き勤怠管理からデジタルシステムへの移行

労働時間の管理をより効率的かつ正確に行うために、手書きの記録からデジタル化への移行が推奨されます。この変化は、記録の自動化、エラーの削減、及びデータアクセスの容易さを実現し、管理者と従業員双方の負担を軽減します。

中小企業向け勤怠管理ツールの選び方

中小企業に適した勤怠管理ツールの選定は、機能性、使いやすさ、コストパフォーマンスを基準に行うべきです。市場には多様なツールが存在するため、自社のニーズに最も合致するソリューションを選択することが重要です。

5.労働時間の適正な把握のための賃金台帳と記録の保存

勤怠管理と賃金計算は密接に関連しています。勤怠記録は、従業員が実際に働いた時間を正確に把握するための基盤となり、これをもとに賃金台帳が作成されます。

賃金台帳には、それぞれの従業員の勤務時間に応じた賃金や手当が記録され、適切な賃金支払いのための重要な資料となります。この流れを理解することで、企業は法的要件を満たし、従業員の権利を保護することができます。

賃金台帳の正しい作成方法

賃金台帳は、従業員への支払いを記録する重要な文書です。これには、従業員の基本情報、勤務時間、支払われるべき賃金の詳細が含まれます。正確な勤怠管理を反映させ、法的要件を満たすためには、全ての支払いと時間の記録を適切に更新し続けることが必要です。

労働時間記録の保存義務と期間

労働基準法では、労働時間の記録(出勤簿、タイムカード)を5年間定期間保存することが求められています。この保存義務は、労働者の権利を保護し、必要に応じて労働時間に関する証拠として提供できるようにするために重要です。

【関連記事はこちらから】
労働基準法における「タイムカードと出勤簿」の違いと保管義務を解説

まとめ

労働時間管理の適正化は、法的要件の遵守と従業員の権利保護のために重要です。手書きのタイムカードやデジタルツールの活用は、この目的を達成するための有効な手段です。自己申告制の勤怠管理には、正確性と客観性を確保するための注意が必要です。賃金台帳と労働時間記録の正確な保存は、透明性と信頼性の向上に寄与します。中小企業においては、デジタル化への移行が、労働時間管理の効率化と生産性向上を促進します。


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