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社労士が提言、中小企業の就業規則でココを外すと意味が無い必須のポイント!

中小企業が就業規則を作成する際、いくつかの注意点があります。その中で、ココを外すと意味がなくなる、絶対に押さえておきたいポイントがあります。今回は、他の社労士が決して語らない、その重大なポイントについて解説します。

■社労士が見た、立派な就業規則を作って失敗した社長

以前ご相談を受けた社長さん。
10数名の小さな会社ですが、立派な就業規則を作られたばかりでした。

就業規則には『松竹梅』とランクがあり、価格も大きく異なります。

あくまで私の感覚的なものですが、
 ☆梅 … 5~10万円
 ☆竹 … 10~40万円
 ☆松 … 40万円以上
といったところです。

その就業規則を見せてもらったところ、内容はハイスペック。
それに立派に装丁までされています。
『松』以上です。

「立派な就業規則ですね。○万円位かかったんじゃないですか?」

自分の感覚よりちょっと高額です高めでお聞きしたところ、
「もうちょっとかかりました。」

かなりの高額です。

では、その社長がなぜ相談に来られたかというと、
社員から集団で退職届を出されたとのこと。

どうやら1年前に採用した社員が、画策していたようです。

決して悪い社員ではなかったようで、色々と提案を出してくれていたそうです。
ただ、社長からすると現実味がない、「おいおい、それは無理やろ!」と言いたくなるような内容だったので、全て却下していたのです。

そのうち、勤務態度も悪くなってきて、社長が注意しても聞かなくなり、周囲にも良くない影響を及ぼすようになりました。

そんな時にある社労士に相談したところ、
「社長、就業規則をきっちりと作りましょう。」
ということで、高価な就業規則を作ることになったそうです。

結末は先ほど説明した通りです。

■就業規則でトラブル防止ができない3つの理由

私たち社労士も含め、労働トラブルを防止する為に就業規則を作ろうとする方はとても多いです。でも、はっきり言って労働トラブルを防止する為に就業規則を作成しても効果は望めません。というよりも火に油を注ぐことになりかねません。
その理由についてお話したいと思います。

1 就業規則が出番となる場面はそれほど多くない

まず1つ目として、『松』の就業規則を作ったとしても、役に立ったと言える場面はそれほど多く有りません。というよりも、そこまでの問題を起こす従業員自体そんなにいないと言ってもいいかもしれません。
私がこれまでかかわった中では、
・欠勤・遅刻・早退を繰り返す
・部下や同僚にハラスメントをする
・経営者批判
・ローパフォーマー(能力不足・成績不振)
・顧客を怒らせる

このようなところでしょうか。

就業規則の出番となるのは、何度指導しても改善されない時。
始末書を求めたり、減給をしたり、その段階になると就業規則の出番になります。
それでも改善されない時は、解雇を検討することになります。
いわば最終手段として使われるのが就業規則と言えます。

問題社員はそれなりの割合で存在するかとは思いますが、最終段階に至るケースはそんなにありません。
大手企業のように、当事者がしがみつきたくなるような会社であれば充分考えられますが、社員30人程度までの会社では、その途中で本人から辞めてしまうケースの方が多いのではないでしょうか。

2 就業規則に関心を持つ社員はいない

2点目に、いくら良い就業規則を作っても社員は関心を持ってくれないということです。
正確に言うと社長が重要だと思っていることに関心を持ってくれないですが…。

社員としての心構え、服務規律に関心をもってくれるといいのですが、社員が関心を持つのは、給与の規定であったり、有給休暇であったり、いわば福利厚生的要素になります。

作成・変更した就業規則を社員に見てもらうことによる反応は、
「今月の残業代の計算はどうなってるんですか?」
「自由に有給休暇を取っていいって書いてるじゃないですか!」

