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人事制度の疑問に社労士が回答、絶対評価で8割の社員がS評価になった!

人事評価をしていると、「評価インフレ」「評価デフレ」という現象が起こります。評価分布のバランスが良ければいいのですが、高評価または低評価に偏る現象です。今回は、8割の社員がS評価になってしまう、評価のハイパーインフレについて私の見解をお伝えします。

■社労士が解説、絶対評価、相対評価どっちがいい?

評価制度の設計をする際、経営者からよく聞かれるのは「絶対評価」「相対評価」どっちがいいの?です。

絶対評価とは、他者との比較をせずに、求められた基準に対して、それぞれの社員の達成度合いを評価するものです。理論上は全員がS評価ということも起こり得ます。

相対評価とは、他者と比較をしての評価。求められた基準に達していたとしても、全体の出来が良ければ低い評価をされることになります。

どちらがいいかどうかは、会社の事情によって異なります。
それぞれの特徴を認識した上で、判断していただきたいと思います。

相対評価、絶対評価の特徴

相対評価は、社員を比較した上で、S評価は上位5%、A評価は15%というように、それぞれの分布に合わせて決定していきます。比較するという点で、評価者にとっては判断しやすいという利点があります。

また、S評価は5,000円、A評価は3,000円というように、評価によって昇給額を設定している企業が多いので、それぞれの評価の分布数が一定である為、昇給原資に大きな変動が生じないのも特徴です。



一方、絶対評価は他人と比較することなく、1人1人の達成状況によって評価することになるので、評価者からすると判断しづらく、評価の分布が歪になることがよくあります。

また、みんなが頑張った結果、8割の社員がS評価やA評価に集中することもあります。
その場合、評価によって昇給額が決まっていると、昇給原資が膨れ上がるのが経営者にとっては辛い点です。

■社労士が回答、8割の社員がS評価なんて超理想的

相対評価、絶対評価共にメリット・デメリットがあるので、一概にどちらがいいとは言えません。ただ、中小企業が導入するのであれば絶対評価をお薦めしています。

相対評価の場合、S評価はどうしても超優秀は社員の指定席となりがちですし、A評価も半数位は常連のメンバーが固めています。
そうすると、ほとんどの社員は頑張ってもB(標準)しかもらえなくなります。

誤解を恐れずに申しますと、中小企業の社員の方たちは幼少の頃から褒められた経験も少なく劣等感をもつ方が多いです。
会社に入ってもその延長線上で、自分では頑張ったと思っていてもB評価となると、「どうせ自分はこんな程度」という残念な感情が芽生えてしまいます。

絶対評価にすることで、頑張ったらSやAがもらえるとなると、モチベーションも向上し、社員の成長にもつながります。


今回のタイトル「8割の社員がS評価になったらどうする?」
ですが、私の回答は「すっごくいいじゃないですか!」です。

そして、1段高い次の評価項目を設定して、また8割の社員がS評価になるようにしていく。数年おきに繰り返すことができたら、5年先にはどんな人材に育っているでしょう。
組織としては理想的だと思います。

ただ、注意すべきは、①評価項目(行動目標)が具体的であること、②S評価は簡単ではないものの、不可能ではないレベルであること、③求められる行動をすることにより成果につながる、という3点です。

【詳しくはこちらをご覧ください】

社労士が解説、社員が成長する評価項目の作り方

■社労士は、昇給原資を設定して評価インフレの問題点を解消する

8割の社員がS評価になるのは組織としては理想的であると共に、昇給原資をどうするかという問題が発生します。

私の知る限りでは、次の2つの対応が考えられます、

1つ目は、最終的な調整で、全体の評価を落とすことです。
本来はS評価だけど、全体的に高い評価が多いので、1ランク落としてA評価にする特イメージです。

2つ目は、評価はそのままで、昇給額を調整するという方法です。
S評価は5,000円アップというように予め昇給額を決めるのではなく、先に昇給原資を決めておいて、その中で配分していきます。

同じS評価であっても、5,000円昇給する時もあれば、3,000円しか昇給しない時もあります。S評価の価値が、全体の評価の分布によって変動するということです。

これら2つはどちらも問題はあるのですが、私は2つ目の予め設定された昇給原資の中で配分することを、顧問先には薦めています。

なぜなら、評価を調整して下げるということは、それぞれの社員の頑張りを否定することになるのに対し、昇給原資方式は、S評価の価値は変動するというマイナス点はあるものの、社員が頑張ったという事実が変わることはないからです。

■まとめ

今回は評価の仕方と昇給原資の配分について考えてみました。
参考にして頂ければ幸いです。

当社労士事務所は大阪・堺市を中心に企業の人と組織の問題に取り組んでおります。

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