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2回目の休職社員、期間はどう考える?通算規定等、社長のチェックポイント

中小企業の社長にとって、従業員の健康管理と休職対策は経営の重要な柱の一つです。従業員が心身の健康を保ち、活力ある職場で働くことは、企業の生産性と競争力を高めるために不可欠です。しかし、実際には休職をめぐる問題は複雑であり、適切な対応策を見つけることが課題となっています。

この記事では、中小企業の社長が直面する休職問題に対して、効果的なアクションプランを立て、実行するための戦略と対策を紹介します。休職の実態から通算規定の適用、再休職の防止、従業員のモチベーション維持に至るまで、包括的な視点から具体的なガイドラインを提供し、社長が企業の持続可能な成長と従業員の健康と福祉を守るための道筋を示します。

従業員一人ひとりの健康を重視することで、企業全体の健全な発展を図ることができます。このガイドが、中小企業の社長の皆様にとって、実務上の課題解決に役立つ一助となれば幸いです。

1.休職2回目の現実とその影響

中小企業においては、従業員の健康問題が直面する課題の一つです。特に、休職後の復職を経験した社員が再び休職するケースは、経営者にとって様々な問題を引き起こします。この段落では、中小企業における休職の実態と、再休職が及ぼす影響について考察します。

中小企業における休職の実態と課題:2回目の休職はどの程度ある?

中小企業における休職の多くは、病気やケガ、メンタルヘルスの問題が原因です。特に、うつ病などの精神疾患は再発しやすく、一度休職した従業員が再び休職することは珍しくありません。一般的に、うつ病などの精神疾患による休職後の復職は可能であるものの、再発や再休職のリスクが存在すると考えられています。

労災疾病臨床研究事業費補助金「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」によると、うつ病などのメンタル不調から「復職可能」と判断された労働者の約半数が再休職するとされています。

労災疾病臨床研究事業費補助金「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」


また、がん患者に関しても、病気の進行度が高まるにつれて再発の可能性が高くなります。このため、一旦復職しても、再休職する可能性は十分にあり得る状況です。

これらの事例から明らかなように、中小企業における休職の問題は、従業員個人の健康問題にとどまらず、企業の業務継続性や人事・労務管理にも大きな影響を与えます。さらに、休職が繰り返されることにより、企業の生産性や業務遂行能力にも悪影響を及ぼす可能性があります。

これは、休職と復職のプロセスが単なる個別の問題ではなく、組織全体に及ぼす影響の大きさを示しています。したがって、中小企業においては、休職と復職の管理を組織全体の問題として捉え、適切な対応策を講じることが重要です。

従業員の健康と会社のバランス:どこまでサポートすべき?

従業員の健康は、企業の最も大切な資産の一つです。休職した従業員に対する適切なサポートは、その従業員だけでなく、企業全体にとっても重要です。しかし、中小企業では、限られた人材と資源の中で、どこまでサポートできるかが常に問題です。

従業員が病気や精神疾患で休職する場合、企業はその従業員に対して傷病手当金の支給や必要な治療期間の確保、復職後の勤務条件の調整など、様々な支援を提供することが求められます。

また、主治医や産業医と連携して、従業員の健康状態を適切に把握し、復職後の業務復帰をスムーズに行うことも大切です。

一方で、企業側も業務の継続性を確保する必要があり、休職中の従業員の業務を他の従業員がカバーすることで生じる負担の増加や、業務遂行における問題も考慮する必要があります。

このように、従業員の健康と会社のバランスを取ることは、中小企業にとって難しい課題ですが、従業員と企業の双方にとって最適な解決策を見つけることが、持続可能な経営につながります。

2.再休職の期間設定と対応策

中小企業の経営者にとって、従業員が2回目の休職に入る際の期間設定は重要な課題です。この段落では、2回目の休職における期間設定の基準と、企業が取るべき対応策について解説します。

再休職時の期間設定:休職の繰り返しと対策

従業員が2回目の休職に入る際、経営者はその期間設定について適切な判断を下す必要があります。重要なのは、就業規則にどのように休職期間が規定されているかです。法的には、休職期間の設定に特定の制約はありませんが、通常は就業規則や労働契約に基づいて期間を定めます。

例えば、休職期間が最大6ヶ月と規定されている場合、2回目の休職期間はどのように扱うべきでしょうか?うつ病などのメンタルヘルス不調の一般的なケースを考えると、労働者の病休日数は初回より長くなる傾向があります。これに対し、適切な対応策が求められます。

