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フレックスタイム制の闇:欠勤控除や残業命令が出来ない!対応策も解説

フレックスタイム制は、従業員にとって働きやすい環境を提供し、ワークライフバランスの向上を図るための非常に魅力的な制度です。この制度により、従業員は自身の生活スタイルや業務の効率に応じて、勤務時間を自由に設定することができます。しかし、全ての勤務体系には利点と欠点が存在するように、フレックスタイム制にもいくつかの課題が伴います。

フレックスタイム制を導入する際、または導入後に遭遇することがある問題点は、従業員の自主性に大きく依存するという点にあります。自主性を重んじるこの制度は、従業員一人ひとりの自己管理能力が求められるため、すべての従業員がこの制度に適応できるわけではありません。また、労務管理が複雑になることや、会議や必要な打ち合わせにへの出席を強制しづらくなるなど、組織運営にも一定の影響を与えることがあります。

本記事では、フレックスタイム制を導入することを検討している社長や、導入後に問題が生じている社長向けに、これらの課題に対する具体的な解決策や対応方法を提供します。フレックスタイム制の「闇」とも言える問題点にどのように取り組み、どのように克服すればよいのか、事例を交えて詳しく解説していきます。この情報が、より効果的でスムーズな組織運営に役立つことを願っています。

【フレックスタイム制全体の解説はこちらから】
フレックスタイム制とは 簡単に解説:中小企業が導入するメリットとステップ

1.フレックスタイム制の課題:欠勤控除や遅刻・早退控除の制限

フレックスタイム制の導入は多くのメリットを提供しますが、一方で労務管理における課題も存在します。特に、従業員の欠勤や遅刻、早退の控除が難しくなることは、中小企業の経営者にとって重要な問題です。

日々の欠勤控除や遅刻・早退控除ができない問題点

フレックスタイム制では従業員が自由に出勤時間と退勤時間を設定することが可能です。この制度の下で、欠勤時の給与清算は清算期間内の総労働時間に基づいて行われます。

具体的に、「清算期間の総労働時間(所定労働時間)≦実労働時間」となる場合、日々の労働時間に基づく欠勤控除ができません。
これは、従業員が一定の労働時間を満たしていれば、個々の日の出勤状況に関わらず給与が保証されるということで、一般的な勤怠管理と大きく異なります。

たとえ全従業員が出勤しなければならないコアタイムを設定している場合でも、清算期間内の労働時間が所定の時間に達していれば、欠勤控除の根拠はなくなります。

この点を理解し、適切な対策を講じることがフレックスタイム制導入時の重要な課題の一つです。

また、コアタイムが設定されていない場合、遅刻や早退の概念がなくなるため、従業員がいつ出勤し退勤しても、清算期間内の総労働時間が所定労働時間を満たしていれば給与の減額は発生しません。

このような柔軟性はフレックスタイム制の大きな利点ですが、出勤日の労働時間の効果的な管理が怠られると、必要な業務の完了が困難になり、結果として生産性の低下を招く可能性があります。このため、フレックスタイム制の導入に際しては、従業員の労働時間管理をしっかりと行うことが、組織全体の効率性を保つために不可欠です。これが、フレックスタイム制の闇とも言える一つの重要な課題です。

欠勤(出勤義務違反)への対応:人事評価と懲戒処分の適用

フレックスタイム制においても、休日を除く所定労働日における出勤義務は存在します。従業員がこの出勤義務に従わない場合、それは組織のルール違反と見なされ、人事評価や懲戒処分の対象となり得る重要な問題です。

■出勤義務の重要性と人事評価への影響
フレックスタイム制では、従業員に一定の自由が与えられるものの、所定の労働日には出勤することが基本的な義務です。この出勤義務を怠ることは、職場の秩序を乱し、他の従業員にも悪影響を及ぼすため、人事評価において厳しく対処されるべきです。

出勤状況は、従業員の責任感や組織へのコミットメントを反映するため、評価時にはこれを重要な評価基準の一つとして考慮することが推奨されます。

■懲戒処分の適用基準と手続き
出勤義務の違反が確認された場合、就業規則に基づき懲戒処分を検討する必要があります。懲戒処分を実施する前には、従業員に対して違反行為の事実確認と説明の機会を提供することが重要です。処分は、違反の重さと前歴を考慮して決定されるべきで、一貫性と公平性を持って適用することが必要です。初回であれば、まずは口頭による注意から始め、繰り返し違反に対してはより厳しい措置を考えるべきです。

フレックスタイム制の下での効果的な人事管理は、ルールの遵守を確実にし、全ての従業員が公平な労働環境のもとで働けるよう努めることから始まります。適切な評価と公正な懲戒処分の実施により、職場の規律を保ち、組織全体の生産性と満足度を向上させることができます。

