儲かる『働き方改革』を実現させる 人事評価制度の作り方・見直し方

2019年4月から本格的にスタートした働き方改革。
これまでのように『人の3倍働いて、根性で成果を達成する』働き方はもはや通用しません。

いかに生産性が高い、つまり最短距離で成果につながる仕事の仕方。
言い換えると、儲かる働き方を社員1人1人にしてもらうことが重要です。

その土台になるのが人事評価制度です。

人事評価制度に求められる3つのポイント

人事評価制度に求められる3つのポイント
自社に合った人事評価制度(等級・評価・賃金)であること

人事評価制度には、等級制度、評価制度、賃金制度がありますが、その3つの制度にも様々な選択肢があり、自社の考え方や社風等に応じて、ベストな組合せをしなければ上手く機能しません。

■標的目標(センターピン)を設定し、最短距離で成果を達成する道筋を見える化すること

成果を達成するために重要な目標設定。多くの企業が立てている売上目標や利益目標では、残念ながら成果につながりません。

社員が行動できる評価項目であること

成果(目標)に達成するためには、そのための行動(プロセス)することが重要です。その為に行動目標と評価項目を設定するのですが、社員が行動できないことを設定しても意味が有りません。ところが、ほとんどの企業がこれをやっています。

これらの3つを充たした人事評価制度を作成・見直しをするためのノウハウをお伝えします。

等級制度の選択・設計

まずは人事評価制度の骨格になる等級制度です。
代表的な等級として、職能資格等級、役割等級、職務等級があります。

(1)職能資格等級制度

保有する能力によって等級付け制する制度。
日本における代表的なやり方で、中長期的に仕事に経験や能力を保有させ、経営幹部・管理職を育てていくのに適しています。

職能資格等級が向いている企業
新卒採用中心で、ジョブローテーションによりゼネラリストを育てていく企業
②長年の経験や勘が重要な熟練工を育てていく企業
ただし、経験や能力が発揮されない状態になると、給与と成果にのミスマッチが起きますので対策が必要です。

(2)役割等級制度

期待役割によって等級付けをするやり方で、役割と給与とがマッチするので合理的。
役割等級の信頼性を確保することが必要。

役割等級制度が向いている会社
中途採用中心で、即戦力を求める企業。
どんな業種、職種にも柔軟にマッチする。

(3)職務等級制度

職務(仕事)の内容によって等級付けをするやり方で、仕事と給与がマッチする。
組織や職務が変わるたびにメンテナンスする必要がある。

職務等級制度が向いている会社
①スペシャリストの早期育成や専門性を重視する企業。
パート、アルバイトを多く雇用している企業。

評価制度の選択・設計

(1)評価の2軸

評価には、プロセス評価(スキル、行動)と成果評価(結果)があります。
両者の関係は、成果をあげるためのプロセスになりますので、評価項目に掲げているプロセスを
実行すると、成果につながるという道筋が見えていなければなりません。

(2)処遇への反映

プロセス評価、成果評価を処遇へどのように反映するのかも、企業にとって重要な問題です。

①総合型・・・プロセス(能力・行動)、成果(結果)を昇給・昇格、賞与の双方に反映

総合型を採っている企業が圧倒的に多いのですが、社員視点で、自分たちの評価がどのように反映されているのかわかりにくくなるという欠点があります。
また、店舗型のように業績が周囲の大きく環境に左右される(例:近隣に競合店ができた)企業の場合は、短期的にはプロセスが成果につながらない場合があります。
総合型では「どれだけ頑張っても報われない」と社員のモチベーション低下を招く可能性があります。

               

 

 

 

②分離型・・・プロセス(能力・行動)を昇給・昇格、成果(結果)は賞与に反映

店舗型のように業績が周囲の環境に左右される企業に適しています。
近隣に競合店ができた場合等は、短期的にはどう頑張っても業績が低下します。
でも、大切なことはあきらめずに成果につながるプロセス(能力・行動)を続けること。

分離式を採ることで、賞与が落ちるけど、昇給や昇格には影響しない、
社員のモチベーションが維持されます。

     

 

 

評価項目と着眼点の作成

(1)標的目標(センターピンを設定する)

評価項目を作成する際、最も大切なことは標的目標(センターピン)を定めることです。
ボーリングで言う、ピン1本1本を倒すことが目標。
でも、それぞれ別に狙うのでなく、センターピン(1番ピン)を狙います。
これと同じように、成果をあげるための標的目標(センターピン)を定めることが最も重要なのです。

『売上○%アップ』
ほとんどの企業がこのような目標を設定しますが、残念ながらこの状態では成果につながりません。
単に期末に結果を評価するだけになってしまいます。

一例として、下図をご覧ください。
売上は、多くの要素の組み合わせによって出来上がります。

●新規客売上を上げる
●既存客売上を上げる
●新規客数を増やす
●客単価を増やす

これらは、売上を上げるための、ボーリングで言うピン1本1本に当たります。
標的目標(センターピン)を定めずに対策を考えると、ピン1本1本別々に狙って球を投げる、
そんな非効率なことが起こります。