要チェック:就業規則の休職期間通算規定

従業員が繰り返し休職する場合、就業規則に通算規定を設けることが有効です。通算規定とは、特定の期間内に再度休職する場合、その期間を以前の休職期間と合わせて計算する規定です。これにより、従業員の健康と企業の業務遂行のバランスを考慮した合理的な休職期間の管理が可能になります。

例えば、以下のような規定を就業規則に設けることが考えられます:

「復職後6ヶ月以内に同一または類似の理由で再び休職する場合、前後の休職期間を通算して計算する。」


この規定により、企業は従業員の健康状態と業務の継続性を効果的に管理し、長期的な休職による業務への影響を最小限に抑えることが可能です。ただし、このような規定を設ける際は、従業員の権利や健康状態への配慮を忘れず、可能な限りサポートや再配置の選択肢も検討することが重要です。

通算規定がない場合、従業員が休職から復職し、その後再び休職すると、各休職期間は別々に扱われます。

労災疾病臨床研究事業費補助金「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」によると、うつ等のメンタルヘルス不調の労働者の一回目の病休日数の平均値は107日(約3.5ヶ月)、二回目の病休日数の平均値は157日(約5か月)です。

労災疾病臨床研究事業費補助金「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」

休職期間の上限が6か月の場合で、通算規定がなければ、これらの休職期間はそれぞれ独立して計算され、従業員は合計で約8.5ヶ月の休職が可能になります。さらに、3回目の休職が必要となった時は、休職開始から最大6か月間の休職期間が与えられることになります。

しかし、通算規定がある場合、これらの期間は合算され、休職の総期間が制限されます。このため、休職1回目で3.5ヶ月、2回目で2.5ヶ月(6ヶ月の上限から3.5ヶ月を差し引いた期間)休職できるという形になり、企業は従業員の長期休職による業務への影響を管理しやすくなります。通算規定により、企業は再休職のリスクを抑えつつ、従業員の健康状態と業務の継続性を効果的にサポートすることができるのです。

復帰後の再発防止:期間管理の重要性

従業員が休職から復帰した後、再び休職に至るリスクを最小限に抑えるためには、期間管理が重要な役割を果たします。特にメンタルヘルスの問題や慢性的な病気を抱える従業員の場合、復帰後の勤務体系や業務内容の調整が必要になります。

■再発防止のための期間管理
従業員が休職から復帰する際、すぐに以前の業務量や責任を負わせるのではなく、段階的に業務を再開させることが望ましいです。初期段階では、短時間勤務や軽めの業務から始め、徐々に通常の業務量に戻すことで、従業員の健康状態に配慮しつつ、仕事への適応をサポートします。

■リワークプログラムの導入
復帰後の再発を防ぐためには、職場復帰プログラム(リワークプログラム)の導入が効果的です。このプログラムは、従業員が復職に向けて徐々に業務に慣れるためのサポートを提供し、心理的な負担を軽減します。専門家と連携して、従業員一人ひとりの状況に応じたプログラムを設計することが大切です。

■定期的な健康相談の提供
復職後も、定期的な健康相談を通じて従業員のメンタルヘルスの状態をチェックすることが重要です。産業医やカウンセラーとの面談を定期的に行い、従業員が抱えるストレスや不安を早期に発見し、適切なサポートを提供することで、再休職のリスクを減少させます。

■従業員とのコミュニケーション
復職後の期間管理の成功は、従業員との良好なコミュニケーションに大きく依存します。従業員が自分の状態やニーズを開示しやすい環境を作り、必要に応じて業務内容や勤務体系を調整することが、再発防止の鍵となります。

このように、復帰後の再発防止には、適切な期間管理とサポートが不可欠です。中小企業の経営者は、従業員の健康を守りつつ、業務の継続性を確保するために、これらの対策を講じることが求められます。従業員一人ひとりの健康状態に合わせた柔軟な対応が、企業の持続的な成長に貢献するでしょう。

3.休職期間通算規定の理解と適用:企業にとってのメリットと注意点

休職期間の通算規定は、中小企業における人事・労務管理において重要な役割を果たします。この規定は、従業員が繰り返し休職する場合における休職期間の計算方法を明確にし、企業の業務遂行と従業員の健康管理のバランスを取るためのものです。ここでは、通算規定の導入による企業への影響と、その適用における法的要件と実務上の考慮事項について説明します。

通算規定の導入:経営に与える影響とは?

