遅刻をする社員は会社にとって困ったもの。
「そこで遅刻に対して罰金(ペナルティ)を科すことができないか?」
このような相談を時々受けます。
もちろん、遅刻した時間分を控除するのは『ノーワークノーペイ』なので全く問題ないですし、毎日きっちり出勤している人に対して示しがつきません。
でも、その金額を超えた『罰金(ペナルティ)』となると全く異なります。
「罰金(ペナルティ)はやめといた方がいいですよ。」
いつもこのようにお答えしています。
その理由は2つあるのですが、
1つ目は、違法となる可能性が高いから。
よく聞くのは『遅刻3回で1日欠勤とする』というルール。
実際に遅刻した時間分を超えた金額を引くのは減給の制裁に当たるのですが、遅刻3回で1日分の罰金を取るのは、労働基準法で定めている減給の上限『1回の額が平均賃金の1日分の半額』を超える可能性が高いからです。
では、それ以下であればいいの?という話になるので、
2つ目の理由
これは行動経済学の話になるのですが、『罰金を取ると遅刻が増える』可能性があるからです。
面白い話を紹介します。
イスラエルの託児所の話ですが、子どものお迎えをする親の遅刻を減らすために、遅刻のペナルティとして罰金を取ることにしました。
結果どうなったか?
なんと、親たちの遅刻は増えてしまったようです。
人の行動を決定づけるものとして、人との関わりやルールやマナー・道徳などを大事にする『社会規範』と、市場取引(お金のやり取りで解決する)という『市場規範』の2つがあります。
この場合でいうと、遅刻をするということに対して『後ろめたい気持ち』があり、その罪悪感から何とか間に合わせようとする『社会規範』が働いていたということです。
ところが、罰金を払うことで『市場規範』、つまり「罰金を払えば遅刻してもいいや」という考え方にに変わってしまったのです。
国の違いや職場と託児所の違いはありますが、とても参考になる話です。
たいていの社員は遅刻に対して『後ろめたさ』があるでしょう。
それを失くすような罰金ではなく、むしろその『後ろめたさ』をプラスに変えていくような対応を取ることをお薦めします。
引用:マンガでわかる行動経済学(ポーポー・ポロダクション)
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