このようなことばかりです。

3 ルールよりも風土作りが重要

3つ目として、規程(ルール)作りよりも風土作りの方がより重要ということです。
1つ目のところで述べました問題社員、
・欠勤・遅刻・早退を繰り返す
・部下や同僚にハラスメントをする
・経営者批判
・ローパフォーマー(能力不足・成績不振)
・顧客を怒らせる

このような例は、そもそも会社の風土による影響が大きいのではないでしょうか。
「まあ、少しくらいはいいんじゃないの?」ではなく、
「絶対に許さない」という厳しい姿勢で日頃から指導し、会社としてそのような風土が醸成すれば、問題社員にとっては居心地が悪くなり、姿勢を改めるか辞めるかのどちらかになります。

■社労士が提言、中小企業の就業規則で必須のポイント

ここまで、高価な就業規則を作成しても意味がないですよ。
そんな話をしてきましたが、逆に言うと、就業規則の意味合いを理解した上で、適切なやり方で進めていくなら大いに価値があるということです。

就業規則ってそもそも何のために作るの?

就業規則とは何か?
ひと言で表現すると、その職場で働くにあたって定める経営者と従業員とのルール。

ではルールは何のためにあるのでしょうか?

ルールって、それぞれのご家庭にもありますよね。
例えば、わが家のルールだと
子供の小遣いは『年齢×200円』としていました。

なぜそんなルールにしていたのかというと、
大人になった時にこうなって欲しい。
そんな理想像があり、
その為にはしっかりとした経済観念を持つことが大事。
そういう考えがあるからです。

きっとあなたのご家庭のルールも同じだと思います。

会社も考え方は同じです。
就業規則って、トラブル防止とか小難しく言われていますが、
もっと単純に考えると経営者が思うような会社にしていくためのものです。

どんな会社にしていきたいか、
どんな従業員であって欲しいのか、

就業規則を作る時は、まずはそこを明確にした上で、その考えと就業規則に定めていることを関連付けていくことが重要になります。

就業規則を作成する際の手順

では、どのような手順ですすめていけばいいのでしょうか?
私が就業規則を作成する際の手順をご紹介しますので参考にしていただけたらと思います。

1 会社の理念・社長の思い
社会への貢献や社員にどのようになって欲しいかという理想像を描く
    ⇓
2 就業に関する心構え
 このような理想像に近づけていく為は皆さんに頑張ってもらわなければならない。
その心構えとして、社員にして欲しいこと、やってはいけないことを規定する。
    ⇓
3 福利厚生
 頑張ってもらうには、働きやすさも重要。
 効率よく仕事をして残業を減らしたり、有給休暇をきっちりとったりすることも大事な
ので、規程に定めている。
    ⇓
4 リスク対策
 せっかく作るので、やはりリスク対策が規定しておきたいところです。
 未払い残業代、問題社員対応等、想定できるリスクはつぶしておきます。

ひと言で表現すると、賃金や労働時間、休暇等社員が関心を示しやすい福利厚生的な事項も、会社の理念実現に向けてしっかり頑張ってもらう為にあるんだということの関連付け、就業規則にストーリーを持たせることが重要です。
そして、これらを社員説明会で発信し、その後も社員と面談して理解を求めていくことで、意味のある就業規則になります。

■まとめ

以上、中小企業が就業規則を作成する上で大切なことをお伝えしました。
そうは言っても、いざやろうとなると覚悟が必要です。

私がこれまでサポートしてきた企業を例に挙げると、
全員に理解してもらうまでに、社員から色んな質問が出るのはもちろんのこと、
「私、ここが反対です!」なんて言ってくる強者もいました。

その度に社長が私に相談されるので、私も大変です。

でも、そうやって1つ1つ丁寧に対応し理解してもらったことで、社員との関係性が良くなり、
人のことであれこれ悩まなくてよくなったと言って下さいます。

せっかく就業規則を作るなら、意味のあるものにしていただきたいですし、
その為には、社労士に依頼する際、これらの流れ全体をサポートしてもらえるか事前に確認することも重要です。

当社労士事務所は大阪・堺市を中心に様々な企業の問題に取り組んでおります。


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