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社労士が解説、失敗しない人事制度の秘訣は「良いとこ取り」

「50人未満の中小企業にも人事制度は必要」以前のブログでこのように申しました。そこでこれからしばらくは、失敗しない人価制度について解説させていただきます。人事制度で失敗しないために、まずは全体像を把握しておく必要があります。

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社労士が要約して解説 『人事制度』とは

「人事制度」は、一言で言えば、経営資源の中で最も重要である「人材」を活性化させるための組織のルールです。

社長の思い描く会社の未来を実現するために、

・どんな人材が必要かを具体的に表し、
・その人材像にどの程度近づいているかを評価し、
・評価に対していくらの報酬が得られるか、


これらを体系化したものが人事制度になります。

と言いましても『人事制度』というルールがあるのではなく、以下の3つの制度を総称して人事制度といいます。

・等級制度
・評価制度
・給与制度


会社によっては、これに『目標管理制度』『能力開発制度』等も規定していますが、基本としてはこの3つのなります。

この内、人事制度の骨格、コンピューターの世界で言うとOSに当たるのが『等級制度』。
それに対し『評価制度』『給与制度』は等級制度というOSの上で動くソフトウェアということが出来ます。

社労士が『等級制度』について解説

等級制度は、どのような社員を理想的な社員とするかを定義づける制度です。
理想とする社員のレベルを等級(階層)に分け、各等級(階層)に到達したといえる基準を設けていきます。

会社側から見ると、期待する仕事のレベルを示すことができると共に、そのレベルに応じた賃金設定ができるという利点があります。

社員から見ると、将来のキャリアプランを描きやすくなると共に、等級が上がることによって賃金もアップするので、生活設計が立てやすいという利点があります。

ちなみに、どれくらいの等級を設定するのがいいのかですが、5年後の未来組織図を描いていただき、それによってどれだけの階層にするのかを決めるのがお薦めです。

そんな大きな変化がないという場合、私がこれまでサポートしてきて思うのは、50名以下の中小企業の場合5~6等級あたりが使いやすいかと思います。

この等級(階層)を、仕事の種類(職種)毎に作ります。

等級を設定するにあたり、何を基本におくかによって、『職能資格等級』『役割等級』『職務等級』という作り方ができます。

職能資格等級

等級の基準を、社員が保有する『能力』におきます。
まず、各等級に求められる能力、対応する役職を大まかに定めていきます。
次に、社内での「仕事の洗い出し作業」により、各等級に求める仕事の内容とそのレベル感を「職能要件書」として整備します。
若い時期に入社し、長期にわたって1歩ずつ階段を登って日本における伝統的なやり方でもあります。

役割等級

等級の基準を、社員が遂行している『役割』におきます。
役割の概要、あるべき姿、特に求められる能力、資質を定義します。

職務等級

等級の基準を、社員が遂行している『職務』におきます。
職務の重要度、困難度等により序列をつけるやり方です。
職務とは、職種×責任(役職等)で、それぞれ序列づけられ、給与も序列ごとに決められます。同一賃金同一労働にマッチした仕組みと言えます。

それぞれの詳細(事例等)は、書籍やインターネットから情報収集できますが、完成度が高く複雑です。中小企業の場合は、それぞれの等級制度のエッセンスだけを取り入れてシンプルしする方が、使いやすくなります。

■社労士が解説する『評価制度』 評価の2軸

評価の2軸といって、評価には大きく『プロセス』と『成果』の2種類があります。

どちらが重要かというと、当然のことながら『成果』です。
企業である以上、成果をあげていかなければ成り立ちません。

では、成果だけを評価すればいいのかというと、そうではありません。
プロセスがあっての成果なので、成果をあげるためにはよりプロセスが重要と言えます。

プロセスの評価基準を作成する際、私が大切にしている考え方を述べさせていただきます。

スキル(できること)評価

製造や技術系の職種では、そもそもスキルが無ければ仕事になりません。
・必要とするスキル
・レベル
これらを上図のようにスキルマップにしていきます。

一方で、営業・事務系の職種では、スキル(できる)を保有していても、使わなくても仕事として成り立ちます。より成果につなげる為には、やってなんぼ、という考え方ができるので、行動(していること)に含めることが多いです。

行動(していること)評価

行動評価の難しい点は、評価項目の数と内容です。
多方面から評価したくなりますが、実行してもらわないと意味が有りません。
20項目も30項目もあると、見るだけでやる気が失せ、評価するための評価制度になります。
思い切って成果に直結する評価項目を絞り込む発想が重要です。
私の場合は、6~9の項目数に絞ることが多いです。
また、評価の基準についても、上図のように、具体的にしています。

■給与制度【処遇への反映】 

給与制度(賃金制度)で重要なのは、給与表(給与テーブル)をどうするのかという点と、処遇にどう反映するかという2点を考える必要があります。

給与表(賃金テーブル)

給与表(賃金テーブル)といえば『号俸給』といっていいほど、号俸給を採用している企業がほとんどですが、レンジマトリックス管理、複数賃率表によるものの3種類があります。

号俸給とレンジマトリックス管理は、過去の給与の上に積み上げていく『累積方式』、複数賃率表によるものは毎回、それまでの給与はリセットされる『洗替方式』となります。

【給与表(賃金テーブル)詳しくはこちらをご欄下さい】

処遇への反映

給与でもう1点考える必要があるのは、結果(成果・業績)とプロセス(スキルと行動)の結果を、処遇(昇格・昇給と賞与)へどうの反映するかです。

一般的には成果とプロセスの両方を、昇格・昇給と賞与へのウエイトを変えて反映する『総合型』が多いのですが、思い切ってプロセスは昇給・賞与へ、成果は賞与へと分ける『分離型』もあります。

外部環境に左右されやすい業種。例えば小売店の場合、どれだけ社員が頑張っても近隣に競合店が出来たら業績は落ちます。

それによって、昇格や昇給に影響するとなると、疑問は残ります。
『分離型』で、昇格や昇給は結果(成果・業績)に関係なく処遇する、賞与は業績が落ちたのだから我慢してくれ、とするのも有効です。

■まとめ

今回は人事制度の全体像を取り上げました。
等級制度・評価制度・給与制度のいずれもが、複数のパターンがあります。
これらのパターンを
大切なことは、会社の考え方や状況に応じて『良いとこ取り』をするという発想です。

当社労士事務所は大阪・堺市を中心に企業の人材に関する問題解決に取り組んでおります。

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