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社労士が企業の給与問題に迫る!中途社員の給与逆転現象の解決法とは?

新卒社員の給料は一律で決めればいいのに対し、中途社員の場合は前職での年収も考慮することが多いので、年齢や経験に関係なく給与の額がバラバラになりがちです。
1年遅れで入社した社員の方が年少であるにもかかわらず、給与が多い。
こうなると先に入った社員にとっては不満になります。
今回はこの解決策を考えたいと思います。

■中小企業では避けることができない給与逆転現象

私は中小企業の人事評価制度構築を支援することが多いのですが、その中で必ずと言っていいほど話に上がるのが、中途社員の給与逆転現象。

1年遅れで入った中途社員が、年下であるにもかかわらず自分よりも給料が高い。
中小企業ではよくあるるケースです。

本来の給与額の決め方は、年齢ではなく経験。
その人の経験を自社の等級基準に当てはめて給与を設定するので逆転現象は当然に起こり得ます。
というのが模範的な回答になるのですが、言うは易しです。

経験と言っても実際にそれを金額に落とし込むのは簡単では無いですし、候補者とって低いと感じる金額を提示すると辞退されてしまいます。

そこで大抵の場合、前職の年収を元に決めることになります。

それが逆転現象の原因です。
中小企業では避けることはできません。

給与の問題は給与制度で解決!

それでも、「出来る社員」であればあきらめもつくのですが、そうでなければ不平不満も言いたくなります。
「自分の方が仕事ができるのに給料が低いのは納得できない」と。

経営者にとってみれば、痛いところを突かれる思いです。
かと言って1人の給料を上げるわけにはいきません。
みんな周囲に「社長に交渉したら上げてもらった」と喋りますから。

そこで結論から申し上げますと 「給与の歪みは給与制度で解決する」
それが今回の解決策です。

■目的に応じて3種類の給与制度がある

給与制度には大きく、累積方式と洗替方式という方法があります。
累積方式は、その年の給与額をもとに、昇給(降給)額が決められます。
一方、洗替方式は、その年の給与額はリセットされ、評価をもとに新たに給与額が決められます。

累積方式には号俸給、レンジマトリックス管理、洗替方式には複数賃率表によるものがあり、今回はこれらの3種類の給与制度について説明します。

※給与制度…賃金制度と言われることも多いですが、ここでは給与制度に統一します。

号俸給(累積方式)

給与テーブルには、給与テーブルで最も多いのが、号俸給です。
上図のように、各等級(1等級、2等級…)の中に、細かく号給を設定していきます。
各号間の幅は、表の場合ですと1,000円に設定しています。

・1等級1号俸 160,000円
・1等級2号俸 161,000円
・1等級3号俸 162,000円

このようになっています。

更に、以下のように評価によってどれだけ昇給するかが決められます。
評価S … 4,000円
評価A … 3,000円
評価B … 2,000円
評価C … 1,000円
評価D … 昇給なし

例えば、1年目 1等級1号俸 160,000円でスタートし、評価Aの場合、
翌年は1等級4号俸 163,000円に位置付けられます。
その翌年は、163,000円をもとに評価によって決められます。

号俸給は、毎年コツコツ昇給するので安定的なイメージがあるのが一番の特徴です。
反面、業績が悪化しても評価に基づき昇給額が決まっているのが、企業にとってのリスクになります。
そこで、こまかな号俸は設定せず、各等級の上限額と下限額だけを設定し、昇給額はその年の昇給予算に合わせて設定する方法を採るやり方もあります。
これについては、また別の機会にご説明します。

今回のテーマ、中途採用時の給与額という点ではどうでしょうか。

号俸給ですと、同じ等級で同じ評価だった場合は昇給額も同額になります。
評価や昇格(等級が上がる)でしか入社時の給与の差を埋めることができません。

複数賃率表(洗替方式)

その年の給与額を元に昇給(降給)額が決められる累積方式に対し、毎回リセットして決められるのが洗替方式の給与制度です。

ここでは、4段階一致の複数賃率表をご紹介します。

表の場合ですと、1等級のスタート時が160,000円となっています。
その年の評価がAだった場合、2年目は165,000円になります。
累積方式だと、3年目の給与は2年目の165,000円をもとに決まるのですが、洗替方式は関係ありません。
3年目の欄と評価だけを見て決まります。
評価がSだと170,000円、Dだと166,000円になります。

この表では4段階一致という形を採っていますので、評価Sの人が翌年の評価がDだった場合、給与額が変わらない設計になっていますが、ここは自由に設定できます。

評価Sの人が、翌年の評価がCだった場合に給与額が変わらない、評価Dになると下がってしまう(3段階一致)。
評価Sの人が、翌年の評価Bで同額、評価CやDになると下がってしまう(2段階一致)設計にすることもできます。

洗替方式は、過去の評価は考慮されない形になりますので「1年1年が真剣勝負だ」。
そんなやり方を望む企業に合っています。

今回のお悩みのケースとは趣旨が異なります。

レンジマトリックス管理(累積方式)

同じ累積方式でも号俸給と少し異なるのがレンジマトリックス管理です。
今回のテーマ、中途採用時の給与額の歪を修正するには、このレンジマトリックス管理がお薦めです。


表の場合ですと、3等級を給与の額に応じて4つのゾーンに分けています。
同じ等級でも、給与の高い人と給与の低い人とでは昇給額の厳しさに変化をつけています。

同じ評価Aでも、
ゾーン1の人は昇給しません
ゾーン2の人は1%UP
ゾーン3の人は3%UP
ゾーン4の人は5%UP

このように昇給額の厳しさに差をつけることで、中途採用時の給与額の歪みを数年かけて修正していくことができるのが、この制度の特徴です。

参考までに、以下の2人で比較してみましょう。

■Aさん 採用時の給与 20万円
■Bさん 採用時の給与 24万円

この2人が、評価Aを取り続けた場合このようになります。

    Aさん  Bさん  差
入社時 200,000 240,000 40,000
1年後 210,000 242,400 32,400
2年後 220,500 244,824 24,324
3年後 227,115 247,272 20,157
4年後 233,928 249,745 15,817
5年後 240,946 252,242 11,296

入社時に差が40,000円あったのですが、5年後には11,296円にまで縮まっています。

実際には、同じ評価がずっと続くことは無いでしょうから、
Aさんが頑張って良い評価をもらうことができたら、再逆転のチャンスも充分に考えられます。

中途採用が多い会社には、このレンジマトリックス管理による給与制度をご提案する機会が多いです。

■まとめ

今回は3つの給与制度をご紹介しました。
私が主にサポートしている社員50人までの企業では、実際にはこのようなきっちりとした給与制度を整備している企業は少ないです。

また、給与制度を整備している企業もほぼ全てと言っていいほど号俸給を採っています。
最もわかりやすい制度であると同時に、号俸給しか知らないコンサルタントや社労士が多いというのもその理由であるようです。

御社で給与制度を整備される際は、号俸給だけでなくレンジマトリックスも選択肢として挙げているのかが、コンサルタントや社労士を見極めるポイントになるかと思います。


当社労士事務所は大阪市・堺市を中心に様々な企業の問題に取り組んでおります。

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