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労働基準法における「タイムカードと出勤簿」の違いと保管義務を解説

労働時間管理の最適化は、企業運営の効率化と従業員の働きやすい環境作りに不可欠です。特に中小企業では、リソースの限られた中でいかに効果的に勤怠管理を行うかが重要です。本記事では、デジタルツールの活用方法から、紙ベースのシステムでも効率的に管理するコツまで、労働時間管理の最適化へ向けた実践的なアドバイスを提供します。

1.労働基準法におけるタイムカードと出勤簿の位置づけ

タイムカードと出勤簿は、労働基準法に基づき、従業員の勤務時間を適正に管理し、労働者の権利を保護するために不可欠なツールです。これらは、労働時間の正確な把握、残業時間の管理、賃金計算の基礎として機能します。法的位置づけにおいては、雇用者はこれらの記録を適切に作成し、所定の期間保管することが義務付けられており、遵守しない場合は法的責任を問われる可能性があります。正確な勤怠管理は、透明性の高い職場環境を実現し、労働者と雇用者双方の信頼関係を構築する上で重要です。

「法定4帳簿」とは?

まずは労働基準法に基づき、中小企業の社長さまに向けたやさしいガイドとして、「法定4帳簿」の紹介をさせていただきます。これらは従業員の勤務状況を明確に記録・保管するために不可欠な文書です。

【法定4帳簿】
・労働者名簿:従業員の基本情報を記載した文書です。
・出勤簿:日々の出勤・退勤時間を記録し、労働時間の管理に役立ちます。
・賃金台帳:給与の詳細(基本給、手当、控除など)を記載し、公正な賃金支払いを保証します。
・年次有給休暇管理簿:従業員の有給休暇の取得状況を追跡し、適切な労働環境の維持に寄与します。


2019年の法改正により、年次有給休暇管理簿が新たに加わりました。これは、従業員の休暇権利をより良く保護するためのものです。また、2020年からはこれらの帳簿の保管期間が5年間に延長されていますので、適切な管理が求められます。


タイムカードと出勤簿の法的位置づけ

タイムカードと出勤簿は勤怠管理における重要なツールですが、機能と目的に違いがあります。

タイムカードは従業員の出退勤時刻を具体的に記録するツールであり、日々の実際の出勤・退勤時刻を打刻によって記録します。

これに対して、出勤簿は従業員の出勤日数や日々の労働時間(始業・終業時間、休憩時間、残業時間など)を詳細に記録し、賃金計算や労働時間管理の基礎データとして利用されます。

タイムカードが「いつ」働いたかを示すのに対し、出勤簿は「どれだけ」働いたかを示しており、その中で業務の実際の開始と終了の時間を管理する点で異なります。

2.タイムカードと出勤簿の違いと活用

勤怠管理におけるタイムカードと出勤簿の使用は、企業にとって日々の運営において重要な役割を果たしますが、それぞれの具体的な活用方法とその違いを理解することは、効率的な労働時間管理と法的遵守の観点から不可欠です。

では、どのようにこれらのツールを最適に使い分けることができるのでしょうか?また、実際の業務運用において、タイムカードと出勤簿をどのように活用することで、企業は労働基準法の要件を満たしつつ、従業員の労働環境を改善できるのでしょうか?このセクションでは、これらの問題提起に対する具体的な解説を行います。

タイムカードと出勤簿の使い分け方

タイムカードと出勤簿は、どちらも従業員の勤務状況を記録するために使用されますが、使い分けにはポイントがあります。タイムカードは主に出退勤の時刻を記録し、実際に働いた時間の把握に役立ちます。

一方、出勤簿は、勤務時間だけでなく、休憩時間や残業時間も含めて詳細に記録するために使用され、賃金計算や労働時間管理の正確性を高めるのに適しています。

実務での活用方法

実務において、タイムカードは従業員自身が出退勤時に打刻することで、日々の勤務時間を正確に記録します。これにより、労働時間の透明性が確保され、残業管理や勤怠管理が容易になります。

出勤簿は、タイムカードで得られたデータを基に、人事や経理部門が賃金計算や年次有給休暇の管理に使用します。両者を組み合わせることで、正確かつ公平な勤怠管理が可能となり、労働基準法の要件を満たすことができます。

3.労働基準法と出勤簿・タイムカードの保管義務

労働基準法における勤怠記録の保管義務は、従業員の労働時間を正確に記録・保管することを企業に義務付けています。この義務は、従業員の権利保護と適正な労働条件の確保を目的としています。出勤簿やタイムカードなどの勤怠記録は、少なくとも5年間保管する必要があり、これにより労働時間の適正管理や賃金計算の正確性が保証されます。企業はこれらの記録を適切に管理し、必要に応じて労働基準監督署への提示が可能な状態に保つことが求められます。

労働基準法における出勤簿の保管義務:期間と方法

労働基準法に基づき、出勤簿の保管義務は5年間とされており、これは労働者の勤務時間の透明性を確保し、適正な労働条件の維持を促すためです。企業は、これらの記録を紙媒体またはデジタル形式で安全に保管することが義務付けられており、災害やデータ損失から保護するための適切な対策を講じる必要があります。

