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社労士が疑問に回答、パートタイマーに人事制度ってホントに必要なの?

厚生労働省が積極的に導入を奨励し、実際に導入する企業も多く見られますパートタイマーの人事制度。
でも、ホントに必要なの?
今回は、多くの中小企業で人事制度構築を支援している社労士が、パートタイマーの人事制度について解説します。

■社労士が解説、パートタイマーに人事制度が必要と言われる2つの理由

まず、パートタイマーに人事制度が必要と言われるようになった理由について考えてみましょう。私は、大きく「労働力人口の減少」「同一労働同一賃金」の2つだと考えています。

労働力人口の減少

1つ目の理由は、労働力人口の減少です。以前のブログ『社労士がホンネで解説!50人以下の中小企業に人事評価制度は必要か?』でも解説していますが、パートタイマーにも同じことが言えます。
既に採用が出来ずに悩んでおられる社長も多いと思いますが、今後はますますこの傾向が加速することが予測されます。

であれば、人事制度を導入(頑張っている人を評価)することで、パートタイマーのモチベーションを高め、長く働き続けることのできる環境作りをしていきましょうということです。

【関連記事はこちらから】

同一労働同一賃金

2つ目の理由として「同一労働同一賃金」です。
2020年4月に施行(中小企業は2021年4月から適用)されたパートタイム・有期雇用労働法により、正社員と非正規雇用労働者との間で基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されました。

後述しますが、「賃金が安くすむから」という理由でパートタイマーを雇用している会社も多いと思います。
ところが「同一労働同一賃金」により、正社員もパートタイマーも同じ仕事をしているのであれば、賃金も同じにしなければなりません。

逆に言うと、「賃金を安くすませる」ためには、正社員との仕事の内容(求める役割)が客観的にわかるようにするのが望まれます。
前回、前々回お伝えしました「等級制度」に定義付けるのが最も良いやり方であると考えています。

【前回、前々回の記事はこちらから】

■社労士がホンネで答える、パートタイマーに人事制度は必要か?

以上の2点がパートタイマーに人事制度が必要な理由となります。
言い変えると、社長ご自身がパートタイマーに何を求めることとして、この2点とあまり関係がないのであれば、人事制度も必要でないと言えます。

パートタイマーを雇用する理由

出典:東京都産業労働局「平成29年度 パートタイマーに関する実態調査」

東京都産業労働局の「平成29年度 パートタイマーに関する実態調査」によると、企業がパートタイマーを雇用する理由のトップ3は以下の通りです。

 ※東京都産業労働局の「平成29年度 パートタイマーに関する実態調査」
   https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/koyou/jouken/h29/

1位 簡単な仕事だから  41.2%
2位 賃金コストが安くてすむから 39.5%
3位 日または季節的繁閑に対応する為 37.8%

2位の賃金については今回のテーマになりますので、「簡単な仕事だからパートタイマー」と「繁忙時のみ補充したいからパートタイマー」ということになります。
(3位以下は上の写真をご覧ください)

パートタイマーに人事制度が必要な会社、必要の無い会社

パートタイマーに人事制度が必要かどうかについて、私はこのように考えています。
あなたの会社がパートタイマーを雇用する理由として、1位の「簡単な仕事」で、
●それ(簡単な仕事)以上を求めない
●短期で人員が入れ替わっても気にならない
のであれば、敢えて人事制度を導入する必要は無いかと思います。

でも「出来れば難易度が上がる仕事もやってほしい」とか「長く働き続けて欲しい」と考えるのであれば、人事制度を導入することをお薦めします。

また、3位の「繁忙時の補充」やそれ以外の理由であれば、正社員と同じ仕事をすることが想定されますから、人事制度を導入すべきだと考えます。

■社労士が構築支援した、パートタイマー人事制度の導入事例

パートタイマーに人事制度を導入する際、キモになるのが等級制度です。
等級制度で求める役割や仕事内容を明確にしておくことが重要です。

上図は、小売業で実際に設定した等級制度を簡略化したものです。

小売業の場合、正社員でも入社1~2年の場合は接客や準備・後片付けが主な仕事になります。そういう意味ではパートタイマーも同じ仕事です。

では同じ待遇かというと、そうではありません。求めるものが違います。
正社員は将来的には幹部社員となるべく能力を積み上げいく必要があります。

正社員の1等級、2等級とパート1、パート2は同じような仕事をしていても、求めるものの違いから、待遇差を設けています。

逆に、パートタイマーでもリーダーになってくると、正社員の係長や主任と仕事内容が変わりませんので、同じ待遇にしています。

このようにすることで、パートタイマーでも一般的な方は賃金を安くすますことができ、重要な立場になると待遇が上がるということにすると、経営者にとってもパートタイマーにとっても良い形になるのではないでしょうか。

■まとめ

今回は、パートタイマーの人事制度について具体例を挙げながら解説しました。
会社の状況に合わせて考えていただければ幸いです。

当社労士事務所は大阪・堺市を中心に中小企業の人材に関する課題解決に取り組んでおります。

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