通算規定を就業規則に導入することによる最大のメリットは、休職期間の管理の明確化です。従業員が短期間に何度も休職する場合、通算規定により休職期間が合算され、企業は長期的な人員計画を立てやすくなります。これにより、業務の継続性を確保し、代替人員の手配や業務再分配をスムーズに行うことができます。

また、通算規定の存在は、従業員に対して休職に関する明確な基準を示すことになり、休職を申し出る際の不透明感を減少させます。これにより、従業員との信頼関係を保ちつつ、健康問題に対する支援と企業運営のバランスを取ることが可能になります。

ただし、通算規定を導入する際には、従業員の健康状態や個別の事情を考慮する必要があります。一律の規定が従業員に適さない場合や、特定の病気に対する配慮が必要なケースでは、柔軟な対応が求められるでしょう。

通算規定の適用基準:法的要件と実務上の考慮事項

実務上では、通算規定の適用に際して、特定の健康状態にある従業員に対する配慮が不可欠です。進行度の高いがん患者や重いメンタル不調を抱える従業員に対しては、医師の意見を尊重し、彼らの状況に合わせた柔軟な対応が求められます。

実際にあった例ですが、ある会社の社員ががんを患い、一旦休職から復帰した後、再発により2回目の休職に入りました。通算規定により、本来ならば上限に達するところでしたが、余命いくばくもないことを知らされたため、通算規定を適用せずに復帰を待つという姿勢を続けました。結果的に残念ながら復帰されることはなかったのですが、ご家族の方から感謝の言葉をいただきました。

うつ病などのメンタル不調の場合も、通算規定をそのまま適用することで、より大きな問題に発展する可能性があります。

これは、企業が従業員の健康と福祉を守りながら、法的要件を遵守するための重要なステップで、休職のルールを説明し、従業員の状況に寄り添いながら進めることが重要です。

従業員が自身の状況を理解し、企業が十分な配慮をしていることを感じられれば、復帰が難しい場合でも、円満な退職へと繋がる可能性が高まります。

通算規定の適用は、企業にとって重要な管理ツールですが、それを人間味のある対応と組み合わせることが、企業と従業員双方にとって最良の結果をもたらすでしょう。


4.実務上の課題:通算規定の適用と人事管理

中小企業において、休職期間の通算規定の適用は人事管理における重要な要素です。しかし、この規定の運用にはいくつかの実務上の課題が伴います。ここでは、通算規定の実務上の問題点とその対応策、さらに人事管理の視点から通算規定の適用が従業員のモチベーションに与える影響について考察します。

通算規定の実務上の問題点:どう対応する?

通算規定の適用には、従業員の健康状態や病状の進行具合、治療の必要性など、様々な要素を考慮する必要があります。例えば、重症のがん患者や重度のメンタルヘルスの問題を抱える従業員に対しては、通算規定をそのまま適用することが適切でない場合があります。これらの従業員には、個別の状況に応じた柔軟な対応が必要です。

また、通算規定の適用が従業員に与える心理的影響も考慮する必要があります。従業員が休職期間に制限を感じることで、回復へのプレッシャーや不安が増す可能性があります。このため、休職に関するルールを明確にし、従業員の状況に配慮しながら適用することが重要です。

企業は、通算規定の運用に際して、従業員とのコミュニケーションを密にし、個々の状況に応じた対応を心掛けるべきです。また、休職中の従業員へのフォローアップやサポート体制の整備も、円滑な復職や再発防止に貢献します。

人事管理の視点から:通算規定の適用と従業員のモチベーション

通算規定の適用は、従業員のモチベーションにも影響を及ぼします。休職期間の通算規定があることで、従業員は治療やリハビリテーションに専念しやすくなる一方で、休職期間の上限に対する不安やプレッシャーを感じることもあります。

従業員が安心して休職できる環境を提供することは、回復後のモチベーション維持や職場への忠誠心向上に繋がります。企業は、通算規定の適用によって従業員が感じる可能性のあるスト

レスや不安を軽減するために、休職中の従業員とのコミュニケーションを重視し、彼らの状況に理解と共感を示すことが重要です。例えば、休職中の従業員に定期的な健康状態のチェックやサポートの提供を行い、職場復帰に向けた計画を共に立てることが効果的です。

