少し前にご相談を受けた社長さん。
10数名の小さな会社ですが、立派な就業規則を作られたばかりでした。
就業規則には『松竹梅』とランクがあり、価格も大きく異なります。
あくまで私の感覚的なものですが、
☆梅 … 5~10万円
☆竹 … 10~30万円
☆松 … 30万円以上
といったところです。
その就業規則を見せてもらったところ、内容はハイスペック。
それに立派に装丁までされています。
『松』以上です。
「立派な就業規則ですね。○万円位かかったんじゃないですか?」
自分の感覚よりちょっと高額です高めでお聞きしたところ、
「もうちょっとかかりました。」
かなりの高額です。
では、その社長がなぜ相談に来られたかというと、
社員から集団で退職届を出されたとのこと。
どうやら1年前に採用した社員が、画策していたようです。
決して悪い社員ではなかったようで、色々と提案を出してくれていたのです。
ただ、社長からすると現実味がない、「おいおい、それは無理やろ!」と言いたくなるような内容だったので、全て却下していたのです。
そのうち、勤務態度も悪くなってきて、社長が注意しても聞かなくなり、周囲にも良くない影響を及ぼすようになりました。
そんな時にある社労士に相談したところ、
「社長、就業規則をきっちりと作りましょう。」
ということで、高価な就業規則を作ることになったそうです。
結末は先ほど説明した通りです。
実は、労働トラブルと就業規則は最悪の相性
私たち社労士も含め、労働トラブルを解決する為に就業規則を作ろうとする方はとても多いです。
でも、はっきり言って労働トラブルと就業規則の相性は最悪。
労働トラブルが発生する原因は、ほとんどが感情のもつれ。
先ほどの例で言うと、提案を受け入れてもらえない。
「なんで俺の言うことを社長は聞いてくれへんのや」
という怒りの感情でしょうか。
それに対して就業規則は理論理屈のかたまり。
どうですか?
怒っているときに理論理屈で攻められたら…
火に油を注ぐようなものですよね。
もちろん、『松』の就業規則を作ることに反対している訳ではありません。
値段に糸目をつけないなら、絶対に『松』がいいに決まってます。
でも限られた予算で抑えるならば、ただ立派な就業規則を作ってもお金の無駄になります。
そもそも就業規則って?
ひと言で表現すると、
その職場で働くにあたって定める経営者と従業員とのルール。
ではルールは何のためにあるのでしょうか?
ルールって、それぞれのご家庭にもありますよね。
例えば、わが家のルールだと
子供の小遣いは『年齢×200円』としていました。
なぜそんなルールにしていたのかというと、
大人になった時にこうなって欲しい。
そんな理想像があり、
その為にはしっかりとした経済観念を持つことが大事。
そういう考えがあるからです。
きっとあなたのご家庭のルールも同じですよね。
会社も考え方は同じです。
就業規則って、トラブル防止とか小難しく言われていますが、
もっと単純に考えると経営者が思うような会社にしていくためのものです。
どんな会社にしていきたいか、
どんな従業員であって欲しいのか、
就業規則を作る時は、
まずはそこを明確にし、従業員に理解を求めることを一緒に進めていくことが重要です。
ご自身でできる場合はいいのですが、そうでなければ
『松』の就業規則を作るよりも、
『竹』『梅』でもいいので、予算内でその部分もお任せできる社労士さんにサポートしてもらうことをお薦めします。
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