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フレックスタイム制とは 簡単に解説:中小企業が導入するメリットとステップ

中小企業の経営者の皆様、フレックスタイム制度が会社にもたらす変革について考えたことはありますか?この制度がもたらす柔軟性が、従業員の働きやすさを向上させ、結果として生産性の増加、優秀な人材の確保と定着を実現する手助けになるかもしれません。

高額な勤怠システムの導入に二の足を踏んでいる方にとって、手軽に始められるエクセルを活用した方法も存在します。この記事では、フレックスタイム制の基本、そのメリットとデメリット、導入の手順について詳しく解説します。

1.フレックスタイム制とは? 簡単にわかる基本ガイド

フレックスタイム制は、従業員が自分のライフスタイルに合わせて、始業と終業の時間を柔軟に設定できる働き方です。この制度は、特に仕事と私生活のバランスを重視する現代社会において、注目を集めています。では、フレックスタイム制の基本的な概念と、中小企業での導入状況について具体的に見ていきましょう。

フレックスタイム制の基本概念

フレックスタイム制とは、従業員が定められたコアタイム(必須勤務時間帯)を除く時間帯について、自由に出勤・退勤時間を決めることができる勤務制度です。この制度の主な目的は、従業員が個人の生活状況や仕事の効率を考慮しながら、自由に勤務時間を調整できるようにすることにあります。例えば、朝が得意な人は早朝に始業し、夕方には退社するスケジュールを組むことが可能です。逆に夜型の人は遅めに出勤して、夜遅くまで仕事をすることもできます。これにより、一人ひとりの生産性を最大限に引き出すことが期待されます。

中小企業におけるフレックスタイム制の導入状況とその課題

中小企業におけるフレックスタイム制の導入は、大企業に比べて進んでいないのが現状です。
厚生労働省の令和5年就労条件総合調査(結果の概況)によると、1000人以上の企業では約30.7%、300人から999人の企業では約17.2%がフレックスタイム制を導入しています。

しかし、30人から99人の規模の中小企業ではわずか4.2%の導入率
に留まっています。この数字からも、中小企業におけるフレックスタイム制の普及が遅れていることが明らかです。

フレックスタイム制の導入が進んでいない主な理由としては、以下の点が挙げられます。

まず、中小企業では人員が限られており、一人ひとりの役割が多岐にわたるため、フレキシブルな勤務時間を設定することが難しいという問題があります。

また、勤務時間の管理や労働者間のコミュニケーションの調整が煩雑になるという点も、導入をためらわせる要因となっています。

さらに、フレックスタイム制を適切に運用するためのシステムやルールの整備には初期投資が必要であり、これが負担と感じられる中小企業も少なくありません。

■リソースの制限:
中小企業はしばしばリソースが限られており、制度の導入に必要な初期費用や維持費が負担となることがあります。フレックスタイム制度を運用するためには、労働時間の管理システムの導入や、従業員への教育が必要となり、これらのコストが障壁となることが多いです。

■組織構造:
中小企業は従業員数が少ないため、一人ひとりの役割が非常に重要であり、フレックスタイム制度を導入すると業務の連携が取りにくくなることがあります。特に、顧客対応や生産ラインなど、時間に縛られる業務を持つ企業では導入が難しい場合があります。

■管理の難しさ:
フレックスタイム制度を効果的に管理するには、適切なシステムとルールが必要ですが、これが中小企業には負担となることがあります。また、労働時間の遵守を確保するための監視が必要となるため、人事部門の負担が大きくなります。

■文化的側面:
日本の中小企業では伝統的に時間を厳守する文化が根強く、フレックスタイム制度が浸透しにくい側面もあります。従業員や経営者の間に新しい働き方への抵抗感がある場合、導入が進まないこともあります。

それでも、フレックスタイム制のメリットは非常に大きいです。従業員のワークライフバランスの向上、個々の生産性の増加、人材の確保と定着など、多くの利点があります。特に現代では、多様な働き方が求められる中で、フレックスタイム制は従業員の満足度を高め、組織全体の競争力を強化する手段となり得ます。

中小企業の社長の皆さまには、これらのメリットを踏まえ、導入のハードルを乗り越えるための方法を検討していただきたいです。例えば、初期の導入コストを抑えつつ効率的な管理が可能なシンプルな勤怠管理システムの選択や、従業員とのコミュニケーションを促進するための工夫などが考えられます。

フレックスタイム制の導入を検討することは、企業の未来にとって重要なステップかもしれません。
このように、フレックスタイム制は中小企業にとっても非常に有効な制度であり、適切な導入と運用が求められます。次のセクションでは、中小企業がフレックスタイム制を導入するメリットに焦点を当てて詳しく解説します。

2.フレックスタイム制が中小企業にもたらす利益とは?

