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社労士が解説する、御社に合った等級制度はどれ?

人事制度の骨格となる等級制度。「職能資格等級」「役割等級」「職務等級」の3つの型がありますが、企業のタイプに合わせて適当なものを選択したいものです。今回は、多くの企業で人事制度構築をサポートしている社労士が、会社に合った等級制度の選び方を指南します。

【前回の記事はこちらから】
社労士が解説、失敗しない人事制度の秘訣は「良いとこ取り」

■社労士が解説する、3つの等級制度メリット・デメリット

等級制度には、「職能資格等級」「役割等級」「職務等級」の3つの型があります。
なぜ、3つの型があるかというと「絶対にこれがいい」と言えるものはなく、それぞれメリットとデメリットがあるからです。
だからこそ、それぞれのメリット・デメリットを押さえた上で、自社に合ったものを選択すること重要になります。

3つの等級制度 比較

■社労士が考える、御社に合った等級制度は?

では、上記のメリット・デメリットを踏まえ、企業のタイプ別に合った等級制度をご紹介しましょう。

職能資格等級がマッチする企業

職能資格等級は、文字通り「能力」を基準としています。
新卒や未経験から中長期的にジョブローテーションしながら育成していく企業と相性の良い制度と言えます。
この制度での最大の問題点は、保有能力と仕事とがマッチしなくなった時に、人件費だけが上昇することです。
ピラミッド型組織であればいいのですが、社員の年齢が相対的に高くなった時に、役職が無い(または部下がいない)にもかかわらず管理職並みの待遇になります。

役割等級がマッチする企業

任せる仕事(役割)と待遇がマッチするので、経験者を即戦力として採用する企業に相性の良い制度です。どんな業種、職種にも柔軟にマッチすることから、中小企業にはお薦めです。
反面、役割のレベルを上げない限り待遇が上がらないので、モチベーションをどう維持していくかが重要になります。

職務等級がマッチする企業

職務によって給与が変わりますので、スペシャリストの早期育成や専門性を重視する企業と相性が良い制度です。反面、同じ役職でも職務が異なることで給与も大きく変わってくるので、配置転換が行われる企業には向いていません。
また、職務が変更する毎に基準書も変更するので、メンテナンスが大変になるのもこの制度の特徴です。

■社労士が薦める、複数等級制度の組み合わせや併用

会社のタイプ別にどの等級制度がマッチするかをお伝えしましたが、それぞれ一長一短があります。言い換えると、これをやれば完璧と言えるものはないということです。

また、3つの型のどれかを採用しなければならないということでなく、複数の組合せやそれぞれのエッセンスだけを残した変形にすることも可能です。

職能資格等級と役割等級との組み合わせ

1つ目の例は、職能資格等級と役割等級との組み合わせです。
新卒や若手を採用して、中長期的で育成していく企業に職能資格等級はとても良い制度です。これまで人事制度を構築してきた企業の多くは、職能資格等級を採っています。

問題点は、社員の経験年数が経過することで、保有能力と仕事がマッチしなくなったという点ですので、その部分だけを見直せば良いということになります。

上図は、若い世代(低い等級)の職能資格等級は残し、役職者(3級以上)は職責に応じた等級(役割等級)としています。

職能資格等級と役割等級(職務等級)の併用

2つ目の例は、職能資格等級と役割等級の併用です。
職能資格等級の問題点は、保有能力と仕事とのミスマッチ。
部下が多くいる部門長から部下のいない役職に配置転換した時等が問題が発生します。
よくあるのが、部長(部下あり)から担当部長(部下なし)という役職への変更です。
役職上下がっても、保有能力が下がるわけではないので、等級を下げることができません。ただ、役職手当をつけている場合は、当然のことながら役職手当を減額することはできます。

上図だけでは見えませんが、基本給(職能資格等級による給与)のウエイトを下げ、その分役職手当のウエイトを上げています。

更に、同じ部長職でも、部下の人数によって何段階かのランクにすることで、役割等級といえます。役職(職責)をランク付けするという意味では、職務等級と言ってもいいかもしれません。

この併用型のメリットは、役職は下がっても職能資格等級は変わらない(基本給は変わらない)、でも役職手当は大幅に下がる(こともある)ことです。
会社の課題を解消しつつ、本人のプライドは何とか維持することができます。

■まとめ

等級制度の3つの型。でもあくまで基本形でバリエーションは無数だと考えて下さい。
要は、自社の考えに合った制度になるよう柔軟に対応していくことが大切。まさに「良いとこ取り」をしていただければと思います。

当社労士事務所は大阪・堺市を中心に様々な企業の問題に取り組んでおります。

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