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経営者必見!部下に給与が逆転される管理監督者のリスク

中小企業経営者の皆さん、あなたの会社では管理監督者の給与が部下よりも低くなっていないでしょうか?これは「給与逆転現象」と呼ばれ、多くの企業で見られる問題です。この現象は、単に給与の不均衡に留まらず、社員のモチベーション、組織の健全性、さらには法的なリスクにも影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、給与逆転現象の原因とその影響、そして企業が取るべき対策について、わかりやすく解説します。管理監督者と一般従業員の間で公平かつ適切な給与体系を確立することは、企業の長期的な成功の鍵となります。それでは、具体的な内容を見ていきましょう。

1.管理監督者って何?どんな人が該当するの?

管理監督者とは、会社の重要な意思決定に関与し、労務管理において高い権限を持つ人々のこと。彼らは一般従業員と異なり、労働時間や休憩、休日の規制が異なります。

具体的には、会社の経営方針の決定や部下の指導、業務の管理など、会社の成長に直接関わる重要な業務を担っています。ただし、この立場には適切な評価と待遇が伴う必要があり、不十分な場合は組織内での問題を引き起こす可能性があります。

この記事では、管理監督者の基本的な定義と彼らの企業内での役割について簡潔に紹介し、社長が自社の管理職が管理監督者に該当するかどうかを判断するための参考情報を提供します。

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管理監督者のイロハ:定義と基準って?

「管理監督者」とは、ざっくり言うと、会社の意思決定に関わり、労働時間や休憩、休日などの規制から外れる立場の人のことを指します。具体的には、企業の経営に深く関わる重要な職務を担い、経営者と一体となって労務管理を行う人たちです。たとえば、課長や部長などの役職者がこれに当たることが多いんですね。でも、役職だけで判断できないんです。

管理監督者として認められるためには、以下の3つのポイントが重要です。

(1)事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められていること。
例えば、新しい事業計画の立案や、重要な人事異動の決定に関わるなど、会社の方針や運営に直接的な影響を及ぼす役割を果たしている場合がこれに該当します。

(2)自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること。
つまり、自分自身の勤務時間を自由に決めることができる、例えば出社・退社の時刻を自分で決めたり、必要に応じて自宅で業務をこなすことが可能などが含まれます。

(3)一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与)上の処遇を与えられていること。
これは、一般的な従業員よりも高い地位にあることを反映した、より高額な給与や手当、賞与を受け取っていることを意味します。たとえば、特別な役職手当や業績に応じた賞与などがこれに該当します。


大事なのは、その人がどれだけの権限を持ち、実際に経営に関与しているかってこと。この点が、労働基準法における管理監督者の判断基準になります。

管理監督者 vs 一般従業員:どこが違うの?

管理監督者と一般従業員の大きな違いは、労働時間の管理です。通常、一般従業員は労働時間が厳格に規定され、残業代が発生します。でも、管理監督者はそうではありません。
管理監督者は労働時間の規制を超えた自由な勤務が可能その分、残業代や休日出勤手当が支給されません。

つまり、長時間労働をしても、その時間に対する直接的な報酬は得られないんです。でも、これは管理監督者の地位と責任、権限に見合った待遇が保証されているからこそ許される話。ちゃんとした評価と適正な待遇が伴ってこそ成り立つシステムなんですね。

管理監督者が担う役割とは?その責任感はどれくらい?

管理監督者の役割は、ただの上司以上のものがあります。彼らは経営者と一体となって企業の方針を決定し、部下の労働管理を行う重要なポジション。

つまり、企業の業務運営に大きく関わるわけです。この立場は、大きな権限と共に、責任も伴います。たとえば、人事考課や労働問題の解決、さらには組織の運営方針の策定など、会社の運命を左右する決定に関わることが多いんです。

ですから、管理監督者は、その地位に相応しい賃金や待遇が保証されるべきで、それが逆転現象に繋がる場合は、問題があると考えられます。

2.管理監督者の給与、部下に逆転される理由とその影響

管理監督者の給与が部下より低くなるという、いわゆる「給与逆転現象」は、企業における給与体系と労働法規の特性から発生します。この現象は、多くの中小企業で見られる問題で、経営者にとって重要な課題の一つと言えます。

ここでは、「給与逆転現象」が起こる理由と、それによる影響について考えてみます。

逆転現象のワケとその影響って?