なお、コアタイムを設定していない場合は遅刻・早退の概念自体が無くなるため、これらの対応ができません。

2.フレックスタイム制の課題:残業指示が困難に

フレックスタイム制を導入することで、従業員には自由な時間管理が許されますが、その一方で、経営者が直面する課題の一つに「残業指示の困難さ」があります。

従業員が自分で労働時間を決定できるため、従来のように必要に応じて残業を指示することが難しくなります。この問題に対処するためには、自主的な業務時間調整の促進と効率化ツールの導入が鍵となります。

自主的な業務時間調整の促進方法とフレックスタイム制の目的

フレックスタイム制は、従業員が自分で仕事の時間を管理し、生産性を高めることを目的としています。この制度で効果的に働くためには、明確な目標設定と継続的な進捗チェックが重要です。

最初に、各従業員と一緒に業務の目標を決め、その目標を達成するために必要な時間の計画を立てます。その後、定期的に作業の進み具合を確認し、必要な場合は計画を調整します。この方法により、従業員は自分の仕事の進め方をしっかりと管理し、タイムリーに業務を進めることができるようになります。

また、チーム内で協力を促進するためには、従業員同士で情報を共有することが大切です。オンラインカレンダーや、プロジェクトの進捗を共有するシステムを使うことをお勧めします。これにより、チームメンバーは互いの作業スケジュールを把握しやすくなり、協力しやすい環境が整います。このような取り組みを行うことで、フレックスタイム制の下でも、自立した働き方とチームワークの促進が実現し、組織全体の効率が向上します。

フレックスタイム制:「残業指示が困難」の対応策

フレックスタイム制を中小企業で効果的に運用するためには、自己管理能力が高い人材の確保が重要です。しかし、実際には自己管理が得意な人材が少ないことが多く、これが経営にとって大きな課題となることがあります。この問題に対処するためには、上司が部下の業務進捗を定期的にチェックし、必要に応じて具体的な指示を出すことが重要です。

具体的には、上司が部下の進捗状況を把握し、遅れが見られる場合には、一定の期日までにどの業務をどこまで進めるべきかを示す必要があります。これにより、部下は明確な目標を持って業務に取り組むことができ、計画的に時間を管理することが促されます。

それでも業務の進捗が遅れる場合は、業務の内容や量を見直すことが必要です。場合によっては、フレックスタイム制の対象から一時的に外し、より厳格な時間管理のもとで業務を行うことも検討するべきです。これにより、業務の遂行能力に応じた柔軟な対応が可能となり、全体の生産性の向上が期待できます。

中小企業では、限られたリソースの中で最大限の効果を引き出すことが求められます。そのためには、従業員一人ひとりの能力と業務遂行状況に合わせた個別の対応が不可欠です。フレックスタイム制を導入することで生じる課題を適切に管理し、従業員の能力を最大限に活用することが、中小企業にとっての成功の鍵となります。

3.フレックスタイム制の課題:残業申請や許可制にできない

フレックスタイム制では、従業員が自分の勤務時間を自由に設定するため、日々の残業を申請や許可制にすることができません。

この結果、知らず知らずのうちに残業時間が膨らむことがあり、計画されていない残業が増加し、かえって生産性が低下する可能性があります。特に、プロジェクトの締切に迫る際や業務量が多い期間においては、無意識のうちに長時間労働が続くことがあり、この問題への対応策が必要です。

清算期間での残業申請・残業許可制の導入

フレックスタイム制においても、清算期間の総労働時間(所定労働時間)を超える場合には、残業申請や許可制を設けることが可能です。この方法では、従業員が所定労働時間を超えた場合には、事前に申請し、上司の許可を得ることが必要となります。

このプロセスを導入することで、組織は従業員の勤務時間をより効果的に管理し、不必要な残業を抑制することができます。また、残業が必要とされる状況を正確に把握し、必要なリソースの再配分や業務プロセスの改善につなげることが可能となります。

残業の多い従業員の状況把握と対応

残業の多い従業員に対しては、上司が積極的に状況を把握し、その原因を分析することが重要です。上司は、定期的に従業員との面談を行い、その業務の進行状況や時間管理の方法について話し合うべきです。この対話を通じて、業務の優先順位を再設定したり、効率的な時間の使い方をアドバイスしたりすることができます。さらに、必要であれば業務量の調整や追加のサポートを提供することで、従業員が健康的な労働環境で働けるよう支援します。

これらの対策を通じて、フレックスタイム制の下でも効果的な残業管理が可能となり、従業員の生産性と仕事の満足度を高めることができます。

4.フレックスタイム制の課題:会議や打合せのための出勤時刻指定問題

フレックスタイム制の導入により、従業員は自由に勤務時間を設定することができますが、この柔軟性が会議や打合せのスケジューリングに新たな課題を生じさせる可能性があります。
特に、朝9時からのような特定の時刻での会議や打合せへの出席をどうするかが問題となります。