フレックスタイム制は、従業員が自由に勤務時間を設定できるため、労働生産性の向上や従業員満足度の増加につながります。特に中小企業においては、生産性の課題が顕著であり、人材確保や定着も大きな問題とされています。フレックスタイム制の導入は、これらの課題を解決する可能性を持っており、導入が進んでいない現状を変えるための一助となるでしょう。

フレックスタイム制を導入することで、従業員は自分の生活に合わせて労働時間を調整できるようになります。これにより、従業員一人ひとりの働きやすさが増し、全体としての業務効率や生産性が向上すると期待されます。また、従業員の満足度が高まることで、優秀な人材の定着と確保が容易になり、中小企業の競争力強化に寄与します。

労働生産性の向上のきっかけとしてのフレックスタイム制

中小企業白書2022年によると、製造業、非製造業ともに中小企業の従業員1名当たりの付加価値額(労働生産性)は、大企業の半分以下で推移しています。
フレックスタイム制の導入は、問題の直接的な解決策とはならないかもしれませんが、生産性向上への重要な一歩となる可能性があります。

【中小企業の労働生産性】
中小企業白書2022年

この制度により、従業員は自分の労働時間を自由に設定することで、その日の業務の段取りや優先順位を自ら考える機会が増えます。これは自主性と責任感を促進し、結果として労働の効率が向上するかもしれません。

さらに、従業員が自分の時間を管理するスキルを身につけることで、仕事の満足度が高まり、長期的には企業全体の生産性が改善される効果が期待できます。このようにフレックスタイム制は、中小企業において従業員がより能動的に業務を行う文化を醸成するための良い入り口となり得るのです。

人材の確保と定着におけるフレックスタイム制の役割

フレックスタイム制は、特に家庭と仕事の両立を求める従業員にとって魅力的な制度です。柔軟な働き方が可能になることで、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなり、これが結果として従業員の満足度を高め、優秀な人材の確保と定着につながります。

また、大企業が賃金を大幅に引き上げる中、中小企業では生産性を向上させることが賃金引き上げの鍵となります。フレックスタイム制を導入することは、そのきっかけ作りになると期待できます。この制度は、従業員が効率的に働ける環境を作り、それが直接的に生産性の向上に寄与し、最終的には賃金の向上に繋がる可能性があります。

3.フレックスタイム制:導入要件や留意事項

フレックスタイム制を導入に当たっての要件や留意事項について解説します。

フレックスタイム制:導入するために必要な要件:

フレックスタイム制を導入するためには、就業規則への規程と労使協定の締結の両方が必要になります。10人未満の事業所で就業規則を作成されていない場合は、それに準ずる書面を作成し、従業員への周知が必要です

■就業規則への規定:
就業規則には始業及び終業の時刻を労働者が自主的に決定することを明記する必要があります。

■労使協定の締結:
(1)労使協定で以下の事項を定める必要があります。
➀対象労働者
全従業員、部署や課ごと、個人ごとなど、様々な範囲で定めることができます。
②清算期間
フレックスタイム制では、事前に所定労働時間の枠組みを定め、実際に働いた労働時間で清算します。1ヶ月とするのが一般的です。
③清算期間の総労働時間(所定労働時間)
フレックスタイム制の所定労働時間は、1日や1週間ではなく清算期間で定めます。清算期間の総労働時間は、以下の計算式によって求められる時間を上限とし、その範囲内に設定します。

清算期間の総労働時間上限(法定労働時間)
  = 清算期間の暦日数÷7×1週間の法定労働時間※

※40時間(特例措置対象事業場は44時間)
特例措置対象事業場:常時使⽤する労働者数が10人未満の商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業


② 標準となる1日の労働時間
年次有給休暇を取得した際に支払われる給与として、標準となる1日の労働時間を定めます。清算期間の総労働時間を、期間中の所定労働日数で割った時間が基準となります。

③ コアタイム(任意)
アタイムは、1日のうちで必ず働かなければならない時間帯です。設定する場合、その時間帯の開始・終了の時刻を定めます。
④ フレキシブルタイム(任意)
フレキシブルタイムは、従業員が自らの選択によって労働時間を決めることができる時間帯です。設定する場合、その時間帯の開始・終了の時刻を定めます。