また、休職から復職する従業員に対しては、徐々に業務に慣れることができるよう、勤務時間の調整や業務内容の見直しを行うことも大切です。これにより、従業員は自身のペースで職場に復帰し、再び活躍することができます。

従業員のモチベーションを維持し、職場復帰をサポートするためには、通算規定の適用だけでなく、包括的な人事管理戦略が求められます。休職期間の管理を適切に行いつつ、従業員一人ひとりの状況に合わせた柔軟な対応を行うことで、企業は従業員の健康とモチベーションを守り、長期的な組織の成長に貢献することができるでしょう。

5.社長のためのアクションプラン:効果的な対策と戦略

中小企業の社長にとって、従業員の健康管理と休職対策は、企業の持続可能性を高める重要な要素です。再休職を防ぎ、従業員が健康で生産的な状態を維持するための具体的なアクションプランを立てることが求められます。以下では、再休職に備えた戦略と、健康管理及び従業員サポートの重要性について掘り下げていきます。

社長のためのアクションプラン:再休職に備える

再休職を防ぐためには、まず従業員の健康状態に関する洞察が必要です。これには、定期的な健康診断の実施や、職場内でのメンタルヘルスケアの充実が含まれます。特にストレスが高い職場環境では、ストレス管理のトレーニングやカウンセリングサービスの提供が有効です。

さらに、休職からの復帰プロセスをサポートするために、復帰後のフォローアップ計画を立てることも重要です。これには、復帰初期の業務負荷の軽減、復職後の状態に応じた業務の再配置、そして必要に応じて柔軟な勤務時間の設定などが含まれます。

未来への投資:健康管理と従業員サポートの重要性

従業員の健康管理とサポートは、中小企業にとっての長期的な投資です。健康な従業員は生産性が高く、また、従業員が企業に対して忠誠心を持つことにも繋がります。健康管理プログラムの導入、適切な労働環境の整備、さらには職場のコミュニケーションを促進する活動は、従業員の健康と満足度を高め、企業のパフォーマンス向上に貢献します。

従業員の健康を重視する文化を築くことは、企業のブランド価値を高め、優秀な人材を引き付ける要因となります。健康管理と従業員サポートを組織文化の一部として取り入れることで、従業員は企業に対して肯定的な印象を持ち、長期的なキャリアを築くことが期待できます。また、職場での健康づくりの取り組みは、従業員間のコミュニケーションとチームワークを促進し、職場全体の士気を高める効果があります。

経営者としては、従業員の健康管理とサポートを経営戦略の一環と捉え、これらの施策を積極的に推進することが求められます。健康管理プログラムの設計と実施、メンタルヘルスのサポート体制の整備、そして健康的な職場環境の創造は、従業員の幸福度と企業の生産性向上の両方を実現するための重要なステップです。

中小企業の社長にとって、従業員の健康管理とサポートは単なるコストではなく、企業の持続可能な成長と競争力を高めるための重要な投資です。従業員一人ひとりが健康で充実した職場で働けることが、企業の成功に直結するのです。

まとめ:休職対策と人事管理、中小企業の社長向けガイド

1.休職の実態と再休職への対応
中小企業において、休職は主に病気やメンタルヘルスの問題が原因です。再休職を防ぐためには、従業員の健康状態に対する理解と適切なサポートが不可欠です。休職期間の通算規定の導入も一つの手段ですが、個々の従業員の状況に応じた柔軟な対応が求められます。

2.休職期間の通算規定の適用
通算規定は、休職期間の管理を明確化し、企業の業務遂行と従業員の健康管理のバランスを取るための有効なツールです。ただし、通算規定の適用には、従業員の個別の健康状態や病状に対する配慮が必要であり、法的要件の遵守も重要です。

3.効果的な人事管理戦略
従業員のモチベーション維持と職場復帰をサポートするためには、適切な期間管理が重要です。復職後の勤務体系の調整や、健康管理プログラムの導入、定期的な健康相談の提供などが効果的です。

4.社長のためのアクションプラン
従業員の健康管理とサポートは、中小企業の長期的な投資です。健康な従業員は生産性が高く、企業のパフォーマンス向上に貢献します。健康管理プログラムの設計と実施、メンタルヘルスのサポート体制の整備など、従業員の健康と福祉を守るための取り組みが重要です。


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