フレックスタイム制の労働者であっても、誠実勤務義務や職務専念義務が存在するため、指定された時刻に業務を行うための自主的な勤務調整が求められるという見解もありますが、この問題に対処するための2つの方法を提案します。

コアタイムの活用による会議スケジュールの最適化

フレックスタイム制での会議や打合せの効果的なスケジューリング方法として、コアタイムの設定が有効です。コアタイムとは、全従業員が出勤している必要がある時間帯を指し、この時間内に会議を計画することで全員の参加を保証することが可能です。

コアタイムを曜日によって時間を変えたり、特定の曜日だけコアタイムを設定することも可能です。例えば、特定の曜日の朝9時から会議が必要な場合、その曜日だけコアタイムを設定または時間を変更することで、誰もが参加できる環境を作ることができます。

ただし、コアタイムが一日の標準労働時間とほぼ一致してしまうと、フレックスタイムの柔軟性が失われるため、コアタイムの設定には慎重な計画が必要です。効果的なコアタイムの設定は、従業員の勤務の柔軟性を保ちつつ、必要な会議の出席を確実にするためのバランスを取ることが求められます。

就業規則や労使協定による時間外勤務の明確化

フレックスタイム制におけるもう一つの対応策として、就業規則や労使協定を通じて勤務時間に関するルールを明確に定めることが重要です。特に、業務上の必要によりコアタイム以外での勤務が求められる場合、これを就業規則や労使協定で具体的に定めることで、法的なトラブルを防ぎ、従業員との間での認識の齟齬を解消します。

このような規定は、あくまで一時的または臨時的なものでなければフレックスタイム制の趣旨に反するとみなされる可能性があるため、注意が必要です。労使間で透明性を持って協議を行い、合意に基づく適切な勤務体制の構築が、双方にとって最良の結果をもたらします。

これらの対応策を適切に実施することで、フレックスタイム制の下でも会議や打合せの出席問題を解決し、組織の運営効率を向上させることが期待できます。

5.フレックスタイム制での休日出勤の取り扱い

フレックスタイム制では、休日出勤に関する考え方が通常の勤務体系と異なる場合が多く、適切な手当の支払いと労働時間の管理が重要となります。法定休日や法定外休日の出勤に対しては、これらの日に働く従業員の労働条件を正確に理解し、適切に対応する必要があります。

法定休日出勤をした場合は別扱いでカウント

フレックスタイム制の下で休日に出勤する場合、法定休日出勤は通常の労働時間とは別扱いとされます。

フレックスタイム制では、清算期間の総労働時間(所定労働時間)を実労働時間が超過した場合、残業手当が支払われますが、法定休日出勤の場合、清算期間の労働時間には含まず、休日出勤だけでカウントされ、その時間に対して、1.35倍の休日出勤手当が支払われることが一般的です。

法定外休日出勤をした場合は清算期間の総枠でカウント

また、法定外休日の出勤は、通常の労働時間としてカウントされます。

フレックスタイム制では、清算期間の総労働時間(所定労働時間)を実労働時間が超過した場合、残業手当が支払われますが、法定外休日出勤の場合は、清算期間総枠での実労働時間としてカウントされます。

ただし、就業規則で別の定めがある場合は、そのルールに従う必要があります。企業は就業規則を明確にし、従業員に周知することで、誤解を防ぎ、スムーズな労働環境を実現します。

まとめ

フレックスタイム制は、従業員による自主的な労働時間の管理を可能にする労働体系です。この制度は、柔軟な勤務時間によって個々のライフスタイルや生産性の向上を促すことができる一方で、時間管理や仕事の進行を自己管理できる能力が必要とされます。特に中小企業においては、このような自主性を発揮できる人材が少ないことがしばしば挑戦となります。

中小企業では、限られたリソースの中で効率的に業務を遂行する必要があり、従業員一人ひとりが自己管理を徹底することが求められます。フレックスタイム制を導入する際には、単に勤務時間の自由を与えるだけでなく、その制度がもたらす利点と責任について従業員にしっかりと理解してもらうことが重要です。これには、明確なガイドラインの設定と、定期的なフォローアップが必要です。

また、良質な人材を確保し、それらの人材が企業に定着するためには、フレックスタイム制のメリットを明確に伝えることが不可欠です。柔軟な働き方は、ワークライフバランスの改善に寄与し、従業員の満足度を高めることができるため、積極的な採用と育成が求められます。

したがって、中小企業でフレックスタイム制を成功させるためには、適切なルール作りと従業員教育が鍵となります。従業員が自主的に労働時間を管理し、効率的に業務を遂行できるよう支援する体制を整えることで、企業は持続的な成長を遂げることができるでしょう。


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