「給与逆転現象」というのは、管理監督者の給与が、がんばって働いている一般の従業員よりも低くなってしまうことを指します。これはどうして起こるのでしょうか?大きな理由の一つは、管理監督者は基本的に残業代や休日出勤手当が出ないからです。

管理監督者は経営者と一体となって仕事をするため、残業代や休日出勤手当の適用外になります。一方、一般従業員は残業時間に応じて残業代が支払われるので、がんばればがんばるほど給与が増える傾向に。そして、管理監督者の賃金設定が低めにされていると、給与逆転が起こってしまいます。

給与逆転が社内にもたらす波紋

給与逆転現象は、単に給与の問題に留まらず、企業内のモチベーションや業績、組織の健全性にまで影響を及ぼします。管理監督者が自身の努力や責任に見合わない給与を受け取っていると感じた場合、モチベーションの低下は避けられません。これは、彼らの業務への取り組みや、部下への指導にも悪影響を及ぼす可能性があります。

また、一般従業員もこのような状況に気づいた場合、管理職への昇格に対する意欲を失うことがあり、キャリアパスに対するネガティブな影響が生じる恐れがあります。

このように、給与逆転現象は企業の中核を担う管理監督者のモチベーションと業績に直接影響を与え、結果的に組織全体のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があるのです。この問題に対処するためには、適切な給与体系の設計と管理職の役割と責任に見合った報酬制度の見直しが不可欠です。

3.管理監督者の給与が部下に逆転される:法的にどう問題なの?

管理監督者の給与が部下よりも低くなる「給与逆転現象」が法的にどのような問題を引き起こす可能性があるのでしょうか?社内のモチベーションや士気の問題に留まらず、法的な観点からも重要な課題です。

法的に見た給与逆転のリスク

給与逆転現象が生じると、最も懸念されるのは「名ばかり管理職」という問題です。この問題は、企業にとって法的なリスクを含む重要な課題となります。

労働基準法では、管理監督者は残業代などの割増賃金の支給が必要ないとされています。しかし、これは管理監督者が一定の条件を満たしていることが前提です。具体的には、彼らは経営上の重要な決定に実質的に関与し、労務管理において実質的な権限を持っている必要があります。

問題は、管理監督者であるにも関わらず、部下と同じように、あるいはそれ以上に残業をしているにもかかわらず、その給与が部下よりも低い場合です。このような状況は、管理監督者としての地位や権限が形式的である可能性を示唆します。つまり、彼らが実際には管理監督者としての条件を満たしていない「名ばかり管理職」であると判断されるリスクがあるのです。

このリスクが現実のものとなれば、企業は残業代等の追加の負担を負うことになります。これは、経営者にとっては大きな負担となるだけでなく、社内の法的コンプライアンスや人事管理においても重要な問題となり得るのです。

法的対応と適切な給与体系の構築

このようなリスクを避けるためには、管理監督者の地位に見合った適切な給与体系を構築することが重要です。これは、法的なリスクを回避するだけでなく、組織内の公平感を保ち、管理監督者のモチベーションを維持するためにも必要な措置です。

管理監督者の地位と権限、責任に相応しい賃金を設定し、彼らの貢献を正当に評価することが、健全な組織運営と法的な問題回避の両方において効果的な手段となるでしょう。

4.管理監督者と部下の給与逆転を防ぐための対策

管理監督者の給与が部下より低くなる「給与逆転現象」。これを防ぐための対策は、企業の健全な運営にとって非常に重要です。そこで、以下のような実践的なアプローチを考えてみましょう。

適切な給与体系の設計

まず大切なのは、給与体系の適切な設計です。

管理監督者と一般従業員の責任と業務内容に見合った給与体系を確立することが重要。これには、管理監督者の地位や業務の範囲、責任の大きさなどを考慮して、基本給、手当、賞与などの給与要素を適切に評価し、設定する必要があります。
給与体系の透明性を高めることで、社員間の不満やモチベーション低下を防ぎます。

人事管理で実践的にやることって?

次に、人事管理における実践的なアプローチが大切です。これには、適切な人事評価制度の導入や、業績に基づいた公正な報酬制度が含まれます。また、昇進や昇格に際しては、実際の業務内容や貢献度をしっかりと評価し、管理監督者としての適格性を確認することが重要です。適正な評価と報酬は、社員のモチベーション向上に直結します。

コミュニケーションと透明性、どう確保する?

最後に、効果的なコミュニケーションと透明性の確保も欠かせません。給与体系や人事制度について社員にしっかりと情報を伝え、理解を深めてもらうことが大切です。

社員が自分の立場や将来のキャリアパスについて明確に理解していれば、不満や不安を減らすことができます。また、定期的なフィードバックや面談を通じて、社員の意見や懸念を聞くことも重要です。

まとめ

管理監督者の給与が部下より低くなる「給与逆転現象」について、さまざまな角度から考えてみました。この現象は、ただの給与の問題ではなく、企業の運営や社員のモチベーションに深刻な影響を及ぼす可能性があります。

給与逆転が起こる主な理由は、管理監督者の残業代が支給されないことにあります。これが、彼らの給与が一般従業員より低くなる原因となっています。この状況は、法的なリスクや「名ばかり管理職」という問題を引き起こす可能性もあります。

対策としては、適切な給与体系の設計、効果的な人事管理、透明性のあるコミュニケーションが重要です。これらを通じて、管理監督者と一般従業員の給与バランスを適切に保ち、企業全体の健全な運営を目指すべきです。

給与逆転現象の解決は、企業の長期的な成功にとって不可欠です。適切な対応を行うことで、社員のモチベーションを保ち、企業文化を強化することができるでしょう。


当社労士事務所は主に20名以下の小規模企業様の採用、定着、人事労務の問題解決に取り組んでおります。



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