また、保管された記録は、労働基準監督署の監査や労働関係の紛争解決の際に重要な証拠として利用されることがあります。したがって、企業は記録の整理と保管に関する方針を明確にし、定期的な確認と更新を行うことが重要です。

タイムカードの保管と法的要件

タイムカードの保管と法的要件に関して、労働基準法は5年間の保管を義務付けており、電子データであればそのセキュリティと整合性の維持が必要です。

これは、労働時間の正確な記録を長期間にわたって維持し、必要に応じて検証可能にするためです。データの改ざん防止策として、定期的なバックアップの取得や、アクセス制御、暗号化技術の使用が推奨されます。これらの措置は、データの信頼性を保ち、労働関係の紛争や監査時に企業が法的な要件を満たしていることを証明するために重要です。

タイムカードを出勤簿代わりに使うことは可能か?

タイムカードは日々の勤怠記録に使用され、出勤簿は労働時間の細かな管理に役立ちます。デジタル化の進展に伴い、タイムカードシステムが出勤簿の機能を含むようになりました。これにより、出勤日数や労働時間を自動計算し、法的要件を満たす出勤簿として機能可能になります。

小規模企業では、紙のタイムカードを使用し、手動で出勤簿に転記し、計算することが一般的です。エクセルでタイムカードの情報から自動計算するテンプレートを作成し、出勤簿データを整理する方法も有効です。

また、タイムカードを出勤簿代わりに使用することは、労働時間の管理において有効な手段です。特にデジタル化が進んでいない小規模企業では、紙のタイムカードに、出勤日数や日々の残業時間などを追記することで、法的要件を満たす出勤簿として活用できます。この方法は、労務管理の負担を軽減し、記録の正確性を保つための体制を整えることが推奨されます。

4.労働時間管理の違反とその対応策

労働時間管理の違反とその対応策では、正確な勤怠記録の維持が中心となります。不備による罰則を避け、従業員の権利を保護するために、企業は出勤簿やタイムカードの管理を徹底する必要があります。デジタル勤怠管理システムの導入や、手動での記録でも、法的要件を満たすための詳細な記録が重要です。これにより、適正な労働時間の管理と公正な賃金支払いが保証されます。

出勤簿・タイムカードの不備が招く罰則

労働基準法では、勤怠記録を正確に管理することが義務付けられており、出勤簿やタイムカードを作成・保管していなかった、または破棄してしまった場合、企業は最大30万円の罰金に直面する可能性があります。

また、これらの記録が不十分な場合、従業員からの残業代未払いなどの訴えに対して、企業は不利な立場に立たされることになります。正確な勤怠管理は、企業の法的リスクを低減し、従業員の権利を守るために重要です。

罰則回避のための実用的な対策

罰則を避けるためには、正確な勤怠管理システムの導入が効果的です。デジタル勤怠管理システムを使用することで、出勤簿やタイムカードの記録を自動化し、不備のリスクを減らすことができます。また、従業員に対する勤怠管理のルールや手順の教育を徹底することも、記録の正確性を高める上で重要です。定期的な監査を行い、管理システムの適切な運用を確認することも、罰則回避には不可欠です。

勤怠管理システムがない企業は、タイムカードに出勤日数や残業時間などを記入し、これを法的な出勤簿として活用できます。タイムカード機械を導入していない場合、エクセルで作成した出勤簿に日々の始業・終業時刻を記録することが一つの始め方です。このような手法は、記録の正確性を向上させ、結果として罰則のリスクを低減します。

5.労働時間管理の最適化へ向けて

労働時間管理の最適化は、企業の生産性向上と従業員の満足度を高めるために欠かせない要素です。デジタルツールを活用することで効率的な勤怠管理が可能になり、中小企業でも簡易的な方法からスタートし、徐々にシステムを発展させることが推奨されます。正確な労働時間の記録と管理は、法令遵守だけでなく、適正な労働環境の実現にもつながります。

エクセルテンプレートの有効活用

デジタルツールの導入は、労働時間管理の効率化に大きく貢献しますが、小規模な企業では導入のハードルが高いことも事実です。そこで、手始めに簡単な勤怠管理アプリやエクセルテンプレートを活用することから始めることをお勧めします。これらは低コストで始められ、徐々にシステムを拡張していくことが可能です。

中小企業における労務管理の基本

中小企業では、コストと手間を抑えつつ、法令遵守を図る必要があります。紙ベースのタイムカードや出勤簿を活用し始めることは、デジタル化への第一歩となり得ます。
重要なのは、出勤日数や労働時間を正確に記録し、適切に保管することです。従業員とのコミュニケーションを密にし、勤怠管理の透明性を高めることも、小規模企業における労務管理のポイントと言えるでしょう。

まとめ

労働時間管理の最適化は、企業の生産性と従業員の満足度を高めるために必要です。デジタルツールの活用から始めることが推奨されており、小規模企業でも手軽に導入できる方法があります。正確な記録と管理により、法的遵守と適正な労働環境を実現できます。中小企業はコストを抑えながらも、徐々にデジタル化を進めることで、勤怠管理の効率化を図ることができるでしょう。


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