(2)労使協定の届出について
締結したフレックスタイム制の労使協定は通常、労働基準監督署に届け出る必要はありませんが、清算期間が1ヶ月を超える場合は届け出が必要です。



フレックスタイム制:導入にあたっての留意事項

(1)フレックスタイム制の残業について
フレックスタイム制では、清算期間内の総労働時間を基に残業が計算されます。清算期間での実労働時間が総労働時間を超えた場合、その超過時間が残業代の対象となります。1日8時間、週40時間を超えても直ちに残業となるわけではありません。

(2)フレックスタイム制の欠勤控除について
反対に、労働時間が1日8時間、週40時間に満たない場合も直接欠勤とはみなされません。不足時間は清算期間内の実労働時間を基に計算され、清算期間終了時に総労働時間と照らし合わせて処理されます。

(3)給与の調整:
実労働時間が所定労働時間を下回った場合、不足分の時間に対する控除が適用されることがあります。この控除は、当該月の給与から行うか、または翌月の所定労働時間に加算する形で調整されます。しかし、法定労働時間の範囲内に収まるように注意が必要です。
これらの要件と留意事項を遵守することで、フレックスタイム制の導入と運用がスムーズに行えるようになります。

4.フレックスタイム制と勤怠管理:タイムカードとエクセルの使い方

フレックスタイム制を導入する際には、タイムカードやエクセルを用いた従来の勤怠管理方法に特別な注意が必要です。このセクションでは、タイムカードとエクセルを利用して、低コストで効果的に勤怠管理を行う方法を詳しく説明します。

フレックスタイム制における細かな時間管理の課題

フレックスタイム制では、従業員の出退勤が自由であるため、日々の勤務時間を分単位で正確に管理する必要があります。


通常の勤務形態であれば、たとえ出勤が8時52分、退勤が18時9分であっても、残業の申告がなければ1日8時間として計算されます。

しかし、フレックスタイム制の場合は、残業も清算期間の総労働時間に基づいて判断されるため、実際の勤務時間、つまり8時52分から18時9分までを労働時間として精密にカウントする必要があります。このように毎日の正確な記録が必須となり、従来のタイムカードに打刻だけでは対応が難しい場合があります。

タイムカードを使った際の課題と解決策

フレックスタイム制では毎日の勤務時間を分単位で正確に記録する必要があるため、従来のタイムカードシステムでは対応が難しい場合があります。この課題に対処するため、タイムカードシステムをアップグレードして、出入りの時間を自動で記録し、それに基づいて清算期間ごとの労働時間を精確に計算する機能を備えることが推奨されます。これにより、フレックスタイム制の柔軟な勤務時間を効率的に管理することが可能になります。

エクセルを活用した効率的な勤怠管理

小規模企業にとって高度な勤怠管理システムの導入が難しい場合、エクセルを用いた時間管理が有効な選択肢です。
厚生労働省が示す「労働時間の適正な把握と管理を促進するガイドライン」では、労働時間管理について以下の要点が記されています。

1.労働者の始業・終業時刻を適正に把握・記録する責任は使用者にあります。
2.始業・終業時刻の確認と記録方法には、以下の二つの原則的な手法が示されています。
  (1)使用者自身による直接確認
  (2)タイムカード、ICカード、PC使用時間などの客観的な記録を利用した方法
3.やむを得ず自己申告制を採用する場合、適正な申告を促し、その実態が正確に反映されるよう適切に管理する措置が求められます。


エクセルを使用した勤怠管理では、従業員が自己申告制により勤務開始と終了時刻を入力します。この方法では、上司が時刻の正確性を確認することが重要です。確認を通じて実態に合致する適切な管理が可能となり、コストを抑えながら効率的な勤怠管理を実現することができます。特にコストを抑えたい小規模企業にとって有効な選択肢です。

まとめ

フレックスタイム制の導入は、勤怠管理が複雑になる一方で、生産性向上、人材の確保、そして定着に大きなメリットをもたらします。大企業では自動計算する勤怠管理システムが一般的ですが、コストを考慮した小規模企業ではエクセルの活用が効果的です。各企業は、これらのツールを適切に活用し、労働時間の正確な管理と効率化を図りながら、従業員の満足度を高めることが重要です。

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