そこで標的目標(センターピン)を定め、それを倒すためのプロセス(行動)を評価項目とし、更に具体的にしたものを評価の着眼点として設定します。
すると、良い評価をもらうために頑張った行動が成果に直結することになるのです。

 

(2)着眼点の作成

標的目標(センターピン)を定めると、次はそれを倒すためのプロセス(行動)を評価項目として設定し、評価の着眼点を作成します。
着眼点を作成する際に大切なことは、何をすればいいのかを具体的にすることです。

評価項目 : 『責任感』
着  眼 点 : 『困難な状況の中でも、目標達成に向け意欲的に取り組んでいる』

評価項目、着眼点といえば、一般的にこのようなものがよく使われています。
ところが、残念ながらこれでは成果を達成することができません。

行動科学の観点から考えると、人は『具体的にイメージできなければ行動しない、できない』からです。
行動しない限り、成果の達成はありませんので、
少なくとも『○○の場面で・・・・をする』という表現にまで落とし込む必要があります。

例えば、
標的目標(センターピン)を『リピート率を○%に上げる』とした時、

行動目標を(評価項目)・・・責任感
着眼点・・・納品した顧客には、3日以内にお礼状を送り、1週間後には電話で使用後の状態を確認している

このようにすれば、何をしたらいいのかがわかりますし、
成果につながるイメージも湧きますよね。

 

数字で示せない仕事の場合、標的目標(センターピン)はどうする?


数字で示せない業種や職種の場合、標的目標(センターピン)をどうするのか?
あるいは、職種によっては数字を出すことを極端に拒むことがあります。

例えば、医療・介護系の職種の方に多く見られる傾向です。
目標を聞いても抽象的なものしか出てこないです。

例えば、『利用者の気持ちに寄り添い・・・』のような抽象的なものです。

稼働率等の数字の話をすると「私たちはお金儲けの為にやっているのではありません」となります。

そんな時は、このようにしています。

1 出来ている状態をイメージする

『利用者様の気持ちに寄り添い・・・』が出来ている時の状態をイメージしてもらいます。
すると、利用者様の喜ぶ顔、ご家族の喜ぶ顔・・・様々な答えが返ってきます。

2 上得意客の特徴を出す

利用者様が喜ぶ顔、ご家族が喜ぶ顔、これを何か指標に出来ないか考えてもらいます。

今、とても喜んでいただいている利用者様やご家族に見られる特徴などを考えだしてもらいます。

すると、ご家族からファンレター(感謝の手紙)を頂いている。
ご家族が差し入れを持ってきてくださる。

必ず、そのような特徴があります。
それを標的目標(センターピン)にすればいいのです。

3 標的目標(センターピン)を定める

例)ご家族からのファンレターを月○通にする
その為に、どのような行動をしたらいいのかを具体的に考えてみましょう。
その行動は、稼働率等の経営指標を上げる為の行動とそう遠くないはずです。

もちろん、この場合の標的目標(センターピン)はあくまで本来の目標を達成する為の指標なので、
ファンレター(感謝の手紙)が目的になってはいけないことは言うまでもありません。

 

この他にも、数字で示せない業種や職種はあります。
同じように、理想の状態をイメージしてみる。
その状態を、具体的に言葉にして、具体的に行動レベルにまで落とし込めるようになればOKです。

賃金制度の設計

(1)累積方式か、洗い替え方式か

賃金表は、大別すると『累積方式』と『洗い替え方式』の2種類があります。
まず、どちらにするかを決めます。

累積方式

評価A 2,000円UP、評価B 1,000円UPというように、毎年の評価により賃金が上積みされていく方式。
毎年コツコツ昇給する安定的なイメージがある。

洗い替え方式

1回ずつの評価に応じ、賃金を決定するやり方。
毎年ゼロベースで評価に応じた賃金になる為、敗者復活がしやすい。

(2)号俸給か、レンジマトリックスか

累積方式には、『号俸給』と『レンジマトリックス』があります。

号俸給

一般的には号俸給を使用している企業が多い。
賃金表に基づき、毎年賃金が上積みされていくので、安定的なイメージがある反面、同程度の評価の場合は一旦開いた差は
なかなか解消されない。新卒採用中心の企業に向いている。

レンジマトリックス

同じ等級内の場合、賃金が低い程、昇給しやすい。
入社時の給与に差があっても数年で解消される。
入社時の給与がバラバラになってしまう中途採用が中心の企業に向いている。

 

最後にもう一度

標的目標と行動評価の評価項目と着眼点表を見てみましょう。
仮に全員がS評価を取れたとすると、儲かりそうですか?

儲かりそう、わくわくする・・・そう思えたら大枠は完成です。
あとは評価をするに当たっての具体的な手順等を決めていきましょう。

もし、儲かりそうな気がしない・・・その場合は、要再検討です。
成果達成、業績アップがイメージできるまで何度もやってみましょう。

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